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東洋医学講座 202

〇心と汗

▽五液について

▼唾(つば)の作用

唾と涎(よだれ)の相違点は、涎は消化液と解毒の要素が強く、ここでいう唾は消化性の唾液ではなく、水溶性の口腔中を潤す唾のことをいいます。

体液の水源は腎によって作られ、その水液が関与している臓によって、涙となり、汗となり、涎となり、涕となります。唾は腎の中の腎が関与しているということになります。

恐れたり、緊張が続いたりしますと、腎の働きが欠損します。つまり、変動が起こります。むやみに口が乾いて水を飲みたがる人は、腎が弱っている証拠であります。腎虚です。

水分は15時まで摂ることが理想的です。15時を超えて水分は余分に摂らないほうがいいでしょう。夕方の収斂内蔵期に水分を体内に入れると、その水分が体内の冷えとなり、腎機能が低下し、腎虚になるからです。

▼発汗作用の原理

人体は高温を保つために、心系を中心に五臓が協力して発熱をしています。これを〝君火〟といいます。健康的な生活を営む人体の自然温度のことです。そして、運動や食事などによって発熱したもの、つまり臨時に出る熱を〝相火〟といいます。

自然界では、君火とは自然温度、相火とはストーブの役割をするものです。体の内でも自然界と同じ営みがあります。

地上では、陰と陽とが互いに引き合うようになっています。引き合いながら水平を保とうとする原理によって、熱気と冷気は互いに交流し合うわけであります。春夏秋冬も、上限の温度と下限の温度との間を上がったり下がったりしながら、水平を保とうとしています。言いかえますと、〝中庸〟を中心としている世界なのであります。したがって、陰と陽は交合しやすいのであります。

熱気と冷気が交流し、温度差が激しいほど引き合いも激しくなります。例として、蒸気機関車を考えてみます。蒸気機関車はどうして走るかといいますと、ボイラーに入った水を激しく熱すると内燃が激しくなり、そうなりますと蒸気の排熱作用も強くなります。また、水温との温度差も大きくなり、非常な勢いで引き合うことになります。蒸気が外に出る、冷気が中に入る、という引き合いで蒸気機関車は線路を走るのであります。これが交合の原理であります。

人体でも体内が熱くなれば熱を体外に出し、それと同時に冷気が交合して入ってきます。また、家の場合も同じで、内と外との温度差が大きいときに窓を開ければ、熱冷両気の交合の速度も強さも激しくなります。これらの働きが発汗作用であります。

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