見出し画像

2020年 東京大学院 合格体験記

東京大学院の合格体験記について今回は記載していこうと思います。

1.合格先

1:東京大学 情報理工学研究科 システム情報学専攻 進学

2:東京大学 新領域創成科学研究科 複雑理工学科 途中辞退


2.プロフィール

自分は早稲田大学、基幹理工学部、情報理工学科に所属していました。

画像1

正直、大学4年の春まではフィリピンにwebエンジニアとしてインターンをする or イギリスの大学院に進学予定でしたが、”ヤツ”の影響により海外に行くことが難しくなってしまったため、国内最高峰の東京大学の大学院に進学しようと決意しました。

自分は大学3年からVRを使った不動産会社のwebエンジニアとしてインターンをしていたり、大学の授業口コミサイトを作るなど、基本的に実用的なスキルを使うことをベースに考えていたので、あまり大学の関係ない授業の勉強は単位を取る程度にしていました。GPAも2.6と至って普通か平均以下くらいです。

3.勉強開始時期

上記で述べたように、海外留学orインターンを考えていたので、本当に試験対策を始めたのは大学4年の4月1日だったと思います。

それまでの学力はGPA2.6程度で、早稲田大学の授業でも半分以下のレベルなのでなかなか下のほうだと思います笑。

その時には試験で使用する、線形代数、微分積分、複素積分、フーリエ変換、ラプラス変換、微分方程式は正直全部名前を聞いたことある程度でしたね。線形、微積は一応授業を受けていましたが、1年の時であり「行列式ってなんだっけ??」くらいのくそ雑魚でした。今考えるとなんで受かったのか不思議ですね。

何にもわからないまま謎の自信だけを持って勉強を開始しました。

4.試験内容

情報理工学研究科では研究科共通の共通数学と学科ごとの専門科目、そしてみんなの嫌いなTOEFLで専攻が行われます。具体的な配点は公開されていません。また研究計画書を事前に提出し書類選考、面接に使用します。

書類選考:研究計画書A4×3枚

共通数学(3時間):大問3つ(各、線形代数、微分積分、確率統計学)
※たまに複素解析、ベクトル解析が絡んできます。

専門科目(2時間):信号処理、電子回路、制御工学、コンピュータアーキテクチャ、物理学から2つを選択します。

英語:TOEFL(ibt)またはTOEFL(itp)を事前に提出します。


ただし今年はオンライン試験に変わりイレギュラーな試験方法になりました。↓2020年イレギュラー試験内容

書類選考:研究計画書A4×3枚

共通数学(30分):大問6つ(各、線形代数、微分積分、確率統計学)
※たまに複素解析、ベクトル解析が絡んできます。

専門科目(20分):信号処理、電子回路、制御工学、コンピュータアーキテクチャ、物理学から1つを選択します。

英語:TOEFL(ibt)を事前に提出します。

差がつかず計算ミスを確認する時間もないので計算ミスしまくる自分にとっては最悪な試験でしたね。

5.スケジュール

大まかなスケジュールについて記載します。

4月:とりあえず数学の参考書を買ってみる。

5月:数学はある程度終わり、専門科目も始める。書類選考のための研究計画書をまとめる。

6月:過去問を解いてコテンパンにされる。スイッチ入った気がした。

7月:TOEFLで爆死する。死ぬほど問題演習しまくるのみ。面接練習もしっかりやる。

8月:試験本番。

※詳細↓

4月にとりあえず数学から始めようと思い、ネットにあるありとあらゆる合格体験記を読みあさりました。必要な参考書や勉強プラン、周りのレベルや最低合格点に近い点数、合格人数など必要なデータを書き集めました(下記で超詳しく解説します)。大学院入試は情報を得るのが難しく、努力×情報量で決まるといっても過言ではないです。ここがかなり勝負を分けます。

