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#19 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第6話「シカゴシティの夜」

 夕陽ゆうひがすっかりち、大空おおぞらむらさきいろまりはじめたころでも4時間じかんちかはしつづけるあかいジープがあった。

 そのジープは右側みぎがわえるミシガン沿って数時間すうじかんまらず運転うんてんつづけていた。そのくるまなかでセミロングの青髪あおがみをしている少年しょうねんが、運転席うんてんせき運転うんてんしている緑色みどりいろかみをしている父親ちちおやらしき人物じんぶつはなしかけていた。

竜賀りゅうが「ねぇねぇとうさん?」

光男みつお「ん?なんだ?」

 その少年しょうねん藍川あいかわ竜賀りゅうがちち光男みつお疑問ぎもんをぶつけていた。

竜賀りゅうが「このみぎにあるのって本当ほんとうみずうみなの??なんかこうぎし全然ぜんぜんえないんだけど?」

光男みつお「ああ…地図ちずたしかならここはミシガンだよ…世界せかいで6番目ばんめおおきいみずうみ時期シーズンると、アメリカのいろんなしゅうから水浴みずあびに観光客かんこうきゃく沢山たくさんやってるらしいぜ」

源太げんた「こんなにひろみずかたまりなのにみずうみうみちがいがかんないんだけど……」

 2人ふたり会話かいわはいってたのは、褐色かっしょくはだをしている黒髪くろかみ少年しょうねん猿渡源太さわたりげんたであった。竜賀りゅうが源太げんた質問しつもんこたえた。

竜賀りゅうがうみりくかこんでるみずかたまりで、みずうみりくかこまれてるみずかたまりってかんじかな?」

光男みつおあとうみみず…つまり海水かいすいしお沢山たくさんふくまれていて、みずうみみず淡水たんすいにはしおがほとんどいんだ」

源太げんた「へぇ…なんうみみずってしおふくまれてるの?」

竜賀りゅうが「それは……なんでだろ?」

光男みつお「これには諸説しょせつあるから、一概いちがいにこれ!とはづらいんだけど…大昔おおむかし世界せかいではうみがまだかった時代じだい世界中せかいじゅうおおくす酸性雨さんせいうって危険きけんあめってたらしいんだ」

竜賀りゅうが「あの理科りか実験じっけんとかであるなんでもかす酸性さんせいのこと?」

光男みつお「そうそう…それが世界せかいいわいしたりながら水溜みずたまりがおお出来できていったんだ…それがいわいしかして中和ちゅうわしながらできたカルシウムやてつみたいなみずけない物質ぶっしつうみそこしずんでいったけど、一番いちばんみずけやすい塩化えんかナトリウムが中和ちゅうわされたみず海水かいすいえてるってワケ

源太げんた「その…塩化えんかナトリウム?ってのが…つまり」

竜賀りゅうがしおのことだね…日本にっぽんでは海水かいすいからみずばしてのこった結晶けっしょう料理りょうりあじけに使つかったりするすんだよ」

源太げんた「え!?それじゃああのソルトってうみから出来できてるの?」

光男みつお竜賀りゅうが「そうそう」

 そんな雑談ざつだんまじえながら三人さんにんみちすすんでいった。そしてしばらくすると湖岸沿こがんぞいにあかるく人目ひとめくネオンのひかりえてきた。

源太げんた「ねぇ?あの綺麗キレイひかりなんなんだろう?まちなの?」

光男みつお「ああ…地図ちずどおりならあそこはシカゴのはずだよ」

竜賀りゅうが「シカゴ?なんいたことある名前なまえだけど…」

光男みつお「シカゴとえば、おとうさんの時代じだいえばシカゴ・ブルズだろ!それにシカゴ・ホワイトソックスも有名ゆうめいだしな」

竜賀りゅうがとうさん、それスポーツばっか…シカゴとえばアメリカでニューヨーク、ロサンゼルスに大都市だいとしでアメリカの鉄道中心都市てつどうちゅうしんとしとしてさかえた大都会だいとかいでしょ?」

