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運動能力とストレス対応

アドレナリンと聞くとどんなイメージが思い浮かぶでしょうか。

テストや重要な会議での発表などで緊張感が高まる時、またはスカイダイビングなど高揚感に駆られる時などもアドレナリンは分泌されます。

ヤーキーズ・ドットソンの法則によるとアドレナリンの分泌が高すぎるとパフォーマンスの低下を招き、逆に低すぎる場合は集中力が不足し目の前のことに意識を向けることができないと言われています。
しかし人生のいろんな曲面に置いてはアドレナリンの分泌とパフォーマンスはもう少し複雑になります。

最近のテキサス大学の研究では幅広い層の男女を対象にトレッドミルを使用し、運動強度に応じてノルアドレナリンの分泌レベルを計測しました。
個人差は多少ありますが被験者のノルアドレナリンの基準値は264前後です。

運動開始から9分後に一回、そして疲労によりランニングを継続できなくなった地点で2回目の計測を行い、体力レベルを4つのグループに分けて平均データを表すと顕著な違いが見られました。


ノルアドレナリンレベル 9分後 終了時
Group 1-体力 低    1,237  2,555
Group                                   721      3,730
Group 3           615   5,506
Group 4-体力 高      354   6250

ヒューストン大学長距離チームのコーチはアドレナリンに関して言えば、運動前のアドレナリンの数値がどの程度かは大した問題ではないと言い、重要なのはアドレナリン分泌のタイミングとのことです。
アスリートと関わる中で彼はガソリンのタンクを比喩として用いて、
トップアスリートは大きなガスタンクを持ち、そして効率良くガスを使うように目の前の出来事に対して体のエネルギーの配給も早くなります。

上記のデータ示すポイントはエネルギー配給の観点を指している
体力レベルが高い人ほど9分後の測定ではアドレナリン分泌量は体力レベルが最も低いグループに比べ約4分の1の量である。そしてペースが上がり苦しくなるにつれ分泌量は上がり疲労によるテストの終了時点では約3倍の量を分泌している。

体力レベルが高くなるとアドレナリンシステムはより効率的に、そして受容量も多くなります。
ストレス負荷が高くない状況ではより少ないアドレナリン分泌で済むことで、重要な局面のためにアドレナリン量をセーブしておくことを意味します。
これはマラソンのレースに例えると最後の数分、ラストスパートでペースが上がる重要な局面で多くのアドレナリンを分泌できことは苦しみの緩和、集中力の増加といった意味でも大きなアドバンテージでもあります。

仕事でも重要な場面でしっかり集中するために多くのアドレナリンを分泌する、そのために些細なストレス環境下ではアドレナリンの分泌をセーブしておくことが大事です。

運動と聞くと心肺機能を高め、筋力強化のイメージをしやすくなるかもしれませんが、ストレス環境下にも身体が適応するメリットがあります。
ランニングなどの有酸素運動はアドレナリン分泌量と効率性を高めるデータを示してくれるように、これは誰もが運動から得られるメリットでもあり運動を持続した方がいい新たな側面でもあると言えるでしょう。

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