4月中やったことは、数学の基礎である線形代数、微分積分、統計学、常微分方程式、偏微分方程式を一通り「キャンパス・ゼミ」シリーズ講義ver(後述)を一通りやりました。本気出せば講義verは読みやすくわかりやすいので、1日1冊できます笑(個人差あり)。

※数学の具体的な勉強方法、対策方法は別の記事に記載します。

5月は数学が一通り終わったので、専門科目の対策を少しずつ始めました。システム情報学では専門科目を5個の中から2つ選択するので(信号処理、制御工学、電子回路、コンピュータアーキテクチャ、物理)自分は制御工学と電子回路を勉強することにしました。

※専門科目の具体的な対策方法は別の記事で紹介します。

数学は残りの複素解析、フーリエ変換を終わらせつつ、4月にやった参考書も含め2周目を終えました。

6月は7月10日に受験予定のTOEFL(ibt)の対策をメインにしました。自分はもともとTOEFL(itp)を当日受験予定でしたが、今年度からTOEFL(ibt)のみ使用可能になってしまいギリギリで申し込まされました笑。なので自分だけでなくほぼ全受験生が対策時間がなかったため差がつかないだろうと割り切っていました。

※英語の具体的な対策方法は別の記事で紹介します。

また同時に過去問を初めて解いてみましたが、ボコボコにされて正直1割くらいしか解けませんでした。が、何を勉強すればいいか過去問をみたらスッキリわかったのでそれほど焦りませんでした。共通数学はだいたい小問1~4くらいまでは「キャンパス・ゼミ」に載っている内容で、残りの2問程度が少し難しめの「演習 大学院入試問題」に載っているなと気づいたのでこれ以外の数学の参考書には手を出しませんでした。

7月にある程度試験内容が発表されましたが、数学30分、専門科目20分、面接30分という学力よりも研究力をみる素晴らしく最悪な入試体系に変わったことが知らされます。ただ特に変わった対策をする必要もないと思ったので、過去問で合格点を取るように勉強をしました。自分は複雑理工とシステム情報を併願しましたが、複雑理工の過去問は死ぬほど簡単だったのでまずこっちの過去問を進めて、次に情報理工の過去問を進めました。この時点で新領域は受かるだろうと思っていたので少しメンタルケアになりました。

この月には地獄の書類選考の結果が返ってきました。両方とも同じ研究室に出していたのでほとんど同じ研究計画書を出しましたが、両者とも通過したので安心&エンジンになりました。予想より研究計画書で落とされていて鳥肌が立ちました。

8月は基本的に新しいことはせずに今まで解いた問題の復習をしていました。3周くらいするとどんなにバカな自分でもさすがに解けるようになりますし、この時期から始めた2015~2011年の問題(入手方法は別途記載)はほとんど合格点を取れていたので、気持ち的にはかなり楽になりました。

情報理工の受験が最初でしたが、数学30分で6問あり、その中で証明問題が2問というとてつもなく時間が厳しい戦いでした。自分は4問正解、1問計算ミス、1問時間足らずというかなりギリギリラインに立たされました。

続いて専門科目でしたが、制御工学を選択し20分で4問あり、こちらは3問正解、1問計算ミスというまたもや微妙な感じで終わりました。

次の日の面接は、前日の試験内容について説明するように言われたことプラス研究計画書の内容について諮問されましたが、見事に素晴らしい返答を連発してなぜか教授たちにめちゃくちゃ褒められました。笑


6.参考書

ここでは2つの研究科の各科目の対策参考書を紹介します。
具体的な対策方法は別の記事で紹介します(長くなるので)。
基本的に新品がいいというこだわりがなければラクマやメルカリで購入するのがいいと思います。
↓システム情報

数学

範囲が線形代数、微分積分、常微分方程式、偏微分方程式、統計学がメインになるので、基本的には「キャンパス・ゼミ」→「演習・大学入試問題Ⅰ&Ⅱ」をやれば十分対策可能です。たまに複素積分も出るので心配ならやっておくといいと思います。