光男みつお「おおーー!ってんなぁ?」

竜賀りゅうが「シャーリーさんからまなんだんだよ……西にしくんだったらシカゴは絶対ぜったい勉強べんきょうしておきなさいってな」

光男みつお「なるほどねぇ…」

源太げんた「さっきってたシカゴ?ブルズ?って一体いったいなに?」

光男みつお「ああ…アメリカのNBAのプロバスケットボールチームの名前なまえでかの有名ゆうめいなマイケル・ジョーダンが活躍かつやくしたチームさ」

源太げんた「………だれそれ?」

光男みつお「……ええええええええええ!!?」

 源太げんたのリアクションに光男みつお仰天ぎょうてんした。いきなり大声おおごえげられて竜賀りゅうが源太げんたおどろいて咄嗟とっさみみふさいだ。

源太げんた「〜〜びっ…くりした〜〜なんですかいきなり」

竜賀りゅうが突然とつぜんおおきなこえさないでよ!」

光男みつお「アメリカんでてマイケル・ジョーダンらんとかるの!!?日本にっぽん一般人いっぱんじんでもってるのがたりまえ伝説でんせつのスポーツマンで、かれ背番号せばんごう23ばんいまでも伝説でんせつとしていろんなスポーツ選手せんしゅたちけたがってるんだぜ」

竜賀りゅうがとうさん…とりあえずっとくけどここ異世界いせかいだからね?まずバスケットボールってうスポーツ自体じたいのこってるかもあやしいくらいだからね?」

光男みつお「……マジかよ……エアジョーダンのスニーカーとかってねぇかなぁ」

竜賀りゅうが「だとしたら奇跡きせきでしょ」

源太げんたなんでおやっさんんでるの?」

竜賀りゅうがとうさんスニーカーきだから、アメリカたらマイケル・ジョーダンモデルのスニーカーでもてみたかったんだってさ…観光かんこうかっての…」

 落胆らくたんこえらした光男みつおあきがおながら竜賀りゅうが源太げんた説明せつめいしていた。そうこうっているにどんどんシカゴの都市まち近付ちかづいてきたーーーー


 ーーーー徐々じょじょ近代的きんだいてき建物たてものえてきて、ある巨大きょだいなアーチのまえまでやってきた。竜賀りゅうがはそのアーチの文字もじげた。

竜賀りゅうがWelcome to CHICAGO.ようこそシカゴへ…か…」

光男みつお「ここはたして天国てんごくか、地獄じごくか…」

源太げんた「できれば天国てんごくでありますように…!!」

竜賀りゅうが「いやどっちもぬやつや」

 源太げんたいのよう十字じゅうじっているのをて、竜賀りゅうが源太げんたにツッコんだ。

 三人さんにんせたジープが都市まち道路どうろすすんでいると道路沿どうろぞいにあるたかいビルのあかりがみちあかるくらしていた。

源太げんた「は〜〜〜………めっちゃ綺麗キレイ都市まちだなぁ…まるで宇宙うちゅう旅行りょこう気分きぶんだ」

光男みつお竜賀りゅうが?…おまえ気付きづいてるか?」

竜賀りゅうが「うん…違和感いわかんバリバリあるよ」

源太げんた「え?…なになんへんなことあったの?」

竜賀りゅうが日本にっぽん東京とうきょう大都会だいとかいていたら、シカゴここ違和感いわかんしかないよ」

光男みつお源太げんたまわりをよくてみろ……なにへんじゃないか?」

 源太げんたまどからくるまそとてみた。ビルの黄色きいろひかり道路どうろ日中にっちゅうようらし、みせ看板かんばんあかあお黄色きいろしろみどり、オレンジなどカラフルなネオンでいろどられており都市まちあかるくかがやかせていた。都市まちある人々ひとびと数人すうにんくらいで、くるまも3車線しゃせん道路どうろを3だいくらいすれちがった。

源太げんたべつなにかんじないけど?」

光男みつおおれ竜賀りゅうがからしたら、こんなにあかるい建物たてものがやたらおおい…それにはんして都市まちある人々ひとびとがさっきから全然ぜんぜん見当みあたたらないんだよ…くるまも3車線しゃせんもあるのに全然ぜんぜんはしってない」

