れらすい
私の夫がですね。私の兄とですね。ウイマムに出かけたのですよ。
ええ。ウイマムです。熊と鹿の毛皮と、干した鮭をたくさん持って。
シサㇺのところに。私は夫といっしょに暮らしていましたよ。
兄は同じコタンに暮らしていましたよ。熊や鹿をとって。
熊は山の神さまですよ。鹿はここではたくさんいます。
夕焼が山を照らすと山肌一面を鹿が埋め尽くしていますよ。
兄と夫は何日も帰ってきません。心配しますよ。
夫と兄を待って空を見上げていると、立派な舟が飛んできますよ。
兄と夫ととても美しい女が乗っていますよ。神のような美しさよ。
女は首飾りと交換に兄と夫をよこせと言いますよ。
悼むことをやめ、ともにあらねばならない。
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