見出し画像

丑の日の幸運

東京と福岡の経度差は、約10度。
よって、約40分ほどの時差がある。
20時あたりで、ようやく暗くなり始める。

博多・天神での会議が終わり、それでもまだ明るい中、新天町を突っ切り、天神中央公園の中を歩いた。
街の中心部にありながら広大な公園には、木々に埋もれた階段状のビルが大きくそびえ、そのビルの前を高く見上げながらさらに奥へと歩いた。

橋を渡ると、今度は一転して、三角帽子を被ったようなレトロな二階建ての建物が、小さい公園の中に構えている。
閉ざされた門を横目で追いながら、さらに奥へと歩いた。

通称「であい橋」と呼ばれる橋。
ここから、中洲川端の街並みと那珂川の流れがパノラマで広がる。
暗くなれば、街の夜景と川面に映る夜景とが重なり、幻想的な眺めを見ることができるのだが、まだ陽は沈まない。

橋を渡り、中洲中央通りに向かう。
ここはいわゆる、新宿歌舞伎町だ。
きらびやかな店が立ち並び、大音量の音楽・宣伝が耳をつんざく。
その中の一軒の暖簾をくぐった。


幸運にも今日、博多に来たからには食べて帰らないと。
東京では、まず食べることができないし。
と、仲のいいお客様に招待された。
鰻のせいろ蒸し。
これを食べると、普通の鰻重が物足りなくなる。
米粒ひとつひとつにタレがしみ込み、鰻の上に乗った錦糸卵が絶妙にマッチしている。
むしろ山椒は使わない方が美味しい。

大変美味しくいただき、店を出た。
陽はすっかり落ちているが、街は煌々と眩い。
二軒目、きらびやかな店ではないお店で飲んで、博多駅前の宿に戻った。


不幸にも、明日朝早いフライトで羽田に戻って、東京で会議。
食べ過ぎ飲み過ぎで腹痛いとか言って、休みたいと本気で思う。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?