竜賀りゅうが日本にっぽん東京とうきょうなら、こんな大都市だいとしならこれだけはしってたら100だいくらい余裕よゆうですれちがうんだけどな」

源太げんた「………あっ!!そういうことか!たしかにひとがいない!!……でもそれっていまよるだからから出歩であるくのが危険きけんってことなんじゃ?」

竜賀りゅうが「だとしたらさっきからおみせ看板かんばん電気でんきをつけっぱなしにしている理由りゆうつからない」

光男みつお「ああ…こんなことしてても電気でんきだい無駄ムダ使づかいだしな……とりあえず」

 光男みつおまわりをキョロキョロと見回みまわしながら低速ていそく運転うんてんつづけた。

光男みつお「…このあたりでまれるところいかどうかいてみようか?」

 するとみぎがわ歩道ほどうあるいているくろいジャンパーをおとこつけた。光男みつおいそいでなか強引ごういんくるま道路傍どうろわき停車ていしゃした。くろジャンパーのおとこおどろきこちらに警戒けいかいするよう距離きょりいた。

光男みつお「すいませーん!!」

 くるままどけ、そのおとこ光男みつおしながらはなけた。

おとこなんだ?アンタ?何者ナニモンだ?」

光男みつお「いえ!そんなあやしいモンじゃありませんよ!!ただ長旅ながたびつかれたんで、今夜こんやまるところさがしてたんです!!」

おとこ「………」

 おとこはまだ警戒心けいかいしんかず、光男みつおかおをじっとていた。おとこ表情ひょうじょう徐々じょじょ不安ふあん気持きもちがいてきた竜賀りゅうが咄嗟とっさこえた。

竜賀りゅうが「あの!!…ぼくたち観光かんこうでこのシカゴまでたんですけど!もしなにかマズい事情じじょうがあれば明日あしたあさにでもすぐきますから!今夜こんやまれるホテルかモーテルをおしえていただけないでしょうか!?」

 竜賀りゅうがクビばすようにおとこ説明せつめいした。おとこ子供こどもっていたのにおどろいた表情ひょうじょうをしていたが、がいさそうだとおもったのかすこしだけ警戒心けいかいしんいた。

おとこ「アンタらここらでねぇかおだな?東洋人アジアンか?」

光男みつお「え?……そうです…!アジアの日本人ジャパニーズです!」

おとこ道理どうりでここいらでないかおだとおもったぜ………アンタら観光かんこうでこんなとこたのか?」

竜賀りゅうが「はい!!アメリカをレンタカーで一周いっしゅうしようって旅行りょこうをしにたんです!」

おとこ「………だったらわるいことはわねぇからいますぐこの都市まちからきな…この都市まちにアンタたちおもようなパラダイスなんかなにもねぇんだからよ」

竜賀りゅうが「そこをなんとか!一晩ひとばんだけまれるホテルを紹介しょうかいしていただけませんか!?」

おとこ「このシカゴシティにもう安全あんぜん場所ばしょなんてねぇ……シカゴココだけじゃねぇ…もう合衆国がっしゅうこく全体ぜんたいても安全あんぜんところなんてどこにもねぇんだ!」

光男みつお一体いったいなにがあったんですか?」

おとこ「このシカゴで適能者デュナミスト一味いちみ同士どうし抗争こうそうはじまっちまったんだよ…いろんな伽霊能力ギアルスキル連合れんごう組織そしきにも対応たいおう要請ようせいしても、ほかのトラブルにいそがしくてこっちにまわらないんだとよ……」

竜賀りゅうが「そんな……」

おとこわかっただろ?…この都市まち見捨みすてられたんだよ…ここは徐々じょじょ戦場せんじょうになる…だからさっさとはなれるんだな」

光男みつお「そういうことならここからーーー」

竜賀りゅうが「いえ!このひとぼくちちは4時間じかんもの長時間ちょうじかん運転うんてんつかれてるんです!なんとか今晩こんばんまるところだけでもおしえていただけませんか!?」

光男みつお「お、おい!」

おとこ「!……だったらこれをってきな…」


おとこはポケットからかみし、そこにペンでなにはしきしたかとおもったらそれを光男みつおした。光男みつおはそれをゆっくりった。

光男みつお「………これは?」

おとこ「このさき駅前えきまえみぎがってそっから3マイルくらいったとこに『ローグ』ってホテルがあるはずだ…そこの管理人かんりにんおれむかしっからの馴染なじみでな…おれ紹介しょうかいだってえばはなしくらいはいてもらえるだろうよ」

 そうのこすとおとこはそのからげるようはなれてこうとした。

竜賀りゅうが「おじさん!どこにくの!?」

おとこ「どこでもいだろうが!そんなの!……もうここは俺達おれたち居場所いばしょじゃなくなったんだからな!」

 そしておとこ背中せなかよる暗闇くらやみむほどとおくまで早足はやあしあるいていった。光男みつおと、竜賀りゅうが源太げんた三人さんにんはそれをしばらくつめていたが、それから光男みつおはジープをふたた運転うんてんはじめた。

