見出し画像

いつか言えなくなる前に

いつか言えなくなる前に、伝えておきたいことがある。
今更なんで?って思うかもしれない。
困らせたいわけじゃない。伝えておきたいだけ。わがままでごめん。

ずっと好きだった。
Odegaardの下のカフェテリアで初めて会った時から好印象だった。
「かっこいいハーフの先輩」。
最初は緊張で話すことすらできず、でもずっともっと知りたいな、近づきたいなって思ってた。
大ちゃんと同じバイトを始めたのもそう。
バイトを探してたってことより、大ちゃんと一緒にバイトできるってことの方が大きかった。
徐々に気軽に話せるようになって、大ちゃんのこと知れば知るほど、「好印象」から「好き」に変わっていった。読書が好きで、宇宙や星が好きで、Helveticaってフォントが好きで。頭良くて背が高くてカッコ良くて、完璧そうにみえるけど、オシャレはちょっと苦手だったり、流行に少し疎かったり、女の子と喋るの苦手だったり、ウケないギャグを小声で言い続けたり(笑)
全てがうちには「良いところ」に見えた。
バイトで一緒になる度に、ドキドキしてたの今でも覚えてる。
一度、後ろから頭を掴まれたことがあって、その時は心臓飛び出そうだったわ。

でもその頃大ちゃんには年上の彼女がいて。
最初からうちには手の届かない存在だった。
うちは「好き」を必死に隠して、近くにいれるだけでいいって自分に言い聞かせてた。

そのうちうちにも彼氏ができて。
それでも大ちゃんはうちの中では特別な存在であり続けた。
学年は違うけど、ご飯や誕生日会があったらいつも大ちゃんに声をかけた。
ただ単にうちが大ちゃんといる時間を増やしたかったから。

大ちゃんが彼女と別れてからは、バイト以外でも2人で過ごせるようになった。
「大ちゃんとカフェ」がその頃のうちの1番の楽しみだった。
もしうちが当時の彼氏と付き合っていなかったら、もっと大ちゃんと仲良くなれたのかな。
もしかしたら大ちゃんと付き合えたりしたのかな。その頃はずっとこんなことばかり考えてた。
このことが原因で一回彼氏とも別れた。(まぁ彼との話は長くなるので省略する。)

こんな感じで大学1年生の頃から思い続けてた訳ですが。
一度だけ、大ちゃんに対する熱が冷めかけたとこがある。
それはうちが就職活動をしてた時。バラードのスタバで。
はっきりとは覚えていないけど、うちが真剣に悩んでいることに対して、すごく簡単に、決めつけるような言い方で意見を言われた。
うちは大ちゃんからは大人な、うちを納得させてくれるような意見を期待していて。
「あー、大ちゃん分かってないわ」って思った。
そこから大ちゃんに対する気持ちは前ほどメラメラ燃えなくなった。

もちろん大ちゃんがうちの中で特別な存在なのに変わりはない。
お互い日本で就職してからも、2人で出かけることはうちにとって1番の楽しみであることに変わりはなかった。
カフェ行ったり、美術館行ったり、ご飯行ったり、買い物行ったり、プラネタリウム行ったり。

青山一丁目の駅のホームで告白されたときは、本当に嬉しかった。
今まであんなに憧れていた人。
長年の片思いが報われた瞬間。
昔の自分が聞いたらどれだけ喜ぶだろう。
・・・
でもその頃の自分は、元彼との別れがトラウマになっていた。
仲良い友達と付き合って別れたら、もう友達には戻れない。
大ちゃんは失いたくないって思った。
23歳の自分は、まだ結婚とかも全く考えられず、
付き合うイコールいつか別れがくると思っていた。
だから、仲良い友達とは付き合わないって決めつけてたし、
日本に来たばかりで、これからたくさん良い出会いがあるって思い込んでいた。
だから、断った身だけど、うちにとっても苦渋の決断だった。
断った後も、何度も何度も後悔した。
大ちゃんと会う度に、「あの時OKしていたら・・・」って。
でもうちは振った身、今更こんなこと言う資格ない。
きっと大ちゃんにはもっと良い人が現れるだろうって思い込むようにしていた。

その後、案の定、大ちゃんに彼女ができた。
台湾で2人の馴れ初めを聞きながら、「あぁ、大ちゃんはまた手の届かない存在になってしまったんだなぁ」と実感した。
相変わらず連絡は取ってくれているけど、うちが日本を離れてから、大ちゃんに彼女ができてから、時間が経てば経つほど、頻度は減り、内容は薄くなっていった。
全て自分のせい。
大ちゃんの幸せを祝福するために、自分の気持ちを押さえつけるしかなかった。

でも満月になると思い出す。
流星群の季節になると、大ちゃんと車を借りて見に行った時のことを思い出す。
プラネタリウム、エルサルバドルのコーヒー、恩田陸の小説。
空を見ると大ちゃんを思い出すし、コーヒーを飲む時、読書する時、スタバの新商品を見た時。

うちには今彼氏がいます。
7つ年上で、いつも結婚を考えさせられます。
自分が結婚したいと思っていた年齢に差し掛かり、結婚や未来を真剣に考えた時、
頭に思い浮かぶのは大ちゃんの顔でした。
大ちゃんとなら、想像ができます。
朝日が当たるリビングで、美味しいコーヒーを淹れ、朝食を食べ、お互い好きな本を読み、言葉がなくても「幸せ」が漂う空気感を。
美術館、博物館、写真展、映画館もたくさん行きたい。
冬には温泉旅行も行きたい。
将来はアメリカ、できればシアトルに住んで子供たちもマルチリンガルにさせたいな。
大ちゃんとは好きなものが似てるし、生活スタイル、価値観が合う。
他の人を好きになっても大ちゃんがうちの心からいなくなることはありませんでした。

大ちゃんが結婚して、うちの気持ちが言えなくなる前に。
一方的だけど、伝えさせてくれてありがとう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?