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「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」の感想(と、感想の感想)

ウェスアンダーソンの映画を何本か見たので、何日かかけて見た順に感想を上げて行こうと思う。
最初に見たのは、この長ったらしいタイトルの映画だ。

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

カラー、モノクロ、アニメ、と様々に表現を変えながらも、それらを一貫した美意識がまとめ上げている点が雑誌的であって、何が言いたいかというとずーっとオシャレだった。

特に最初の町の紹介記事が激烈に面白かった。「見えない都市」みたい。
ストーリーの間にも2,3分のコラムなんかをつけて欲しかった。細々した物語なんかを挟むことで全体の構成を不均一にして欲しいというか何というか。

美術や、人々の儀礼的な動き──笑い飯の奈良県立歴史民俗博物館みたいな──が面白い。こんな感じの雰囲気を表すカタカナ言葉があったと思うんだけど思い出せない。

それぞれの記事がいつ書かれたものなのか、幕間のシーンはいつのことなのか、編集長が死ぬ前後での時系列がよく分からなかった。リーヴシュレイバーによるインタビューなんかはいつ行われたんだ?

話の内容に心動かされたりは全くなかったけど、そもそも雑誌は心を揺さぶりに来るようなものではないので、特に気にせず人や美術の動きばっかり見ていた。
ちゃんと見れば織り込まれた意図なんかがあるんだろうけどそこにはあんまり興味は湧かない。

看守のドゥニメノーシェがいい味出してた。あの眠そうな目!

編集後記(感想を振り返ってみて)

上記の感想は映画を見た直後のものだ。
今この文章は、時間が経って、ウェスアンダーソンの映画をさらに何本か見た後で書いている。
当時の感想を今読み返すと、書くことに困ってる感じが伝わってきてウケる。

文として残してはいないけど、部屋で泣いただけでスタッフをクビにする編集長に若干ムカついていたのを覚えている。
オシャレな世界観に呑まれて、その編集長の横暴さもオシャレな演出の一つなのかな、程度に考えて感想に残すことをしなかったのだと思う。

今思えば、横暴さというのはウェスアンダーソンの映画の重要な要素であって、それを見逃したのはもったいなかったなと思った。何に対してもったいないのかはよく分からないけど。
もっと自分の心に正直に「編集長にムカついた。あいつはひどいやつだ」と書いておけば良かった。

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