光男みつお「ほら!くからまどからかおめろよ二人ふたりとも

竜賀りゅうが「う、うん!」

源太げんた「……うん」

 そしてくるまはししもらったかみかれてあるホテルの場所ばしょまで移動いどうした。源太げんたはあのおとことはなに言葉ことばわさなかったが、あのさびしそうな背中せなか何故なぜっているようがした。ーーーーー


 ーーーーーみち遭遇そうぐうしたおとこ案内あんないどおりにたホテルとうのは意外いがいとすぐにつかった。看板かんばんには『ローグ』という文字もじあおいネオンかびがっており、あかいレンガづくりの5かいての建物たてものだった。

 光男みつお荷物にもつ出来できかぎし、ホテルの正面しょうめん玄関げんかん二人ふたりれてホールにはいってった。フカフカの絨毯じゅうたん豪華ごうかなシャンデリアが三人さんにんむかえていた。

 しかし肝心かんじんのホールで出迎でむかえてくれるはずのホテルマンどころか従業員じゅうぎょういんだれもいなかった。

光男みつお「あのー!!だれかいませんかー!!?」

 光男みつお大声おおごえびかけたが、だれ返事へんじがなかった。沈黙ちんもく三人さんにんさえつけるようまったおとひびかなかった。

源太げんた「……留守るすなのかな?」

竜賀りゅうが「……………いや、たしかにいる」

 竜賀りゅうがしずかにみみますためじていた。

源太げんた「え?マジで?」

光男みつお「…かるんだな?」

竜賀りゅうが「さっきからあそこの通路つうろかどからおれらとはべつ心臓しんぞう鼓動こどうみたいなのがこえるんだ」

 竜賀りゅうが指差ゆびさしたさきにはすこくらがりになっている通路つうろようだ。

光男みつお「あの〜〜?我々われわれ観光かんこうでシカゴまでたんです!今夜こんやあるかたすすめられてこのローグってホテルまでました!」

竜賀りゅうが「…!?せろ!!」

 竜賀りゅうが突然とつぜんさけんだ。そのこえ反応はんのうした光男みつお源太げんた咄嗟とっさかがめた。

  バアアアンッ!!!

 合図あいず直後ちょくご、ホールに銃声じゅうせいひびわたった。竜賀りゅうがみみ両手りょうておさえて横目よこめ二人ふたりると、光男みつおせながら両手りょうてちいさくうえげながら必死ひっしさけんでいた。

光男みつお「ストップ!!ストップ!!ジャストモーメントッ!!!」

???「シャラァップッ!!ドンムーブ!!」

 ホールの通路つうろからおとこて、散弾銃ショットガン光男みつおけながら近付ちかづいてきた。

???「おまえなにしにここにやがった!?」

光男みつお「だからさっきもったとおり!観光かんこうでこの都市まちって、このホテルを紹介しょうかいしてもらったので…今夜こんやはここで一泊いっぱくだけさせてもらおうとおもいまして……」

???「だったら証拠しょうこせ!!紹介状しょうかいじょうなにってるはずだろう!!?ペテンめ!!」

 すると光男みつお左手ひだりて上着うわぎのポケットにれて、れい手紙てがみおとこわたした。おとこ無理矢理むりやり手紙それうばると光男みつお銃口じゅうこうけたまま距離きょりり、手紙てがみ文字もじはじめた。

???「……なんてこった…これはマーカスのじゃねぇか…『親愛しんあいなるともエリックへ』…たしかに俺宛おれあてだ…おまえらこれを一体いったいどこでーーーー」

  ドカァァァン!!!!!

