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ドラマ『青のSP』は、グレイトティーチャーの物語を終わらせ、チーム学校を促す追い風になりえるか

(この記事は『青のSP』第1話が放送されてすぐに書いたので、今後のドラマの展開次第では的外れなことを言っている記事になるかもしれません。ありからず)


藤原竜也主演のドラマ『青のSP(スクールポリス)』が始まりましたね。


たまたまテレビをつけたら第1話が放送されていたので、何の気なしに見ていたんですが、すぐにGTOと同じ話型だと気付きました。

学校に新しく赴任してきた主人公が、時には突飛な方法でクラスや学校の様々な問題を解決していくストーリーです。

反町隆史主演の『GTO』や、松本人志と中居正広のダブル主演作『伝説の教師』、古くは『金八先生』などの学園ものをルーツにする話型です。

赴任の挨拶での生徒たちのどよめき、職員室での同僚からあんまり理解されていないシーン。それらを気にしない主人公の凛とした態度。もう、これまでの学園モノ・教師モノのドラマそっくりです。



まだ第1話しか見ていないのですが、『GTO』などと同じ話型なら、これから藤原竜也演じる嶋田隆平が、赴任した学校の問題を次々に解決していくことと思います。

ただ、これまでの学園モノ・教師モノのドラマと違うのは、主人公が学校に赴任した警察官(スクールポリス)という点です。

これが令和の時代における学園モノ・教師モノのドラマの形かと唸りました。すごく良い設定だなぁと。

学校では、いじめ、不登校、SNSのトラブル、暴力、性犯罪、差別などなど、挙げ出したらキリがないほど複雑で多様な問題が起こりえる可能性を抱えています。

これまでのドラマでは、このような問題の解決を『GTO』などで描かれていたグレイトティーチャーが解決していました。ですが、本来はこれらの問題には担任の先生だけでなく、学年の先生たちや専門家も加わって解決にあたるものです。

もっと言えば、複雑で多様だからこそ、担任の先生だけで解決できる範囲を超えてしまっている。もちろん、全国の学校の何割かは、グレイトティーチャーもいるでしょう。ですが、その人たちの指導力を全国の先生の標準にしてしまうのは違うと思うんです。


ドラマで描かれるようなグレイトティーチャー的な指導力に頼らずに、問題の解決にあたる考え方として、「チーム学校」という考え方が文科省から出されました。正しい言い方をすると「チームとしての学校」です。


学校や教育に携わっていない方々のためにご説明しますと、「チームとしての学校」というのは、文科省が出した「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」という答申の中で出てきた言葉です。

(答申の概要がまとまったPDFはこちら)


このような考え方が出てきた背景としては、日本の学校は海外の学校に比べて学校の先生が担う業務量が非常に多いこと、先生以外の専門スタッフの配置が少ないこと、などがあるそうです。


「チームとしての学校の在り方」として3つの方向性が出されているのですが、そのうちの1つにこのようなものがあります。

学校と家庭、地域との連携・協働によって、共に子供の成長を支えていく体制を作ることで、学校や教員が教育活動に重点を置いて取り組むことができるようすることが重要である。また、学校と警察や児童相談所等との連携・協働により、生徒指導や子供の健康・安全等に組織的に取り組んでいく必要がある。


私が、ドラマ『青のSP』が「チームとしての学校の在り方」を進める追い風になりえると思ったのは、まさにこの引用した部分を表現してると思うからです。もちろんドラマですから、いろいろな部分で過剰な演出や、実際の学校現場との解離もあるでしょう。

けれど、カウンセラーやソーシャルワーカーのような、心理や福祉の専門家と学校との関係ではなく、まだ実例の少ないスクールポリスに焦点を当てたところに、私はこれからの「チームとしての学校の在り方」の一例を示す期待感をもちたいのです。


さて、このドラマはこれからどうなっていくんでしょうね。視聴率が悪かったら打ち切りも珍しくないのが今の時代ですから、自分の予想が当たるかどうか確かめるためにも、ぜひ頑張って欲しいものです。



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