【映画分析 "HOW"】 トイ・ストーリー
映画の分析を行う事は、
即興芝居 (インプロ) で興味深いシーン展開にする為に
非常に有効な手段だと思います。
まずは全体の流れの把握を行います。
このストーリーの骨子としては、
「少年アンディが新しく手に入れたオモチャ、
バズ・ライトイヤーの存在により、
それまでアンディのお気に入りだったウッディは
自分の立場が脅かされる。
ウッディとバズはひょんな事から
アンディの隣の家に住む悪童・シドの家に連れ込まれてしまう。
苦難を乗り越え2人はアンディの元へ戻る」
というもの。
『3年でプロになれる脚本術』 (2016年・尾崎将也著)
によると、
「脚本を書く作業には、WHATとHOWの二つの側面がある」
との事。
上記の骨子はこれで言うところの
"WHAT" にあたる部分です。
尾崎先生は著書の中でこう続けます。
「プロの脚本家に要求されるのは、
WHATよりもHOWの能力である場合が多い」
「映画を分析する方法は、ほとんどがHOWに関すること」
1つの映画の中に "HOW" は多く存在します。
練られた "HOW" の数だけ映画のクォリティは上がります。
例えば映画序盤、バズが2階から落とされてしまうシーンでは
ウッディのいたずらがきっかけで
地球儀が転がってきたり
その地球儀がぶつかったスタンドライトが回転して
バズを押したりと、
アルゴリズムのような展開で非常に楽しいシーンとなっています。
もしこれが、
ウッディがバズを背中でドンと押して
ただ突き落とすシーンになっていた場合、
観客の満足度は少し落ちていたと思います。
ストーリーの展開上、
バズが2階から落とされてしまうのは
既に決まっている事。
では、どのように落とされるのかを知るのが "HOW" であるという事です。
この "HOW" の概念を知って映画を見た場合、
物語のクライマックス直前の
シドに連れて行かれたバズを救う為に
ウッディがシドの家の不気味なオモチャ達と協力するシーンは
かなり見応えがあるものとなっております。
スタッフ・クレジットに名を連ねる5名の脚本家が
「あーでもないこーでもない」
「いや、こっちのがおもろいやろ」
「お前それ昨日おれが言ったやつじゃん」
などと少し険悪なムードになりながら
侃侃諤諤した風景が目に浮かびます。
"WHAT" と "HOW" の概念、
覚えておくと
映画の分析にとても役に立ちます。
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