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【消すかも】マクアケ「早割」設定の考え方

※今回は会社のノウハウになる部分も大きいため、場合によっては削除する可能性がある点、ご理解頂けますと幸いです。

皆さま、お世話になります。先日のカンブリア宮殿はマクアケの特集でした。観て頂いた方いらっしゃいますでしょうか?

僕も数秒映っていたのですが、
「ジャガイモはもう少し攻められる」
という迷言をドヤ顔で放ち、国内に強烈なインパクトを残すことができました。

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余談はこのくらいにして、今回のテーマは「リターンの早割について」です。「早割」とは、下記のように「早く応援購入した人ほど安くなるような割引」のことを指し、Makuakeでは主流のリターン設定となっております。
(参考:https://www.makuake.com/project/lestar/)

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結論から申し上げると、早割設定は基本的に必要だが、個数の設定に慎重になるべきだと、このnoteでは主張させて頂きます。
もはや早割設定が当たり前かのように思っている方も多くいらっしゃることかと思いますが、上手く付き合わないと、むしろ逆効果の場合もあります。

■そもそも、早割はスタートダッシュを決める「イチ手段」

そもそもですが、「早割」設定はスタートダッシュ(※1)成功のための手段です。なので、事前の告知が順調に進みスタートダッシュの成功が確約されている場合など、過度な割引設定は不要です。
例えば、割引せずに50人の初日購入が確約されているのに「先着10名様50%OFF!」というのは悪手です。
おそらく、残りの40人の購買意欲がなくなってしまうでしょう。
早割とは、あくまで「スタートダッシュを成功させるための手段」という認識を、まず持って頂けると嬉しいです。

■早割設定のデメリット

早割設定にはデメリットがあることを、実行者の皆様は知って頂く必要があります。
まずは、下記のアンケート結果をご覧下さい。

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17票という武田の人徳の無さはさておき、約60%の方が「早割」を支援できずに、リターンの支援を諦めたことがあるというデータです。
有名なプロスペクト理論によれば、人は「得をしたい」というより「損をしたくない」生き物であるので、この結果には納得できます。
つまりなにが言いたいかというと、「早割」を設定することで、本来買ってくれるはずだった人が買わなくなる可能性がある、ということです。

■なぜ早割をやった方がいいのか

とはいえ、早割をやらない方が良いかというと、そうでもありません。上手く活用できれば、スタートダッシュを成功させることができ、その後のサポーター獲得にも繋げることができます。
なぜか。
それは、早割を設定しないと、顧客が初日に購入するメリットがないため、です。
新規顧客はもちろん、既存顧客についても「皆さまには特別に早割をご案内しております」のようなコミュニケーションが必要なため、実行者さんと特別な関係がない限りは、初日に買う理由はありません。
信者のようなファンがいて、割引をしなくとも「このブランドのためなら、初日に待機しておきます!!❤️」というケースを除いては、早割は必要な手続きです。

■早割の個数や金額感について

早割を設定した方が良いのは分かった。でも「どのくらいの割引」で「どれくらいの個数」を用意すればいいのか?
結論、初日の売上目標から逆算して設定します。
そして、初日の売上目標は、プロジェクト全期間の売上目標によって決まるので、全体の売上目標によって、「どのくらいの割引でどれくらいの個数を用意すればいいのか?」が決まります
(全体目標の規模によって、初日目標の占める割合が異なるという分析結果もあるのですが、長くなるので割愛します。)
集まる金額は「サポーター人数×単価」で決まりますので、割引率と用意する個数は表裏の関係になります。
どちらから決めてもいいのですが、サポーター人数から決めた方がロジカルな説明ができるので、ここではこの方法を取ります。
よって、初日の必要サポーター数から逆算した必要リターン数を設定する訳なのですが、これは「初日に買ってくれる予想人数」によって設定の仕方が変わります。そしてこれは、既存顧客のチャネル別連絡可能数とCVR(購入率)で決まります。
例えば、メールマガジンでの新商品案内へのCVRはこれくらいで、Twitterでの割引案内のCVRはこれくらいだから、初日の人数はこれくらいいくだろう。といった具合です。
その人数によって、下記2パターンで考えます。

