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日常短編シリーズ

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#随筆

日常短篇シリーズ:何もない、何かある。

現在の頭の空っぽさと言ったら、ここ10年で1番だ。少し頭の中を見渡すくらいではなんの素材も見つからない。
不快なものを貯めないようにしていたら、少し歪で変なもの、興味が湧くものもどこかへ消えてしまったようだった。

でも暗くて見えないだけかもしれない。何故なら頭の中は暗闇だからだ。小さな懐中電灯で照らした足元くらいしか見えない。これ以上探すには歩き周る他ない。歩き周るには結局労力がいる。労力を使っ

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日常短編シリーズ:雨

雨が降っている。窓を開けて外を覗くと、アスファルトの所々に光が反射して、無数の波紋が浮かび上がっては消える。

外に出る予定がない時の雨は嫌いではない。家の中で聞く雨音は、心に安らぎを与える。
家の壁や地面、様々な場所から雨音が響く事で、自分が薄い膜に包まれているような感覚に陥る。
なぜ安心感が生まれるかを説明することは難しい。もしかしたらそれは遠い記憶を覗き見る事でしか解明できない謎なのかもしれ

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