青い天使 −その2−
この話しは事実に基づいた自伝的小説である。
=一筋の光
さむい。
体が自然と小刻みに震えてくる。
のども渇いた、
オシッコもしたい。
でも、大のほうはまだ我慢できそうだ。
ガクガクと震えながらただひたすらに『人の気』が戻ってくるのを待った。
辺りは静まり返ったままである。
ふと、この廊下はこのまま使われず誰も探してくれなければ俺はどうなってしまうのか。という事が頭をよぎった。
多分だが、40分以上は経過しただろう。
まだ人の気はもどってこない。
『マジでヤバいかも・・』
『最後に月風園のハラミと山盛りのご飯がたべたい』。
と、思ったその時である。
遠くから、かすか、だが確かに聞こえる。
『比嘉くぅーん』
『比嘉くぅーん』
『比嘉くぅーん』
『どこですか〜』
『比嘉くぅーん』
その声はだんだんと大きくなってくる。
良かった!誰かが探してくれてる!
足音とともにドデカイ声量の
『比嘉くぅーん』
が聞こえた時に、
『ドン!ドン!ドン!開けてくれっ〜!!ここや!俺はここや!!』
その声は、青山テルマfeat.Soulja『そばにいるね』の『ここにいるよ〜♪』ほど優しく語りかけるような声ではなく、いつかの取り調べ室で会ったギョーザ耳のいかつい角刈りのオッサンに言われた『意見が合わへんやんけ!オォー!』を彷彿とさせる声だったのは言うまでもない。
トビラが開きまばゆい光が俺の瞳孔を刺激した。
『比嘉くん、何してるんですか?ホントにぃ。皆探してましたよ。心配してますよ〜。』
担任の坂高先生だった。
『先生ありがとう!!先生は命の恩人ですわっ!』
『何言ってるんですか。早く皆のもとへかえりましょう。』
坂高先生はいつも頬から喉仏にかけて青い。
髭は剃っているのだろうが明らかに『濃い』のだ。
その姿形はMr.ビーンにそっくりだ。
Mr.ビーンに腕を持たれて廊下を歩く俺。
ほっとした安堵感とドッとした疲れ。そしてどこかしらの達成感があった。
『とりあえずはかくれんぼには勝ったな』。
上空から廊下へまばゆい陽の光が差し込む
その光が坂高先生のアゴに当たった時
『青い天使』だ。
そう、思った。
天使はどこにでもいる。出会ってはいるがそこに気づくがどうかが人生の命運を分ける。
『濃い』髭の天使は優しく包み込むように微笑んでいた。
青い天使の趣味は毎日の耳かき(オフィシャル)とエロビデオ鑑賞(裏オフィシャル)だ。
いま思い返せば奴の髭の濃さはテストステロン(男性ホルモン)の強さを物語っており、まぁ、いわゆる健全な男子なのだ。
その1件があって以来、TSUTAYAエロビデオの『いますぐっ、ワンシコッ!』なるコーナーで彼の姿を見つけてもそっと見守るだけで俺は誰にも言わなかった。
だって彼は『青い天使』なのだから
マッシブ比嘉 2019.02.19 『青い天使』
自伝的小説の続きを『読んでみたい』方はスキしてください。多ければ早めに投稿します。笑
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