映画感想:ゴジラ -1.0
今更感すごいけどゴジラの新作観たぞー!
ゴジラといえば、12月になって「ゴジラvsコング」の新作の映像の一部が話題になりましたね。
おどおど走ってるゴジラ可愛い。
ゴジラのような歴史のある作品は「ゴジラとはこうあるべき」「こんなのゴジラじゃない」といった過激な思想をもつ人たちがいますが
さて今回の「ゴジラ -1.0」はどうだったのか。
感想を記していきます。
※ネタバレを含むのでご注意を
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先に結論から言いますが
総じて良かった、っす。
受け入れづらい部分もあるだろうなぁ、と鑑賞中に思う部分もありました。
たぶんこれね、IMAXのフルスクリーン映像と迫力満点の音がないと「ああもう細けえことはどうでもいい!」と頭を切り替えられなかったかもしれない。
せっかくのゴジラなので、映像と音で楽しむべきかな、と思います!上映中の劇場は少なくなってきてるかもしませんが「サブスクにきたら観ます」って人にはぜひ劇場で、できればIMAXでの視聴をオススメします。
では良かったところから語ります。
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「シン・ゴジラ」のゴジラにも勝るとも劣らない無慈悲さ、膝から崩れ落ちそうになる絶望感、これは良かったですね。
ゴジラの登場シーン自体は正直少なく、改めて考えると
細かい露出を除けばこれぐらいです少ないっ!
ただどこを切り取ってもゴジラがすげー怖く描かれてるんです。
冒頭の大戸島では少しミニマムサイズだからこそできる人ひとりをカプリを齧るシーンだったり、機雷つかっても再生するところだったり、銀座で熱戦ブチまけるところだったりですね。
これは「ゴジラ」という名で語っていいものか、という論もあるようですが私的には問題なかったですね。「シン・ゴジラ」が一番好き!みたいな層は受けがよさそう。
私的には特に「眼」がよかったなぁ、と思ってるんですよ。というのが今作のゴジラはすげー眼が合うんですよ、圧倒的な力の差がある生物と目が合って「あ、やっべえコレ死んだわ」みたいな感覚が良かったです。
映画のタイトルにある「マイナス1.0」ってのもわかりやすくていいですね。終戦間もない傷ついた状態、「マイナス」の状態から這い上がってそれでも生きていくんだ、というメッセージが一貫していて伝わりやすいです。
神木隆之介くん演じる主人公「敷島」の
というあまりにも無慈悲なマイナスっぷり。
山崎貴という監督は「スタンドバイミードラえもん」撮ってる人ですよ。そこまで暗い内容ぶっこんで来るとは思わないじゃないですか!作品内の雰囲気の肯定さが半端じゃないよ!
山崎貴が監督だっていうので正直舐めてたんですよ、だって「スタンドバイミードラえもん」に「ALWAYS 三丁目の夕日」に「ジュブナイル」の人でしょって。
私と同じように舐めてかかった人は結構いると思う。それだけに物語の無慈悲な現実感とゴジラの圧倒的な暴力に、いい意味で面食らった人は多いと思う。
クライマックスに向かうにつれて「どうか、このゴジラという恐怖の存在に打ち勝ってくれ!」と前のめりになっていけました。
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こっから悪い点を3点ほど述べていきます、本作がとても好きだ!という方は注意していただきたい。
まずあまりにも説明的すぎる。
これは山崎貴の作風なんだと思いますけど悲しみに浸ってる人間がでけえ声で「生きて帰ってきてって言ったじゃないか」みたいに独り言いわんのよ。
すげえ映画的といいますか、現実ではそんな風に喋らないよね、ってのをメチャ言うんですよね。この説明的すぎるセリフが随所で出てくるので、いい感じにのってきた気持ちにストップをかけられちゃう感がありました。
特に佐々木蔵之介演じる新生丸の船長の秋津淸治、こいつ喋りすぎ。対ゴジラの作戦前夜に若い仲間の船乗りに「お前は明日の作戦にはくるな」といって去っていくシーンですよ。
かっこよさげに去っていきながら「日本の未来はお前たちに任した」的なことをでけえ声でポツリと言うんですけど寒すぎです。隣にいた吉岡秀隆は真顔でしたけど絶対に「うわ~コイツ完全に自分に酔ってるよさむ~」って思ってるって。