一同いちどう「「「「ああああああああああああああああ!!!?」」」」

 突如とつじょホールの玄関げんかんのガラスをばす大爆発だいばくはつがホテルのまえ道路どうろひびいた。三人さんにん身体からだせていたのがさいわいして熱風ねっぷう背中せなかびただけだった。しかし、じゅうったおとこ強烈きょうれつ爆風ばくふう身体からだばされ、かべたたきつけられていた。

光男みつお「〜〜〜〜っ!あっち〜〜!!」

竜賀りゅうが「〜〜〜っ!!なんなんだ一体いったい!!?」

源太げんた「おやっさん!!竜賀りゅうが!!さっきのひとは!?」

 竜賀りゅうが光男みつお源太げんた言葉ことばにハッとしてあたまげるとまえいたみにくるしむおとこ姿すがたがあった。

光男みつお「!!?大丈夫だいじょうぶですか!!?」

竜賀りゅうが「おじさん!大丈夫だいじょうぶぼくこえこえてる!?」

 光男みつおおとこ安否あんぴ確認かくにんすると、くるしそうなこえらしながらおとこをゆっくりけた。

???「いきなり…耳元みみもと大声おおごえすんじゃねぇよ…んじゃいねぇよ、大丈夫だいじょうぶだ」

 おとこ意識いしきがはっきりしているのを二人ふたりはほっとしたが玄関口げんかんぐちからあやわらごえこえてきた。

???「ヒヒヒヒヒヒヒ……おいたかグレイブ?アイツらの間抜まぬけな姿すがた?」

グレイブ「そうだなジェイコブ…やっぱり爆発ばくはつ薬物ドラッグなみにスカッとするなぁ」

 源太げんた光男みつお近付ちかづいて、ほのおなかから不気味ぶきみな2つの人影ひとかげらしながらていた。

 するとほのおなかから二人ふたりおおおとこあらわれた。両方りょうほうとも顔立かおだちや体格たいかく褐色かっしょく肌色はだいろがそっくりで、片方かたほうかおみぎ半分はんぶん刺青タトゥーれており、もう片方かたほうかおひだり半分はんぶんおなよう刺青タトゥーれていた。

光男みつお「アンタらは一体いったい何者ナニモンなんだ?」

グレイブ「ワァーォ!いま爆発ばくはつきてられるヤツがいたのかよ?ラッキーだったな?いまからたのしくあのにいけて?……おれはグレイブ・トンプソン!そしてコイツはおれ双子ふたごおとうと…」

ジェイコブ「ジェイコブ・トンプソンだ!二人ふたりわせて『マッド・トンプソン兄弟ブラザーズ』ってばれてんだ!」

源太げんたなんでこんな非道ひどう真似マネができるんだよ!!?」

 あたまからながおとこていた源太げんたいかりでくちびるをワナワナをふるわせながら双子ふたご兄弟きょうだいいた。

グレイブ「なんで??そんなモン自分じぶん能力チカラためしてみてぇからにまってんじゃねぇか?」

竜賀りゅうが「……はぁ?」

ジェイコブ「兄貴アニキ…コイツらなんおこってねぇか?意味いみかねぇぞ?」

竜賀りゅうが「…だったらもっと阿呆あほうでもわかようってやろうか?……なんつみもない無関係むかんけい人間にんげんをこんなふうんどいて…テメェらなにヘラヘラしてんだよってってんだよ…!!」

 竜賀りゅうが言葉ことばしずかではあったがいかりをはらんでいた。竜賀りゅうが怒気どきまわりの空気くうき徐々じょじょにヒリヒリさせていった。

ジェイコブ「……ハァーーン?…おこったか?そんな無適能者アンチステージのゴミのためによ」

竜賀りゅうが「どういう意味いみだ…?」

グレイブ「おとうとってんのは……能力チカラもねぇクセえらそうにしてるそんなクズを心配しんぱいしてんのがあたまクルクルパーだってことさ!そうだよな?」

 グレイブの言葉ことばうなずあざけるようにニヤニヤしているジェイコブをて、竜賀りゅうが源太げんたこぶし血管けっかんかびがるほどつよにぎめていた。ワナワナと身体からだふるわせる二人ふたり光男みつお怪我ケガをしているおとこかってはなしかけた。

光男みつお「あのーエリックさんでしたっけ?」

エリック「あ、ああ…そうだ…おれはエリック・ブラックだが…」

光男みつおMr.ミスターブラック?かったらあのクソ失礼しつれい双子ふたごうち息子むすこたち成敗せいばいしますけど」

エリック「バカな!やめておけ!アイツらはれっきとした適能者デュナミストだ!つよさもなみじゃないんだ!わるいことはわん!はやげろ!ころされてしまう!!」

光男みつお「そのわりといっちゃなんですけど、今夜こんや俺達おれたち三人さんにんをこのホテルにめさせてもらえませんかね?」

エリック「なに馬鹿バカなことを…!!」

光男みつお大丈夫だいじょうぶです…うちのガキどもはちゃんとつよいですよ」

 心配しんぱいそうなかおをするエリックとは裏腹うらはら笑顔えがおせる光男みつお竜賀りゅうが源太げんたかって、けとわんばかりに目配めくばせをした。

ジェイコブ「おいおいグレイブ、アイツらおれらとやりらしいぜ?」

グレイブ「上等じょうとうじゃねぇか…能力チカラ他人ひとけてためちすんのは禁止きんしになっているが…相手あいてがこっちに歯向はむかってきたんならはなし完全かんぜんべつだからな」