・既存顧客だけで初日目標の達成見込みが高い場合

基本的には、この「予想人数」より気持ち多めに最も安い早割を用意します。
なぜか。理由は簡単で、既存顧客を悲しませてはいけない、という視点と、元々早割を案内されていたので、それより高い価格では「損をする」という思考が通常より働きやすい、という理由です。
また、「気持ち多め」なのはあまりに数が多すぎると、既存客の「特別感」が失われてしまうのと、自然流入した新規顧客の購入意欲が削がれるからです。

・既存顧客だけでは初日目標の達成見込みが低い場合

この場合、初日目標から逆算し、場合によっては早割を2段階で設定します。
まず、1番安い早割を「予想人数」より気持ち多めに設定するのに変わりはありません。理由も同じです。
ただ、これだと初日目標を達成できないので、もう1段階早割を設定し、この2段回での初日目標達成を狙います。(Makuakeでは「超早割」「早割」とネーミングすることが多いです。)
ここで注意すべきなのが、段階間での価格差です。ここに大きな開きがある場合、「■早割設定のデメリット」で述べたような心理が働き、購入ペースが鈍化する場合があります。
価格差に答えはありませんが、例えば同じ1000円でも、3500→4500と4500→5500では微妙に重みが違うので、この感覚を研ぎ澄ませる必要があります。
このようにして早割リターンの大体の個数が設定できたら、後は原価などを考慮しつつ、割引率を調整していきます。

ここまでお読み頂いて、優秀な皆様であればお気付きかもしれませんが、よくある「何%割引が効果的ですか?」という質問はナンセンスです。割引率は結果的に決まるものであり、決して出発点にはなりません。

■事前広告との連動

以上で、早割の個数や割引率の大まかな決め方は終わりましたが、ここでは応用編として、プロジェクト開始前、事前広告を行う場合に考慮すべき点についてお話しします。
プロジェクトが始まる前に、ネット広告などで新規顧客に事前告知を行う場合も、やはり早割の設定は必須となります。
「事前告知→LINEやメルマガに送客→開始と同時に公開案内」という流れなのですが、①と同じで、明確なメリットがないと新規顧客はLINEやメルマガに登録しませんし、例えリマインダーとして登録したとしても、初日に買うメリットがありません。
事前広告をする場合の論点として、「割引率を訴求するか」があります。
どういうことか。事前広告で、例えば「最大◯◯%割引!」と訴求する場合、特に割引率が大きい場合は、登録率が高くなることが予測されます。
しかし一方で、予想以上に登録が集まった場合、せっかく登録したのに「最大◯◯%割引」で購入できない方も発生してしまいます。
「予測されるサポーター数から算出する割引率を、はじめから固定することが原因となり、このようなジレンマが発生してしまうのです。
事前広告経由の登録数、及びそこからのサポーター数を試算することもできますが、このあたりを科学するのは非常に難しく、筆者自身も検証をしきれておりません。
しかし、ひとつ言えることは「事前広告を行う場合、無理した割引を設定しない」「後から個数を柔軟に増減できるようにする」ということでしょう。

■まとめ

いや、長すぎて読めんかったわ!!という方のためにお纏めすると、
・基本的に、早割はやった方が良い
・売上目標からの逆算で、個数→割引率を設定
・早割のリターン数は、予測人数から判断
・事前広告を実施する場合は、無理した割引率を設定しない

日曜日に長文失礼致しました。なにかご質問あれば、Twitterからお願い致します。

※1
MakuakeはUIの性質上、初日にPVが集まることから、初日に集まった応援購入金額がその後のメディア掲載などに影響を与えます。
そのため、初日の応援購入金額を重要なKPIとしており、それを「スタートダッシュ」と呼びます。

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