「本当にBLを書きたいのか、よく考えて」というコメントから始まるプロット添削講座

〜前書き〜
ここだけ引用すると厳しい言葉に聞こえるけど実際は愛の鞭で、先生が真摯に私の作品と向き合ってくださったからこうして「そもそも?」というところまで突っ込んでくださったのですが、事実を少々歪曲されかねない形でタイトルにしてしまったことをここにお詫び申し上げます。閲覧数を増やしたいがために悪意のある大仰なタイトルをつけるヤ○ーニュースみたいなこすっからいことしてごめん。
〜前書き終わり〜

さて、こんにちはひえんちゃんだよ。鳩村衣杏先生のプロット添削講座受けてきたよ。せっかくやから日記に残しちゃうけど、あくまで日記なので、レポ的なものを期待するひとは前回のもの読んでください。

事前のプロット準備

死ぬほどつらかった。ツイッターでずっと「完成した!」→「完成してへんかったわ…」ってつぶやき続け、なんとそれを7回繰り返した。7回も「完成した!」という幻覚を見るとどうなるかわかりますか? そう、夢のなかでもプロットをすることになります。もともとかなり夢を見るほうなんですが、なんなら一晩に3本くらい見るのですが(これがインプット量に含まれるなら私のインプットは小説100冊/年に並んで夢1000本/年になってる…)、ほぼ毎日夢3本のうちひとつはプロットに苦しむ内容でした。そんな日々を過ごすこと一ヶ月半……〆切を迎えた朝、もうだめだと半泣きでメールに添付して送りました。

そして添削されたプロットが返ってくる

で。
提出したプロットの最後に、前回同様悩みを箇条書きにしておいたんですよね。そのなかに「きゅんとするシーンの作り方がわからない」と書いておいたのですが、キャラ作りの甘さが原因というコメントに加えて、「本当にBLを書きたいのか、よく考えて」と書かれていました。ウケる。ウケてる場合やない。でも笑うことしかできない。

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舐めてんのか?
動揺が隠せないライン……。

プロットの矛盾をあちこちつつかれていることより、その他プロットの稚拙さに対するあらゆるコメントより、いちばんしんどかったです。だって「本当にBLが書きたいのか?」って最近のいちばんの悩みだったので。

BLを書いておいてなんですが、私が書きたいのはBLじゃないんですよね! 主人公の、恋愛以外の大切なものを書きたいんです。その過程で恋愛という選択肢が存在して、でももちろん恋愛をしないという選択肢も失恋するという選択肢もいろいろあって、そして恋愛以外に大切なものが存在する。それを書きたいんです。って最近ようやく言語化できるようになりました。これに気づいてからもうね〜創作していてもしんどいことが多いです。ほんとにこのままBLを書き続けるのか、ち○こを書きたいという理由だけで?

どんな話かさらしちゃおう

しばらくこのプロットの小説は書かないと思うのでさらしちゃお。
今回提出したプロットは、オメガバースのアルファ×ベータ、テーマは『運命を自分で切り開く』です!

オメガバって好きですか? 私はまあまあそこそこって感じなんですけど、オメガバの設定に初めて触れたときにまず思ったのが、「運命を可視化できる世界で自分の『運命』を可視化できないベータってどうすんの? 残酷じゃね?」でした。こっわ。ぜってーオメガバの世界に生まれたくない。だって私オメガバの世界なら絶対にベータやもん、選ばれしアルファ様とかになれないもん、私の人生常にその他大勢で生きてきたもん!
そんなわけで、どうしても「運命」を見つけられないベータがどう恋をしていくかを書きたかったんですよね〜。

ちなみにこの時点で、
・オメガバースはアルファ×オメガのための設定なので、それ以外の組み合わせは難しい
・私の文体はラブコメが向いてそう

という前回いただいたこのふたつのアドバイスを破っています。特にひとつめのオメガバの話なんて、どうしてオメガバが売れているのかという観点からとても丁寧に教えていただいたのに、それをブチ破る私! まじでいやな生徒やな!

