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良い上司・先輩の基本的条件をおさらいしよう

 私は短期と長期を含め、5つのアルバイトを経験し、大学でも4つのサークルを渡り歩いた。社会における多様な人間関係を経験するにあたり、多くの反面教師も見てきた。
 当記事では、自戒も兼ねてその理想像、というより、基本的にこのように振る舞うことが好ましいという年上(主に上司として)のあり方をおさらいする。
 ぜひ、参考にしてみてほしい。

①部下の体調や状態把握ができている


 これができない上司は、部下に対し、キャパシティ以上の仕事を振ったり、能力以上の成果を求めてしまう。そうした場合、部下は体調を壊したり、最悪、退職する。
 良くない上司は「これだけお金を払っているのだから」とか、「社会人だから」とか、何かと理由をつけて本人が持つ実力以上を発揮させようとする。
 “無理をさせてキャパシティを拡張させること”と、“成長を手伝ってキャパシティを拡張させてやること”は別である。
 ここで上司がすべきことは、「お前はもっと早く仕事をすべきではないか」と頭ごなしに注意したり、時間外労働を強制するのではなく、「ここを工夫すれば早くなるんじゃないか」「落ち着いて仕事をしてくれていい」と、具体的なアドバイスをしたり、フォローすることで緊張を和らげ、仕事に取り組みやすい環境を整えてやることだ。
 上司が催眠術師でもない限り、言葉一つでエンパワーメントされることはない。上司含め先輩や経験者の役目の一つは、新人の援護である。

②注意とは何かを心得ている


 上司や先輩の中には、「お前のここが間違っているよ」と居丈高に指摘するだけで満足してしまう人がいる。もちろん、ただのダメ出しを続けるだけでは相手を萎縮させてしまうだけである。必ず、一つの注意には一つのフォローが必要だ。
 かの有名な徳川家康公も、家臣に注意を促す際には、“普段の働きを褒める”ことを欠かさなかったという。では、なぜフォローが必要なのか?
 簡単だ。
 新入りにとっては、自分以外の全員が先輩である。当然、ミスも多く効率も悪い。自分の仕事に不安を抱くし、緊張した状態で出勤に臨む。つまり、“ミスをして当たり前”の状態なのだ。
 弘法も筆の誤り、河童の川流れ、猿も木から落ちるという、同じ意味の諺が、かなりの昔から存在する。プロでさえ失敗するのだ。素人とあらば尚更。
 新人はミスをする。ミスが連続する場合もあるだろう。想像にも及ばないような大胆な失敗をやらかすこともある。だが、どれも当たり前なのだ。
 そこで、ミスは0にはできないが、ミスが発生する確率を下げることはできる。
 周囲の人間が緊張を和らげ、いつものコンディションに近づけてやる。ミスが起きにくいシステムを知っていたら共有する。失敗がよく起きる箇所を知っていたらそれも共有する。失敗が起きたとしても、それを責めないことで萎縮させない。
 ……など、いくらでもできることはある。しかも、どれも難しくない。これだけで新人は辞めなくなるし、失敗も減る。
 逆に、これを怠れば新人は萎縮し、不安になり、次の失敗を責められることに恐怖する。きっと、彼は自分の失敗を隠すようになるし、報連相も欠いてしまうようになるだろう。そうなれば、新たなミスや損失を招くことになりかねない。いや、必ず招く。
 要約すると、新人に対してすべきは“ミスの発生率を減少させること”である。無論、同じミスを繰り返させないように教えてやるのは大事だが、それもフォローと一体でなくてはならない。

③自分の価値観に当てはめない


 上司が仕事大好きマンだったとしても、新人がそうとは限らない。先輩が「時給1000円は大金だから全力で働かなくては」と思っていても、新人は大した額ではないと思っているかもしれない。
「これは良い仕事」
「社会人たるもの」
「取り組む時は真面目に」などなど、その「良い」も「社会人」も「真面目」も、人によって捉え方が違うし、度合いも違う。
 私の場合は、アルバイトが終わってから学業や執筆があるから、体力配分のため、全力で仕事をするわけにはいかない。ただ、力を発揮する場が仕事しかない連中にとっては、その態度が怠慢に見えることもある。
「世渡りのためには、こういう連中に対して怠慢に見せない努力をせよ」とのことだろうが、そんな努力がそもそもリソースの浪費なのだ。各々、発揮できる能力も違えばモチベーションも違う。そんな当たり前の事実に目を背け、全員に同じ態度を強制するなど言語道断。へそが沸かした茶を飲んで一服つけてしまう。
 テストで高得点を取る方が良いに決まっていても、50点を取るものもいれば、0点を取るものもいる。働かないアリや不器用なアリにも存在意義があり、彼らは怠惰ゆえにそうしているわけではない。各々に、各々の背景や理由があり、存在価値がある。
 それら文脈・背景を読まずして、頭ごなしに自分の価値観で糾弾しにかかるような者は、理想の上司とは言えない。

④聞く耳をもっている


 年功序列主義のロートルは頑固であることが多い。年下を身分の低いものだと錯覚している、加えて、身分の低いものが言うことは間違っていると思い込んでいる。
 そうした幻想に固執している人間は、まず良い上司とは言えない。そもそも、それでは広い意見を取り入れることができず、組織も硬直し、変化に弱くなる。
 報連相の前提として、報告・連絡・相談をするのが大切なのはもちろんだが、それを受ける側の姿勢も当然求められる。受け手の人物が信頼されていなかったり、過度に恐れられていたりすると、この人物のせいで報連相が立ち行かなくなる。
「報連相を心がけろ! 」と叫ぶ前に、「自分は報連相してもらえる人間だろうか? 」と自問することが肝要だ。

あとがき(愚痴)


 私が最後にいたバイト先では、数人のベテラン中年が徒党を組んで、他の若手が入ったり辞めたりを繰り返していた。
 思えばこの中年どもが害悪だったのだが、やはり選択肢のある人間ほど、その程度の環境にはすぐに見切りをつける。
「とは言っても、合わない人はどこにでもいるよ」「社会ってそんなもんだよ」「長く続けてみなよ」と言われるが、本当にしょうもない凡百の妄言である。
 口の周りにデキモノを作りまくって白髪を生やしながらする労働に価値は無い。後の人生で「あの時デキモノを作りまくって白髪を生やしまくっておいて良かったな」と思う未来も訪れない。「あの時、もっと楽しい職場で幸せな経験ができて良かったな」と思う未来は、当然の如く訪れるだろうが。

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