Takuya Nakaizawa

気まぐれに哲学、教育学、日本語教育のことについて書きます。 「ひと」と「ひと」がわかち…

Takuya Nakaizawa

気まぐれに哲学、教育学、日本語教育のことについて書きます。 「ひと」と「ひと」がわかちあうことはいかに可能か?という哲学研究をしています。 日本語教育事業を行う一般社団法人ひとと(https://hitoto.or.jp)の代表理事です。

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「それは結局、あなたがどうしたいかじゃない?」に対する違和感、あるいは遺書 / A sense of incongruity against a word "After all, you should do what you want to do", or a will

*このエッセイの英語versionは近日中に公開します。 / The English version of this essay will be published in a few days. 序. 遺書(will)を書くということを意志(will)するということ 今からここに書くのは、自分が生きてしまってきた23年6ヶ月の総決算であり、その意味で過去の自分を葬り去る「遺書」です。この遺書の主題は、「それは結局、あなたがどうしたいかじゃない?」と所々で言われた問いそのもの

    • 【学会後記】日本語教育学会 2023春

      日本語教育学会の2023年の春季大会にて、『「学」としての日本語教育はいかに可能か?-規範的教育学の視点から-』というポスター発表をしました。 Web掲載用の要旨(34ページに掲載):https://www.nkg.or.jp/event/.assets/web-2023spring.pdf いささか挑戦的な主題ですが、大会テーマが「日本語教育学の「これまで」を振り返り,「これから」を指し示す」というものだったので、ちょうど卒論で取り組んだ内容と近いと思って、卒論の一部(だ

      • 名指すことが叶わないこと

        ことばとことばの隙間にあることって、たくさんある。 悔しさとも悲しみともどちらとも形容し難い感情。世の中ではタブーとされていることを、たまたま背負ってしまった人生、それによる理解のされ難さからくる孤独感。友達から恋人、恋人から家族になるまでの関係性。 ひとは、名指すことによって他者と世界を共有する。でも、名指すことによって共有されずに捨象されるものもある。 社内の空気を和やかにする人間性をもったひとは、それによって年収の評価はされない。ひとの人生に寄り添っても、派手に表彰さ

        • 人生が耐え難くなったとき、ひとは何を思うのか(思考メモ)

          人生が耐え難くなると、状況が変化することを人は思い描く。だが、最も大切で有効なのは、自分の態度を変えることだ。しかし、我々はこのことをほとんど思いつかない。そういう決心をするのは極めて難しい。(Ludwig Wittgenstein)  昨年の夏前に大きく体調を崩し、10月末〜11月頭のほんの2週間ほど良くなってきたかと思いきや、結局11月末あたりからまた不調になって、一向に薬の量も減らないまま今日まで至っております。  休学を1年引き延ばしてまで注力した事業は実力不足が

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        「それは結局、あなたがどうしたいかじゃない?」に対する違和感、あるいは遺書 / A sense of incongruity against a word "After all, you should do what you want to do", or a will

          「わかりにくさ」と付き合う:慢性的な障害と疾患(遺書の補遺)

          これほどまでに「わかりやすい」ことが無条件に賞賛され、病的にまで「共感」が求められるのは、一体なんなのだろうか。  そんなことをもやもやと考えていたここ数ヶ月の思索です。  前回のnote(遺書)では、「どうしたいの?」「こう思ってるってことなの?」という問いの背後に隠された分断の不可避性について、「偶然性」「相互作用性」「経時性」の3つの分断という観点で色々と書きました。あれから1ヶ月、1ヶ月とは思えないくらいさまざまな波を(また)経験しましたが、これから自分が向き合っ

          「わかりにくさ」と付き合う:慢性的な障害と疾患(遺書の補遺)

          中井澤はいったいスロベニアで何をしてたのか。

          今日はスロベニアの話。 「スロベニアに留学してました」っていうと,まず「どこそれ?」というのと「なんでスロベニア?」,しまいには「留学先,スロバキアだっけ?」っていうのを絶対に聞かれる。なんだかんだ友達とかにもしっかりは話してなかったので,整理がてらnoteにまとめることにした。 スロベニアの位置と基本情報 スロベニアは中央ヨーロッパにある小さな国(大体四国と同じくらいの大きさ)で,イタリア,クロアチア,ハンガリー,オーストリアと国境を接している。名前が似てるスロバキア

          中井澤はいったいスロベニアで何をしてたのか。

          「留学は金持ちがするもんでしょ」と思ってた自分が留学に行くまで

          <このnoteのまとめ> ・留学に行くハードルはめちゃくちゃ下がってる。 ・留学をたいそうなものと考えなくてもいいんじゃないか。「環境を変えるため」くらいの意味合いでも,重要な契機となったりする。 ・留学はそれ自体が目的ではなく,あらゆる目的に対する手段。その点で,どんな人にも検討する価値や余地はあると思う。 神奈川県立横浜国際高校という,在籍生徒の約半数以上が海外に何かしらのつながりがある学校にいた。英語が好きだったからという単純な理由で選んで入ってみたはいいものの,英語

          「留学は金持ちがするもんでしょ」と思ってた自分が留学に行くまで