ジェイコブ「正当防衛せいとうぼうえいってヤツか?ヒヒヒヒヒヒヒヒ…」

 トンプソン兄弟きょうだいはまるで獲物えものつけたよう舌舐したなめずりをし、グレイブは右手みぎてから、ジェイコブは左手ひだりてから伽鍵礼符キーカードした。

グレイブ・ジェイコブ「「伽霊覚醒ギアルアクセス!!」」

 グレイブは身体からだ緑色みどりいろかがやき、ジェイコブはあおかがやした。

源太げんた「だったらこっちも…」

竜賀りゅうが源太げんた「「伽霊覚醒ギアルアクセス!!」」

 竜賀りゅうが身体からだあおかがやき、源太げんた身体からだあかかがやきだした。四人よにんあいだには異様いよう緊張感きんちょうかんただよはじめた。

竜賀りゅうがおもてろ…そこで相手あいてしてやる」

グレイブ「いいぜ……」

 そとくるまとおらない道路どうろかいようった四人よにんかまえをってたたか空気くうきまとっていた。

竜賀りゅうが俺達おれたちったら、もう二度にどローグここには近付ちかづくな」

ジェイコブ「ああ、いぜ…ただしおれらがったらテメェら四人よにんとも能力チカラだめしのサンドバックあつか決定けっていだからな?」

源太げんたるなりくなりきにすればい…」

グレイブ「まりだ!」

 グレイブの言葉ことば最後さいごにジリジリを空気くうきってしまうよう緊張きんちょう四人よにん支配しはいした。

 そしてーーーー

ジェイコブ「…くぞオラァァァ!!!!!」

 一番いちばん最初さいしょうごしたのはジェイコブだった。左手ひだりてから伽鍵礼符キーカードあらわあおかがやいたとつぎ瞬間しゅんかんひかりおおきな鎖鎌くさりがまとなった。そのかま切先きっさき竜賀りゅうがクビ目掛めがけてんでた。

竜賀りゅうが「ッ!!?」

 竜賀りゅうが咄嗟とっさ身体からだかがめてけながら前転ぜんてんしながらジェイコブにんだ。しかしジェイコブの左手ひだりてにはもう1つのかまにぎられていた。

ジェイコブ「あめえええっ!!!」

源太げんたりゅう!!?」

 ジェイコブのかま今度こんどこそ竜賀りゅうがあたまたる。だれもがそうおもった瞬間しゅんかん竜賀りゅうが右手みぎてからさやいたかたなあらわれた。竜賀りゅうがかたなはジェイコブの左手ひだりてそとがわからおも強打きょうだし、鎖鎌くさりがまをぶっばした。

  ガンッ!!

 その直後ちょくごグレイブが源太げんた目掛めがけておそいかかってきた。源太げんたもそれに応戦おうせんしていた。

グレイブ「余所見よそみをしてると寿命じゅみょうちぢむぞ!!」

源太げんたちぢむだと!?ててからものをえや!!」

   ドンッ!!!

 源太げんたつかみかかろうとしたグレイブのうで手繰たぐせ、一本背負いっぽんぜおいの姿勢しせいはいりグレイブを地面じめんたたきつけた。


 その様子ようす遠目とおめていた光男みつお弟子でし成長せいちょう見守みまも師匠ししょうかお竜賀りゅうが源太げんたていた。

エリック「まさか…あのトンプソン兄弟ブラザーズ攻撃こうげきをものともしないなんて……あのたち一体いったい…」

光男みつお「ブラックさん、まだまだですよ」

エリック「え?」

光男みつお「アイツらはたしかに適能者デュナミストです…しかし、伽霊能力ギアルスキル発動はつどうさせられるからつよいとはえないんです」

エリック「なに!?」

光男みつお「こっからですよ…アイツらの本当ほんとうすごさは」


To Be Continued

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