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宇宙時間

東野たま
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正確に割り出された航路の上を、順調に進んでいるわたしという名の宇宙船。

あらゆるものに恵みを与える太陽エネルギーが、本当は生身のわたしに一瞬で死を与えるほどの脅威であることも忘れ。

順調な、
あまりに順調な旅路。

ゆっくりと通り過ぎてゆく魚群のような流れ星。
現実感のないその色彩の美しさに、ただ目を奪われていた。



その瞬間!
目の前に忽然と現れる強大な敵。

すべてを飲み込もうとする暗黒。
その気になればこんな宇宙船なんかひとたまりもない。

科学技術に胡座をかいた人類を、あざ笑うかのような圧倒的なまでの虚無。

宇宙に始まりを、歴史を、与えようとするなんて
愚かな人類の横暴でしかない。

小賢しい分別を捨て去らなければ、
宇宙そのものを理解することなど到底不可能だ。

数学は諸刃の剣
物理は矛盾の底なし沼

この広大無辺の宇宙空間では
ただ真理だけが永遠の法則に従い、ゆらゆらと漂っている。
乏しい言語しか持たない我々は、それを具現化することができない。

虚無が去ってゆく。

今回は何とかやり過ごせたが、次回もやり過ごせるという保証はどこにもない。
早く手を打たねば……
そう、早く手を打たなければ!

この「宇宙時間」は、
地球と異なった速度で今も進んでいる。

刻々と、その存在そのものを変化させながら。

それが何を意味するか
我々人類は、まだ知らない……



久しぶりに音楽&詩を投稿してみました!聴いていただき、ありがとうございます。宇宙は無限の想像を掻き立てる最も身近で、最も遠い、そんな不思議な存在ですね。

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