第11回現代短歌社賞「わるく思わないで」(井口可奈)への長い長い雑感――ことばと新人賞「かにくはなくては」雑感を添えて
後輩、というか友人(この歳になると二、三歳程度の年齢差などあって無いようなものだ)の中村きのこ、こと井口可奈が現代短歌社賞を受賞した。めでたい。めでたいので、一緒に気の違った量のケーキと焼肉を食べた。良質な脂、良質なカロリーは液体のように内臓に馴染むらしく、中年二人でもぺろりといけてしまった。こわい。
彼女の短歌をまとまって読んだのは、実は今回が初めてだった。それというのも、私は韻文を読むことが苦手だからだ。
韻文は小説以上に、イマジネーションの飛躍を可能にする、鋭利