プランBのない野党に存在価値はあるのか?

今、国債市場に何かあったらどうしますか?

選挙期間中なので政党名は出さないのだが、ある政党の選挙本部にいってきた。質問は「今のように国債が潤沢に発行できなかった場合、あなたの政党はどう対応するのですか?」というものだ。

当然、答えはなかった。そればかりかそういう質問自体を想定していないようだ。マニフェストには分配の話は載っているのだが聴衆の話は出てこない。

非常に意地が悪いのだが、選挙の時にこういう取材をしておくと「あとで使える」ことが多い。

新しい風に怯える人たち

ただ選挙事務所はとても忙しそうだった。対応してくれた人がどういう人なのかはわからないが「ある改革政党」の「ある市長」が突然乗り込んできてイベント的にウワーッと人気をさらうようなケースを心配しているようだ。つまり、そもそも選挙が政策ベースで行われるなどとは信じていないようだ。

さらに「どっちもどっち」という状態に陥った時、昔からある「確かな野党」が全てを持っていってしまうのではないかと心配してもいた。新聞を発行していて戦前には違法だった例のあの政党である。

政党本部と候補者の意思疎通も取れていない

そればかりか「XX本人の考えはあれですがおそらくそういうことは考えていないと思う」と言っていた。この候補者はもともと家族の介護経験から福祉に興味を持った東夷ストーリーを持っている。ただ国会では「某総理大臣」に対して果敢にチャレンジしたことが知られている。おそらく国会でのパフォーマンスや嫌がらせめいた質問などで記憶している人が多いのではないかとおもう。

ただ、気になること言っていた。「政党本部が何を考えているのかはよくわからない」という。この某政党の中にある分断がよく現れている。もともとこの政党は関東某県選出の議員が個人的に立ち上げた政党が元になっている。国会議員たちは右往左往した結果、結局「こっち」に集まってきた。だが代表選挙が行われると北海道出身で関西が地盤の別の候補者が代表に収まってしまった。おそらくこの状態で内部の連係はあまり取れていないのではないかと思う。

参議院選挙は政権選択選挙ではなく政党を選ぶ選挙だという印象が強いのだが実は政党内部と候補者の間で意思疎通ができていない。そもそも寄り合い所帯のため実は政党になりきれていないのではないかと思う。

今の時点でこういうことを取材しておくと、後で役に立つことが多い。普段は見えない裏の顔がよくわかるのだ。

また「労働組合の連合体」がどちらを応援するのかも気になる。ポスターを見たら別の政党の候補者の方を推薦したのだと思い込んでいたのだが、どうやらこちらの候補者も推薦されているようだ。

解散がないという特権を持っているにも関わらず生かし切れなかった

風を頼みに国会議員の議席を得た人たちは今や別の風が吹くことを恐れている。ただ国会議員である間に経済を勉強し「ああこの金融政策は持続可能ではないんだろうな」ということを悟る時間はあったはずだ。党内には日銀出身の議員もいるからだ。参議院には解散がないので国家経営について6年という長い時間勉強する時間が得られるのだが、少なくとも彼はそれを無駄にしたのだろう。

ただこの状態はおそらく与野党ともに共通していると思う。おそらく政権を担当している方は「我々の考える政策は全て完璧だからプランBなど必要ない」というだろう。中には支持母体に支持されて「利権をどれだけ持ってこれるか」ということしか考えていない人たちもいるに違いない。

つまり「今何かがあったら大変だから今のうちに準備をしよう」と考えるプランBを持った政治家や政党は日本から消えてしまっているのだ。

このまま何もないと思いたいのだが、日本の状況を忖度しない海外の経済系の通信社などはそう考えていないようだ。いざ何かあった時、政治家たちは「自分たちは予想していなかった」とか「日銀に騙された」などと言い出すのではないかと今から気がかりである。

選挙期間中は誹謗中傷が飛び交うが……

選挙期間中は誹謗中傷が飛び交うし、おそらくそういう題材の方がトラフィックは稼げると思う。

だが本当の問題はおそらく「選択肢」がない点にある。おそらくほとんどの国会議員が「予算をいかに自分たちの水田に引き込むのか?」という心配をしているためそもそも水が流れてこなかったらどうしようと考える人がいなくなっているのである。

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