咲良 実なも

さくら みなも と申します。 読んだもの、観たもの、ぽやぽや考えたことなど。

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最近の記事

本郷地下「バレリーナになりたかったふたり の夏」に寄せて

 それは旧鳥(かつてのTwitterのことを、私はこう呼んでいます)のタイムラインに流れて来た漫画だった。  デビュー前の短篇とのことで、恐らくは単行本未収録と思しいので、ひとまず旧鳥のポストのリンクを貼っておく。 「バレリーナになりたかったふたり の夏」  能力はあるのに、それ以外の要因でどうあっても望んだ形で舞台に立てない恵。「女性であること」という条件はクリアしていても、愉しく踊る「おけいこ」から先に進めず、「バレエ」から選ばれなかった毬子。  それぞれの孤独と澱と岐

    • 第11回現代短歌社賞「わるく思わないで」(井口可奈)への長い長い雑感――ことばと新人賞「かにくはなくては」雑感を添えて

       後輩、というか友人(この歳になると二、三歳程度の年齢差などあって無いようなものだ)の中村きのこ、こと井口可奈が現代短歌社賞を受賞した。めでたい。めでたいので、一緒に気の違った量のケーキと焼肉を食べた。良質な脂、良質なカロリーは液体のように内臓に馴染むらしく、中年二人でもぺろりといけてしまった。こわい。  彼女の短歌をまとまって読んだのは、実は今回が初めてだった。それというのも、私は韻文を読むことが苦手だからだ。  韻文は小説以上に、イマジネーションの飛躍を可能にする、鋭利

      • ホルガ村と私たち

        はじめに 今回は、「小さなコミュニティ」の性質と「コミュニケーションに伴う痛み」の2点に着目して『ミッドサマー』を鑑賞し、私たちを取り巻く日常についても改めて考えてみる。  なお、大変長くなるため、記事を二本に分けることにした。本稿は前編である。ここでは『ミッドサマー』のあらすじと、私自身の身近な「小さなコミュニティ」における経験を中心に述べていく。いわば鑑賞の前段の位置づけなので、作品自体の詳細な感想は、後編に譲るものとしたい。 鑑賞前のイメージ  『ミッドサマー』デ

      本郷地下「バレリーナになりたかったふたり の夏」に寄せて