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気づいたら駄菓子屋になっていた話

「年をとったら、田舎で駄菓子屋か古本屋をやりたいな」
「いいよね、猫が昼寝してたり」

こんな会話をしたことはありませんか?

こういった会話はたいてい現実的なものではなく、「できたらいいよね~(やらないけど)」と各地で生まれ、風のように消えていきます。

私もそんなふうに思っていたのですが、気づいたら本当に駄菓子屋さんになっていたので、その話をします。

駄菓子屋さんや古本屋さんをやりたいと考えている人には参考になるかもしれませんが、ならないかもしれません。多分ならないでしょう。

突然、駄菓子屋さんをはじめました

駄菓子屋をはじめた経緯はこちらにあります。正確には私ではなく母がはじめたお店です。駄菓子屋さんといえば“おばあちゃんが長年やっているお店”のイメージですが、おばあちゃんが突然はじめるというケースも実際にあります。

内装などは、すべて私が担当しています。夜中までペンキを塗ったりして、とても大変でした!!

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駄菓子屋をはじめることはほぼ母の思いつきですが、具体的なプランなどは何もなく、開店。店内もまるで整っておらず(今も整ってません)、商品の配置を考えたりしながら少しだけドアを開けておき、「やってます?」と訪れてくる人に駄菓子を売ることからのスタートでした。

それで気づいたのですが、こちらがどれだけほやほやの駄菓子屋であろうが、お客様にとっては“店”なんですよね。“舞台にあがれば女優”みたいなヤツです。

駄菓子屋をはじめる方法

特に「駄菓子屋業」という資格はありません。開業届のほか、飲食物を提供するのであれば「飲食店営業許可」や「喫茶店営業許可」も必要になります(我が家は元々持っていました)。役所に相談するのが確実です。

そのあたりは面倒くさいですがそれほどむずかしいものではなく、一番の障壁は、まわりの

「何言ってんの?バカじゃないの?」

という貴重なご意見かと思います。

駄菓子屋で生活できるの?

「バカじゃないの?」というご意見はおおむね正しいです。卸問屋の軒先でついでにとかではなく、駄菓子屋を新規にはじめる行為は、正気の沙汰とは思えません。というのは、ご存知の通り駄菓子は安いからです。10円のガムを一つ売って、利益は1円くらいでしょうか。でも、10円のガムを売るのも、2000円の雑貨を売るのも、販売にかかる手間はそれほど変わりません。つまり、10円20円の商品を販売すると、忙しいわりに時給が1円となる可能性があります。さらに、賞味期限などによるロスもあります。家賃のほかに電気代なども発生します。恐怖です。

なので、駄菓子屋として存在しながらどうにか生きながらえたい場合、

・駄菓子のほかに利益をあげられる商品やサービスを開発する
・自宅で開業するなどコストを抑える
・空き店舗対策などを活用し補助金をゲットする
・趣味とわりきって数日だけイベント的にオープン

などの方法が考えられます(駄菓子のみで健全経営のお店もありますが、我々にその才覚はありません)。ちなみに弊駄菓子屋でも駄菓子のほかにぬいぐるみなどを販売していますが、素人のやることなので、収益には程遠いです。もっと買ってくれてもいいですよ?

駄菓子屋をやるメリット

それでもなぜ駄菓子屋をやっているのかというと、楽しいからということが大きいです。まず、駄菓子屋をやっているという事実がおかしい。ファンタジーです。

世界が広がるというメリットもあります。お店をやることによって近隣のお店と仲良くなれたり、Twitterやお店でお客様に応援していただいたりするのはとてもうれしいことです。世界でひくてあまたのような人には不要かもしれませんが、私などはひきこもりの人類なので、社会との貴重な接点となっております。

あと、ほぼ死にません。たまに忙しいことはありますが、ブラック企業のように出社OR DIEみたいな追い込まれ方はおそらくしません。なにか辛ければやめたり休んだりしてもいいし、駄菓子を仕入れ過ぎてしまったら、食べればいい。

開店3周年のくじ引き大会

そんなこんなで、気づいたら開店して3年がたちました。

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開店3周年記念でくじびき大会を開きました。これも母の思いつきです。母は思いついても準備はしないので、お店がオープンの時間になっても、くじが準備できていないという事態が発生。景品がなんなのかもはっきりしていません。ワタワタして、お客様をお待たせしてしまいました。すみません。

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こんなダメな店ですが、だからこそ、どうにか3年たったのかな……と勝手ながら思います。もちろん、安全にかかわる部分などてきとうではいけないことも多くありますが、なにかをはじめるにあたり、「てきとう」というピースは有用なものではないでしょうか。

あっという間の3年ですが、
「もっと前からあったような気がする」
と言っていただきました。

私も、3年前は駄菓子屋をやっていなかったことを考えると不思議な気持ちになります。軽い気持ちではじめたけど、気づいたら、私も駄菓子屋さんになっていたんですね。

3年後は何をしていますか?

あまり計画的でないので、気づいたらとんでもないところに来ていることがよくあります。3年後の自分も、駄菓子屋も、一体どうなっているのかまったくわかりません。建物の建て替えなどもあるかもしれませんし、店長(母)も私も急に寿命を迎えるかもしれません。新型コロナウイルスも油断禁物。

ちゃんと人生を考えたら、老後資金はとんでもなく必要で、「てきとう」に生きているひまなんてないはずです。お金も健康も、いくら備えても足りない。どれだけ備えても、これで大丈夫ってことはない。

でも、日本のどこかで、バカな人たちが無計画に駄菓子屋をはじめて、どうにか3年たったよ、ということを知ってもらって、

とんでもなく無計画な人がいる
こんなおポンチでもできるなら私もいつか駄菓子屋をやろう

と少しでも気が楽になる人がいれば幸いです。

よかったら、お店にも遊びにきてくださいね。
天気が良ければ、たぶん開いていますよ。

駄菓子カフェせせらぎ 

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