まなざし
ゴールポストにはじかれたような空。寺の鐘の音がびくつきながら
鐘から離れていって、次の鐘の音がびくつきながら前の鐘の音を
追いかける。追いつくことは稀だと思う。君はびくついているから。
西洋人が東洋をまなざすとき、そのまなざしにこもっている、
審美的に観察しようという汁気の多い趣味判断は、向こう側から
こちら側にひだのように折り畳まれていて、君のまなざしに
インストールされている。すでに。折り畳まれたまなざしをじぶん
のものと思い込んで君は、審美的にその身を差し出す。
彼らのまなざしたい欲望専用にこしらえたものがまなざされるなら、
まなざされる瞬間に存在しているものは存在していないだろう。
悼むことをやめ、ともにあらねばならない。
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