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梅雨

 紫陽花が似合うあなたはいつでも冷たい雨に打たれている。濡れそぼった髪が額にはりつくのをどこか気だるげにかき上げる、その仕草がうつくしいと思う。
 頬を伝う雨にどれだけの涙が隠れているのか、わたしたちが知ることはけして許されない。あなたはいつも曇り硝子の向こうにいる、雨はあなたの本当を洗い流す。足元には群青色の海がたまる、波は穏やかできれいだ、けれどいつもすこしだけ濁っている。

 降りつづける雨がせめて暖かければいいのにと願う、けれど横殴りの雨が降る嵐の中で磨かれ続けた正しさが、その正しさがけして報われないことが、わたしちの胸を穿つ雨だれとなる。

 あなたが六月に生まれると決めたのは誰だろう。
 あなたには雨が似合う、哀しくてやりきれない。

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