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我輩は犬なのかもしれぬ。

もう30年以上前。
小学生の頃に、それはそれは大きくて黒い犬に追いかけられて踏切に閉じ込められた。そのおかげで、犬よりも電車の方が100倍恐いということを知った。

そんなぼくが大人になると、某金融会社アコムのCMに、この世のものとは思えないほどキュートな生き物が登場した。
そう、チワワの「くうちゃん」だ。
衝撃的にかわいいんだけれども、それはぼくが知っている「犬」とはあまりにもかけ離れていたため、すぐに犬とは理解できなかった。

すぐに自慢のガラケー(J-PHONE! 藤原紀香!! 写メ!!!)で調べてみると、間違いなく「チワワ=犬」であることが判明。なんと、世の中にこんなにかわいい犬が存在したのか…と大きなショックを受けたことを覚えている。
だって、犬は大きくて黒くてよだれを垂らしながら唸る生き物だったから。

そして、その1年後くらいだろうか。
知り合いの風俗嬢(現在、同じ旦那さんと2度目の再婚を果たし、3回目の結婚生活を満喫している)からぼくの人生を変える電話がかかってきた。

「チワワ買った。すぐに見に来い。気絶するほどかわいい」

もちろんすぐに見に行った。そして、まるで生まれたての子鹿を見つめるように、自分史上最も優しく、その生き物を抱いた。
その瞬間…ぼくの「犬嫌い」は消え去った。

その後は、そのチワワを週に2度ほど強引に預かり、ぼくのペット飼育不可マンションで蜜月の時を過ごしたり、その結果、追い出されたりもした。
さらに、東にトイプードルと暮らしはじめたスカウトマンがいれば、行って肉球の匂いをかぎ、西にミニチュアダックスを飼い始めた元アイドルがいれば、勝手に散歩時の必須コマンド「付け」を仕込み、南にボストン・テリアを…といった具合で、平成の宮沢賢治ぶりをいかんなく発揮し、ぼくの犬熱はぐんぐんと上がっていく。

最終的には犬のような顔をした奥様と結婚をした

彼女の実家にいた16歳のシェルティの最期を看取る頃には、中型犬もイケるようになっていた。
そして、気がついたらぼくたちの家にはいつも首をかしげている♂のパピヨンがいたのだった。

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お見合い時。カワイコちゃん♀からの熱視線にも反応無し…

彼とはそれなりにドラマチックな時を過ごし、4年前にお別れした。
尻尾を齧られて毛が生えなくなったり、お見合いした美人のパピヨンからの悩殺ポーズに気づかなかったり、生まれたばかりの息子&娘(人間です)の寝返りの下敷きになったり、買って2日目の新車の後部座席にうんこをしたり、それはそれは盛りだくさんの喜怒哀楽を我が家にもたらしてくれた。

そして…最期は家族みんなが揃っている日曜日の午後、ぼくが起きるのを待っていたかのように息を引き取った。

最近でも息子から「あの時、お父さんが泣くのはじめて見たよ」といじられるが、ん? 俺、泣いてたの? ま、11年も一緒だったんだもの。そりゃ泣くだろうさ。

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この写真は舌を出しながら寝てるだけです。

う〜ん、と。
えっと…。

「犬っていいよね(ニコ♥)」(そうですねー)
※結論:犬ネタは上手くまとめられない。

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