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#18 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第5話「追跡者との対峙」

 あるはる早朝そうちょうモートレートタウンにあるモーテルがいから黄色きいろいジープが土煙つちけむりげながら道路どうろはしっていた。まるでそこからいそいではなれようとするかのように。

 くるま運転うんてんしていたのは多民族国家たみんぞくこっかアメリカ合衆国がっしゅうこくとはいえモートレートタウンではめずらしい日本人にほんじんである緑色みどりいろかみおとこ藍川光男あいかわみつおであった。

 その後部座席こうぶざせきにはあおいろながかみ日本人にほんじん少年しょうねん藍川竜賀あいかわりゅうが褐色かっしょく肌色はだいろをしたクシャクシャの黒髪くろかみをしている猿渡源太さわたりげんたよう運転うんてん見守みまもっていた。

竜賀りゅうがとうさん?」

光男みつお「ん?なんだ?」

竜賀りゅうがとうさんこういうひだり座席ざせきのしかもアメリカの右側通行みぎがわつうこうみち運転うんてん免許めんきょとか…練習れんしゅうしたことないでしょ?大丈夫だいじょうぶなん?」

光男みつおじつ昨晩さくばんトニーとガソリンいにときためりしておいたんだよ」

竜賀りゅうが「……無免許運転むめんきょうんてん罰金ばっきんじゃすまねぇなこりゃ」

光男みつお竜賀りゅうが残念ざんねんながらここにいる3にん本来ほんらいならてはいけないはずの場所ばしょにいるとうことでとっくに手遅ておくれだ…」

源太げんたおれいたってはマクシム連合れんごう血眼ちまなこになってさがしてるだろうよ…世間様せけんさま絶対ぜったいバラされたくない秘密ひみつために…な」

竜賀りゅうが「それでさ…もうそろそろくない?」

源太げんたなにが?」

竜賀りゅうが「マクシム連合れんごう秘密ひみつってヤツさそろそろおしえてくれよ」

源太げんた「あーもうしつこいなぁ…らないほうためだからくわしくはおしえられないってったじゃん」

光男みつおおれにもえないことなのか?」

源太げんたったら2人ふたりともころされるんだぞ」

竜賀りゅうが残念ざんねんなことに源太げんたおれはこの世界せかい一発いっぱつから1ばん最初さいしょにあった人間にんげんじゅうけられてころされそうになってたんだよ」

光男みつお「あーアレね」

竜賀りゅうが「しかもその人間にんげん適能者デュナミストじゃなくて無適能者アンチステージだったんだ……伽霊能力ギアルスキルっていようがっていなかろうが、この世界せかいはいった時点じてんおそわれるの確定かくていしてんだよ」

光男みつお「そういえばさ……」

 光男みつおはなし方向ほうこうおおきくらしてくれたとおもい、ホッとした様子ようすせた源太げんたであった。しかしここでおもいもよらぬ質問しつもんんできた。

光男みつおおれ竜賀りゅうがはこことはべつ世界せかいからときくろみたいなのにつかまってこの世界せかいまれたんだけどさ……源太げんたそんな伽霊能力ギアルスキルった適能者デュナミストうわさとかいたことないか?」

源太げんた「え?………う〜〜〜ん………」

竜賀りゅうがくろてのひらむらさきいろ眼球がんきゅうで!尚且なおか黄色きいろひとみをしてる不気味ぶきみなんだ!」

源太げんた「う〜〜〜ん……多分たぶんあるんだろうけど…」

竜賀りゅうが「あるんだろうけど?」

源太げんたおれ自身じしんはそんなうわさいたのはいまここではじめてなんだよな」

光男みつお「つまりそんなうわさったこともないってことか」

 竜賀りゅうが光男みつおはどこか落胆らくたんしたようなこえしていたが、源太げんたはそれをはげますようこえをかけた。

源太げんた「ま、まぁ!いまここでいたことをおれがどんどんクチコミでひろめていけば、そのうち真実しんじつ尻尾しっぽつかめるよ!この世界せかい適能者デュナミスト沢山たくさんいるから!そんなヤツいてもおかしくはねぇから!」