で、こういうシーンって省けるんすよ。
登場人物の心理状態なんかをわかりやすく伝えるためにあるんじゃないのっていうシーンで、これが結構おおいんですよね。上映時間が125分と結構ながいんですけど、もっと短くできたんじゃないか、と思いました。
二点目にあまりにも漂白されてる。
主人公である敷島となし崩し的に同棲生活を送ってる典子という女がいるんです。若い綺麗な人ですよ浜辺美波ですよ。戦争孤児の赤ん坊もいて、疑似的な家族生活を少なくとも2年以上過ごしてるんですよ。
絶対にセックスしてるやろ。
絶対にしてるやろ。
でも作中の描写をみる限り、チューすらまともにしてない可能性すらある。いやセックス見せろっていう訳じゃないのよ。ちょっと流石に無理があるよね、なんだよ。神木隆之介が命を懸けてかたき討ちをしたい!って思考になるにしてもそれぐらいの想いを感じさせる距離感を示してほしかった。
あまりにも他人行儀すぎる。
大戸島のゴジラ襲撃シーンがトラウマになってEDになってんのかもしれないけど、EDの人でもチューぐらいするやろ。
この漂白されたうっすい人間関係の二人をみて「素敵なカップルだわー」なんて思うのは童貞と処女だけだと思います。
漂白されてると感じたのは、人間関係だけじゃなく描写にもあります。
例えばあまりにも血が出なさすぎです。結構エグいシーンが多いだけに血が流れないことの不自然さが目立ちます。
大戸島でゴジラが人間をカプリと齧るシーンがあると書きましたが血が1滴も出てない様に見えました。そんな訳ねえだろと、なんなのゴジラが甘噛みでもしてるの?
ゴジラという題材がそもそも大衆的な娯楽的な特撮であることから、リアルな暴力性を感じる描写を避けたのかもしれませんが「血が流れない」ってのと「死体がほぼ映らない」とか「まともな被ばくの描写がない」みたいなんが
都合のいい部分だけ切り取って映してるに過ぎないんだなぁと思わざるを得ませんでした。
最期に細かいアラが目立ちます。
銀座でゴジラが大暴れしてからクライマックスまでの時間経過どうなってんの?みんな集めて海神(ワダツミ)作戦しますっつって時に「ゴジラが再度上陸するまで10日間もないかもしれない」みたいにタイムリミットを示してたのに
そっから整備士探しして…って悠長過ぎるわ!!
敷島からすれば大事なことかもしれないけど無駄に捜索に時間がかかってるから「こんな緊急事態に個人のこだわり引っ張るなよ」と冷める部分がありました。
特にこの「ワダツミ作戦」はアラだらけ。ゴジラが熱戦を連発できないとか事前に共有しとけよ!完全に指揮さがってただろバカ学者!
武装解除されて武器がほとんどないって言ってたのに飛行機につむ大量の爆弾すぐ調達できたんかい!とか
なーーんかねぇ
もうちょい感がすごかった。
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悪かった点めっちゃ長々と書いちゃったけど
総じて良かったんですよ面白かったんですよ。
なんなら悪かった点として「漂白されすぎてる」みたいなこと書きましたけどこれは山崎貴という監督の「大衆性」であって、良い点でもあると思うんです。
よりリアルな暴力描写やセックスシーンを差し込んで、老若男女さまざまな人に対する抵抗をつけるよりはいいのかなって。
「大衆性」といいましたがどちらかといえば山崎貴という人が「優しい」のかな、とも思いました。最後のワダツミ作戦にむけて吉岡秀隆が「この作戦では皆が生きて帰ることを誇りにしたい」といいますよね。
どだい無理な話ですよ。
ボタンが一つ掛け違えただけで東京が再度焼け野原になってもおかしくなかった状況ですよ。典子が生き延びてるのも可笑しいでしょ。あんだけすげー勢いでぶっ飛んでたのによ。でも「生きて、抗え」のメッセージ性を考えれば死んじゃダメですよね。
死なないからこの作品は目終えた後に「頑張って生きよう」と思える作りになっている、と思いました。
やっぱ「スタンドバイミー ドラえもん」や「ジュブナイル」の監督だな!
オススメです!
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