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冷や汁エバンジェリスト フードアナリスト 宮崎てげてげ通信(テゲツー!)フリーライター…

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冷や汁エバンジェリスト フードアナリスト 宮崎てげてげ通信(テゲツー!)フリーライター 司書

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  • 冷や汁エバンジェリストDiceの活動記

最近の記事

水戸の黄門様はキュウリがお嫌い!

水戸黄門の諸国漫遊記は、時代劇の定番として、明治末期から現代まで何度も映画やテレビドラマになっていますので、ご存じない方の方が少ないかと思います。 Wikipediaで確認してみると、映画は1910年10月に公開された『水戸黄門記』(尾上松之助主演)に始まり、1978年12月に公開された『水戸黄門』(東野英治郎主演)まで81本、テレビドラマは、1954年の『エノケンの水戸黄門漫遊記』(榎本健一主演)に始まり、2019年の『水戸黄門』(武田鉄矢主演)まで16シリーズになるよう

    • 宮中の女房言葉でイワシは「むらさき」

      前項「紫式部はイワシ好きだった!は後世の創作」の続きになるのですが、室町時代頃に御所や仙洞御所(退位した天皇の住まい)で働く女性達の間で、イワシは「むらさき」とか「おほそ」、「きぬかづき」と呼ばれていました。 これは、例えば『大上臈御名之事(おおじょうろうおんなのこと)』に と記されていることで現代まで伝わっています。 『大上臈御名之事』は、著者・成立年とも未詳ですが、16世紀末頃(室町時代)の成立と考えられています。 女房言葉(女房詞)というのは、宮中で働く女官達の間で

      • 紫式部はイワシ好きだった!は後世の創作

        冷や汁についての本を書くのに、その材料となる煮干し(いりこ)について調べる必要があって、ネットや文献を調査していたのですが、その中で、巷間伝わるけどそれはウソだよねという案件に出会ったので、備忘録的にご紹介します。 「イワシ 歴史」というキーワードでネット検索をかけると、「紫式部」を含む項目が結構上位に表示されます。 そこでその内容を確認してみると、 みたいな感じの記述になっているものが多いです。 これについては、例えば江戸後期の儒者・志賀忍(理斎)が著した『三省録』(1

        • みやざき郷土料理アレンジレシピコンテスト大賞受賞!

          COVID-19の影響で2021年に延期開催となった「国文祭・芸文祭みやざき2020」のプログラム一つとして、「みやざき郷土料理アレンジレシピコンテスト」が開催されました。 「宮崎の食文化」についてもっと知ってほしい!ということで、家庭から参加できる郷土料理のアレンジレシピをコンテストという形で集め、宮崎の食文化の多様性や県産食材の魅力を発信していくという意図の元に行われたものでした。 冷や汁エバンジェリストとしては、宮崎の郷土料理の代表である「冷や汁」で勝負するのは当然

        水戸の黄門様はキュウリがお嫌い!

        • 宮中の女房言葉でイワシは「むらさき」

        • 紫式部はイワシ好きだった!は後世の創作

        • みやざき郷土料理アレンジレシピコンテスト大賞受賞!

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        • 冷や汁エバンジェリストDiceの活動記
          3本

        記事

          冷や汁は宮崎だけの郷土料理ではないんです

          冷や汁は、今でこそ宮崎県の郷土料理の代表のように扱われていますが、実は、西日本を中心に以外と広く分布している料理なのです。 それを確かめるために、浦安市立図書館中央館に出向いて、資料に当たってみることにしました。 農山漁村文化協会(農文協)が、昭和初期(1930年頃)に農村や都会で台所を預かっていた女性たちを対象に、全国300地点、5000人の話者からその時代の食生活について「聞き書き」して都道府県別にまとめた『日本の食生活全集』(全50巻)という叢書があります。 それぞれ

          冷や汁は宮崎だけの郷土料理ではないんです

          「公共」の意味を問う-映画『パブリック 図書館の奇跡』

          今、図書館関係者の間で話題の映画、『パブリック 図書館の奇跡』を、仕事帰りに新宿の「新宿武蔵野館」で観てきました。 アメリカ・オハイオ州のシンシナティにある公共図書館を舞台に、大寒波の夜に緊急避難のシェルターとして図書館に立てこもったホームレス達と、それに巻き込まれた図書館員達の物語です。 監督・主演を努めるエミリオ・エステベスが、ある公共図書館の元副理事がロサンゼルス・タイムズに寄稿したエッセイにインスピレーションを得て、11年もの年月をかけて作り上げたこの映画、図書館

          「公共」の意味を問う-映画『パブリック 図書館の奇跡』

          続・焼酎はなぜ夏の季語となったのか

          前稿の公開後、これまた我が焼酎の師の一人、小田原在住の稲葉さんから、下記のとおり新たな情報をいただきました。 「私は、焼酎が夏の季語になったのは、江戸時代における『本直し』の位置付けによるものではないかと理解してきました。 本直しは、みりんに焼酎を割ったもので、江戸時代には暑気ばらいの代表的な飲みものとして認識されていました。」 『本直し』、またまた私にとって未知の言葉が出てきましたが、なかなか興味深い内容なので、調べてみることにしました。 まずは、Googleで「本直

          続・焼酎はなぜ夏の季語となったのか

          経営コンサルの甘言

          新型コロナの影響で客足は前年大幅割れがずっと続いている中で、九州を始めとした各地の大雨被害、はたまた関東の地震と、どうにも落ち着かない不穏な今日この頃。 そんなことも影響したのか、先日、こんな夢を見ました。 私は、都内某所で食料品や飲料を扱う小売店舗の雇われ店長をしています。 そんな私のところに、小売店の経営コンサルタントを名乗る人物から会いたいと連絡があり、店で話を伺うことにしました。 やってきたその人物、年齢は私より少し上でしょうか、ボタンダウンのワイシャツにアメリカ

          経営コンサルの甘言

          焼酎はなぜ夏の季語となったのか

          テゲツー!で夏焼酎の記事を校正する必要があって、俳句の世界では「焼酎」が夏の季語とされているのは何故かが気になったので、調べてみることにしました。 とりあえずGoogleで「焼酎 夏の季語」をキーワードに検索かけると、 みたいな記述があちこちに見られます。 検索結果に似たような記述が多くて多様性が無いのは、冷や汁の鎌倉時代起源説と似ていて、何か怪しい予感がしたので、原典の『和漢三才図会』を確認してみることにしました。 『和漢三才図会』は、国立国会図書館のデジタルコレク

          焼酎はなぜ夏の季語となったのか