専門科目

自分は制御工学と電子回路を選択しました。
制御工学は以下の2つをやればほぼカバーできますが、たまに出る論述問題に対応できません。論述対策にはおすすのYoutubeがあるのでご紹介します。​勉強の流れとしては、まずJSMEシリーズの制御工学とYoutubeで理論を学んで、「演習で学ぶ基礎&現代制御工学」で演習すれば特に問題なく過去問を解けると思います。

↑基本的な制御工学の計算はこの参考書で解ける

↑論述対策用の参考書とYoutube


電子回路はほとんどオペアンプしか出ませんが、5年に1回くらい普通の回路もでるので両方しっかりと対策したほうがいいです。
オペアンプはそんなに難しくないので以下の参考書をやれば基本的に問題ないと思います。

↑電子回路全くやったことない人用

トランジスタやダイオードについては基本的にでないので参考書に載っていますが流し読み程度で大丈夫です。とにかくオペアンプを完璧に。

また自分は手を付けていませんが、ほとんどの人は以下の二つの参考書で対策をしているようなので紹介をしておきます(自分はお堅い参考書は嫌いなのでやりませんでした)。


↓新領域

試験は数学のみで範囲は線形代数、微分積分、フーリエ解析、確率統計学です。こちらは「キャンパス・ゼミ」で学習した後に、過去問をやれば基本的にカバーできます。情報理工学科と並行して対策すると範囲がかぶっていることもあり勉強しやすかったです。たまに常微分や偏微分が出るのでやっておくと安心です。


7.過去問入手方法

直近5年分の過去問は東京大学院のホームページにアップロードされているのでそこから入手しましょう。

2015年度以降は内部性の知り合いがいればもらえますが、自分は知り合いが一人もいなかったのでメルカリで入手しました。

また解答についてはいくつか解答を掲載しているサイトがありますが、間違いが多かったり見づらさがあるので自分なりに見やすい&わかりやすい解答を上げていこうと思いますので他の記事も見てみてください。

8.試験本番

試験のスケジュールはこんな感じでした。

8月17日:システム情報 筆記試験(数学&専門)

8月18日:システム情報 面接 & 新領域筆記試験

8月24日:新領域 面接

ここで事件が起きるのですが、システム情報の面接とと新領域の筆記試験がかぶり、どちらかを辞退しないといけなくなってしまいました。。。新領域は正直ほぼ合格する自信はあったのですが、本郷のキャンパスに行きたい&レベルの高い生徒に囲まれて勉強したいという気持ちがあり、やりたいこともシステム情報のほうが近かったので新領域は受験直前に辞退しました。

システム情報の数学の筆記試験が10時から30分でした。範囲も知らされなかったので本番まで怖すぎましたが、線形代数と微分積分だけ出たので自分はかなり得意な範囲で気持ち的に落ち着いてできました。過去問は別の記事で解答と一緒に公開しておきます。

専門科目はそのまま同じ日に20分で行われました。制御を解く予定で、無理だったら回路という流れで選択する予定でしたが、問題を見たら制御が簡単そうだったのでそのまま制御を解きました。ブロック線図から定常偏差の計算、極配置法の計算で誰でも解けるのが逆に怖かったです。

二日目の面接では基本的に1日目の数学と専門科目の解答した自分の解答用紙を見ながら質問されるだけだったので、問題なく答えることができました。また自分の研究テーマについて深堀されましたが、その場に自分の志望する研究室の教授がいなかったため別の教授からの視点で質問されましたが、何とか答えられたので問題なしですね。

9.まとめ

今年はかなりイレギュラーな試験でわからないことだらけで対策というより自頭勝負になってしまいましたが、無事第一志望に合格できたので良かったです。

来年度からどのような試験になるか全くわかりませんが、しっかり勉強すれば大学院入試は誰にでもチャンスがあります。自分の今の状況にとらわれず、やりたいことをしっかり持ってチャレンジしてみましょう。

自分は他にも過去問や対策法についてのブログを書いていくのでぜひフォローして読んでいただけると幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?