プロット添削講座当日

朝起きて急に弱気になる私。

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私が創作を始めたのが「自分のニッチすぎる性癖を書いてやれるのは自分しかいない、自分で書くしかない」というのがきっかけだったので、どうしても自分のために書きたいという気持ちから抜けられない。
(私のニッチな性癖はここで読めるよ)

先生とスカイプをつなげて、「さてどこから始めましょうか……」と先生が言葉を選びながらこの設定は難しいのじゃないかという話をされまして。
私が上記の通り、運命のないベータを書きたかったと話すと、「う〜ん、やりたいことは伝わってくるんですよ、わかりますよやりたいことは……う〜ん、どうしてもやりたいならこうするしかない」とあちこち直したほうがいいところをピックアップされていきます。それが延々と続く。

私「こういうのが書きたいんです!」
先生「やりたいことは伝わってきます。でもたとえばこうしてみたらどうですか?」
プレバトか?

思わず「難しいですね」とぼやいたら「みんなそうなんですけど、難しく考えすぎなんですよ!」。難しく考えすぎか。わかるわかる。シンプルな設定、シンプルなエピソード、シンプルなストーリーが理想。うん、わかってはいる。
でも私は「現代において結婚というシステムはどうあるべきか、時代に合ったパートナーシップとは何かという疑問に対しての自分の立ち位置を決められずに安易に現代もの花嫁BLが読めない」タイプの人間で、シンプルに物事を考えるというのがとっても苦手。あと「地雷まではいかないけどなんとなく苦手な要素」が多いのもあって、あちこちに潜む苦手を潰すうちにどんどん複雑になってしまうんですよね、よくない……。シンプルに考えられないくせに、だからといって隅々まで丹念に神経を張り巡らせられたな複雑な構成を作れるわけやないしね!

さて。
タイミングを見て、「主人公の恋愛ではなくて主人公が生きていく上で選択肢として存在する恋愛、を書きたい。恋愛をメインに据えたいわけではない」という悩みを話してみました。そしたら「主人公の大切なものが書きたいんだな、というのはプロットを見て気付きました」と言われて、す、すげ〜〜〜〜〜!!!!と思いました(プロに向かってすみません、失礼な物言いで…)。こんな破綻しているプロット見てそこまで気付けるものなの? こっわ、丸裸にされてるようなもんやん、なにもかもバレてるやん!

このあたりですでにこのプロットをいったん不採用にすることを内心決めてしまっていたので、プロット添削をさえぎりここから怒涛のお悩み相談ターンに入ります。
世間の流行と自分の書きたいものとのずれ、恋愛をメインに書きたいわけではないこと、あくまで主人公の人生(恋愛ではなく)を書きたいこと……。先生はやさしく、「LGBTの話を書きたいのかもしれませんね。それともキャラ文芸に投稿してみますか? これからどういうお話を書きたいですか?」泣きそう。やさしい。前回教えていただいたBLルールをすべて破ったプロットを提出した私にこんなにやさしい。私は私のために小説を書きたい、私の性癖のための小説を書きたいと我の強すぎることを言っても「それももちろんありです」泣きそう。

プロになりたいと思っていたはずなのに、それがどんどん苦しくなってきていたんですよね。私は私の書きたいものしか書きたくない。だって私は私のために書いてるんだもん━━小学校の通信簿に「頑固で自分の考えを改めることができない」と6年続けて書かれたことを思い出します。6年も同じこと書かれるなよ。
プロを目指すのなんてやめよう。私は私のやりたいようにやっていこう……とこの時点では考えていました。

あ、でもその前に。
先生に前回「ラブコメが向いてそうですね」とアドバイスいただいて書いてみたことだけ報告しなきゃと思って、その話をしました。
「ラブコメ向いてそう」「せっかくだから旅行業の話を」その他もろもろ前回先生が「こういうの書いてみたら?」と提案してくださったのをこの棚のここからあそこまでというレベルで採用して去年の秋にBL小説を書いてみたら、それがかつてないほど某小説投稿サイトで評価していただきました。ランキング上位に入って、感想もたくさんたくさんもらって、スピンオフ書いてくださいといううれしい言葉までもらって。━━という話をしたら、

「アドバイスを素直に実践してくれたんですね! うれしいです」

う゛ッッッ(す、素直?)(こんなに前回教えていただいたルールをぶち破った私が?)(いつの間にか素直という言葉の定義が変更されたか?)

