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政治の終わりを生きて

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#市民派

反「市民」の運動論-こたつぬこ(木下ちがや)の『「社会を変えよう」といわれたら』を読む

  twitterでは、こたつぬこというアカウント名で知られ、3.11以後の国会前における社会運動シーンにおいて奮闘した、新進気鋭の社会学者で民医連の事務員でもある木下ちがや氏の『「社会を変えよう」といわれたら』を遅ればせながら読みました。

 最初、読んだときは、社会運動本にありがちな人々の語りに基づいた濃厚かつ克明な記述は乏しく、肩透かしを食らったような気がしました。一般的に社会運動の本はどう

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歴史になるということ

 歴史という営みは、どの時代まで扱うのだろうか。明治維新以前までだろうか、アジア太平洋戦争の終結までだろうか、冷戦の終結までだろうか、もしくは昨日までだろうか。

 歴史上の人物との関係はどうだろう。徳川慶喜は教科書の中の人物であって、現在を生きる個々人が様々な感情を伴って評価する対象ではないだろう。それでは、小泉純一郎の場合であったら。構造改革の是非、ポピュリズムか否か人々が思い思い語るかもしれ

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政治の終わりを生きて-忘却の淵から立ち上がる

 「政治の終わり」と言われると、保守政治家が権力を私物化したり反動的な政策を施行したりすることだと思う人もいるだろう。また、ある人はアニメ銀河英雄伝説から「政治家が賄賂を取っても、それを批判できない状態」と言うかもしれない。

 この世にはそれなりに経済力のある人で、まじめで比較的社会的な事項に関心があり、勇敢な人がいる。お金持ち全員が自分のことだけを考えている訳じゃない、利他的な人もいる。そのよ

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