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「コンプラ」は何をもたらしたのか?

「コンプライアンス」

一昔前までは無かった言葉だが、今では「コンプラ」とも略され、もはやお馴染みの言葉になった。

コンプライアンスとは「企業などが法令、規則、倫理をよく守ること」を意味する。

一般企業でも良く使われる言葉だが、より敏感なのがテレビ局、ラジオ局だろう。法令、規則に背いたものを少しでも放送しようものなら、モンスタークレーマー達がこぞって苦情の電話・メールを入れてくるからだ。それを避けるために、「コンプラ」を意識して番組を作らざるを得ないのだ。

この「コンプラ」は、日本社会にどのような変化をもたらしたのだろうか。

私は、「コンプラ」という言葉が誕生してから、良し悪しを判断できない人間が増えているように感じている。

最近のテレビは、悪いものを一切映さず、良いものだけを映している。しかし、良いものだけ見ていても、悪いものを見極める目は養われない。悪いものへの免疫もつかない。

その点では、「コンプラ」を意識しすぎたテレビ番組は、むしろ子供の教育に悪いのではないかと思ってしまう。

善は、悪があるから認識できる。
悪は、善があるから認識できる。
善と悪は、表裏一体だ。

善悪を判断する目を養うためには、どんどん悪いものに触れるべきだ。もし、子供が変な方向に行きそうな時は、親が軌道修正してあげれば良い。

悪いものから遠ざけるのが教育ではない。それが「なぜ悪いのか」をきちんと説明することが教育だ。その手間を惜しむ親に限って、「コンプラ」を大義名分に、テレビ局を攻撃したりするんじゃないだろうか。

「コンプラ」という名の無菌室で生活することに慣れてはいけない。もっと色んなものに触れ、自分の目や感覚を研ぎ澄ます努力が必要だと思う。

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