「ひとからのアドバイスを活用できるというのも一種の才能です

ぶわッッッ(泣きそうになる私)(泣いたらびびらせるなと思って泣けない私)(目が痒いふりをする私)(いや実際に目が痒い、あ、窓開けっぱやったわ花粉飛んでる…!)

「前回のレポート、ポップでおもしろい文章で、こんな文章が書けるんだって思ったんです。書こうと思って書けるものではないんですよ。その才能がほしいと思うひとはきっとたくさんいます」

畳み掛けるように泣かせてくるやん……

私は私の書きたいものしか書きたくない。でもたしかに、感想をたくさんもらったとき、「ひとに読んでもらうってこういうことなのか!」ってとてもうれしかったんですよね。アンチが沸いたのすら人気の象徴のようでうれしくって、アンチコメントを待ち受けにして友人にドン引きされたりした(真似しないでください、精神を疑われます)。ただ、評価されたジャンルと自分の書きたいジャンルのあまりの距離が苦しくて、最近はずーっと創作がつらかった。しかもこう、そのラブコメがあまりにもさくさくっと書けてしまったので、なんだか軽く書けてしまったなーそれが評価されてしまったなーという苦しみもありました。とうじうじ言ったら、先生に「それはなんとなくで書いたからではないですか? 書くならばラブコメを書くという覚悟を決めて向き合いましょう」と言われてしまった。そ、その通りすぎる〜〜〜!

ラブコメを書くからといって自分の性癖にあったものを書けないわけではない、せっかく得意なジャンルがあるんだから期間を決めてそれにがつんと挑戦してみるのもありだ、みたいな。そう言われて、それもそうだな〜と思いました。せっかく書けるものを書かないのももったいない気がしてきて。
先ほどまで自分の書きたいものしか書かないモードだったのに、先生があまりにも私の気持ちと向き合ってくださったので、とりあえず半年間は本腰を入れてラブコメやポップなお話を書く決意をしようと思えました。書いてみてそれでも書きたくないならやめればいい、と言われました。たしかに。半年後の私に決断をゆだねてみます。

このタイミングで悩みを相談しなかったらどこかできっとBL書くのをやめていた気がするので、とりあえず回避できてよかった〜! 本当によかった。だってBL好きやし。
そんなわけで、プロット添削講座超楽しかったです! 添削していただいたプロットの話はとりあえずお蔵入り(仮)、書く日がくるかはわからないけど、それ以外のところ(主に精神面)でとても助けられました。

そうだそうだ、先生に「言霊ってありますから願望はあちこちで言ったほうがいいですよ!」って言われたから願望を口に出して終わります。
うん、そもそも普段からでかすぎる願望を固定ツイートにしてるけど。

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(こんなにふらふらしてる人間がこんなでっかい欲望掲げてるの、プロを目指して誠実にがんばってるひとに怒られそうやな…)

さて、私の願望! 頼むぞ、言霊の力とやら!

キャラ文庫様、ノベルスのレーベルを立ち上げてください!!!!!!!

あ、間違えた。欲望が先走ってしまった。あまりにキャラ文庫のテイストのノベルスが読みたくって……

キャラ文庫様、上手くなるのでいつか私に仕事をください!!!!!!!!


そうだ、最近のマイブームは「愛と消費」について考えることです。
望んでいなかったのにSNSでフォロワー数が増えてしまったばかりに、『きれいな面ばかりを見られて知ったかぶりされる』『都合のよいコンテンツとして消費される』ことに思い悩む主人公が、好意を向けられることと消費されることの境目がどんどんわからなくなって恋愛できなくなるBLを探しているので、もしご存知でしたら教えてください。……こんなのがマイブームな私にラブコメが書けるのか? オレたちの戦いはこれからだ! ☆ひえん先生の次回作にご期待ください━━!


〜あとがき〜
このブログ、主人公を私、テーマを「創作と向き合う」として起承転結がきれいにできてしまった気がするので、普段のプロットもこんな感じで上手くいけばいいのになーと思いました、まる。
〜あとがき終わり〜

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