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『屋根裏のアーネスト』の感想。少年少女+幽霊のロードムービー。

デビッドハーバーがサンタをやってる映画に続いて、今度はデビッドハーバーが幽霊をやってる映画を見た。

↓サンタの方


最終盤が残念だったけど、それ以外はめっちゃ面白かった。
ハッピーデスデイ1,2といい、ザ・スイッチといい、今んところランドン監督の映画は全部面白い。

『バイオレントナイト』でのサンタのデビッドハーバーも良かったけど、本作の幽霊のデビッドハーバーもこれまた良かった。不憫な顔がすごい可愛い。
彼が演じる幽霊は喋れない設定なんだけど、表情で何もかもを語り切っていた。

話の感想

序盤、父親に縛られる主人公と、家に縛られるアーネストは、孤独によって繋がっている。主人公は、父親が認めようとしない白人の曲を歌うことでアーネストを呼び出す。
主人公がアーネストを外に連れ出そうとするのは、自分が家の外に出たいからだ。

そんな風に主人公と重ねて描かれたアーネストだけど、彼らの旅の果てで、アーネストはむしろ主人公の父親の鏡像であることが明かされる。

ここでのロードムービー展開が最高だった。

ここでこの話は、家から離れる話から、父親と向き合い、和解する話に変わる。(序盤、引越中に主人公がダースベイダーのテーマを弾いていたのはここに繋がっている)
主人公の父親と同じく酷い父親であったと語られるアーネストだけど、語られたのとは違う彼の真実が明らかになったとき、同期して主人公の父親も別の一面を見せることになる。

という訳で父と子を巡る良い話だったんだけど、終盤、アーネストと主人公の別れのシーンで違和感を感じた。
それは最後の最後にアーネストの隣に居るべきなのは主人公じゃなくて娘であるべきじゃないのか?ということ。もしくは、最後の最後、この男はアーネストではなくランディとして成仏するべきなんじゃないかということ。
ラスト、ランディと娘の物語よりもアーネストと主人公の物語が優先されてしまう。幽霊である彼は主人公達の関係を映す鏡のままで去って行ってしまう。
幽霊を自分の物語に組み込んだまま終わっていくこのシーンは、アーネストに熱狂していたファン達とある意味で繋がっている。
ここでは主人公には父親と一歩後ろに引いて、ランディと娘の再会と別れを見守っていて欲しかった。(2分の1の魔法のあのシーンみたいな感じで)

まあ本当の最後の最後にはみんなで旅立つランディを見守っていたので、ここでランディ自身に物語を返還したのだと捉えることにする。
何はともあれ、すごい面白かった。

その他、細かな感想。

・まず始まり方からして最高。家を正面から映し、叫んで逃げ出す家族→タイトルドン!→一年後。

・音楽の使い方最高。

・ロードムービー大好き。モーテルの鍵を盗むシーンなんかでは『宇宙人ポール』を連想した。
この映画で1番好きなカットは、コンテナの上で朝焼けを眺める3人の画。

・マトリックス2オマージュのカーチェイスもめちゃめちゃ面白かった。サングラスでしっかり前フリしていた。警察から逃げるのって最高。

・しかし、モーテルでのアーネストの、主人公を男にさせようとする父親ムーブはちょっとキモかった。

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