さいじき
それは『さいじき』をひらく。なんとまあ、禍々しい。悪の内容証明。
別名『言語黒書』。ことばによるホロコースト。ことばという名の、名
という名をもつ大虐殺。世界を切り裂き、花を存在させる原‐暴力。
僕たちはことばに領有されつづけるかぎり、ただうなだれ、棄却された
残り滓のスープを穴という穴からこぼすしかないのか。吐いたゲロを
のみほし、それでもあふれてくる残余を、なかったことにして、きょうも
お祈りする。おことばさまありがたうござります。きょうもりんじんを
搾取して生きのびることができました。あしたもわたしとわたしのなかま
だけがしあわせに生きられますように。世界が流した汚辱の血液は、みんな
りんじんがのみほしてくれますように。平和をありがたう。職をありがたう。
悼むことをやめ、ともにあらねばならない。
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