光男みつお「…そうか…」

竜賀りゅうが「それじゃあべつ世界せかいからやってきた世界初せかいはつ異世界いせかい適能者デュナミストってワケおれは!」

源太げんた「!…ああ!たしかに!」

光男みつお源太げんたってさマクシム連合れんごう実験施設じっけんしせつにいたんだろ?」

源太げんた「!…あ、ああ…」

光男みつお「そこでどんな生活せいかつしてたんだ?どんな食事しょくじだったんだ?」

竜賀りゅうが「どんな生活せいかつリズムだったの?」

源太げんた「どこに注目ちゅうもくしてんだよ…」

 今度こんどはおまえばんだとわんばかりにガンガン質問責しつもんぜめをしようとする2人ふたりに、源太げんたきつったよう表情ひょうじょうせていた。

光男みつお「だってになっちゃったんだもんよ」

竜賀りゅうが「で?どんなだったんだよ」

源太げんた「ん〜〜〜…大体だいたいおりなかにいたんだけど…」

光男みつお「ほぼほぼそと世界せかいたことないってことか…」

竜賀りゅうが「メシは?シャワーとかは?」

源太げんた「メシはベイカー食事しょくじくらべたら、死刑囚しけいしゅうようのメシなんじゃねぇのかってうくらいひどかったぜ……バケツのなかはいってたキャベツのしんとか、とおってない生肉なまにくとか、かじりかけパンくずがたりまえだったんだ」

竜賀りゅうが「それって会社かいしゃ食堂しょくどう残飯ざんぱんじゃねぇのか?」

光男みつお多分たぶんそうだろうな……」

源太げんた「シャワーなんてびたこと全然ぜんぜんないな……マクシム連合れんごうみずわたされたとき全員ぜんいんみずにするのに必死ひっし身体からだあらためみず使つか余裕よゆうもなかったんだ」

竜賀りゅうが「めっちゃ不衛生ふえいせいじゃん…そんでもって食事しょくじロクなのくて病気びょうきになるひともいたんでしょ?」

源太げんた「ああ…何人なんにんもそれでくなった同胞どうほうてきた…でも…」

竜賀りゅうが「?…でも??」

源太げんた「あんな実験動物じっけんどうぶつになるくらいなら……餓死がししたり早死はやじにしたほうがずっとマシかもな…」

光男みつお「……そこまで非人道的ひじんどうてき実験コトがやられてたってワケか…」

竜賀りゅうが「でもおれ実験体じっけんたいにもならずに、んだりもせずげるみちえらんだ源太げんた絶対ぜったい間違まちがってないとおもうよ」

源太げんた「え?」

竜賀りゅうが「だっておれいまこうやってこの世界せかいはじめての友達ともだちになってくれたのは源太げんたじゃん!」

光男みつお「…フフフ…そうだな…」

竜賀りゅうが「だからんでもうわけないなんてうなよ……スッゲェさびしんだからな!そういう気持きもちでいられるの」

源太げんた「………へッ…ありがとよ」

光男みつお2人ふたりとも!とりあえずこのさきにあるパーキングエリアがあるっぽいからそこで休憩きゅうけいするからな」

竜賀りゅうが「お!ようやくか!」

源太げんた「3時間じかん以上いじょう運転うんてんしっぱなしだったからションベンしたくなってきた」

光男みつお「はいはいどうぞごゆっくり休憩きゅうけいしてきてくださいな〜っと」

 光男みつおはジープを休憩所きゅうけいじょのパーキングにめると、竜賀りゅうが源太げんたはトイレにかけっこ直行ちょっこうしていた。それをながら光男みつおはまだまだおちゃまだなといった表情ひょうじょうくるまなかでコーヒーをんでいた。

光男みつお「……はぁぁ……」

 おおきな溜息ためいきをつきながらぼんやりくるま天井てんじょうながらかんがえていた。

光男みつお(さ〜〜て…これからどうしたもんか……)

???「Excuse me.すみません

 するとくるまのガラスまどをコンコンとかるたたおとがして光男みつおクビうごかした。するとそこにはブロンドがみわか女性じょせいっていた。その女性じょせい光男みつおはなしかけようとしているので、光男みつおはマルチセルラーの電源でんげんなおして、その女性じょせい窓越まどごしにはなかえした。

光男みつお「…あの…わたしなにか?」

女性じょせいわたしくるま調子ちょうしなんだかわるいみたいで……てもらってもいかしら?」

 ブロンドがみ女性じょせいこまった表情ひょうじょうたずねてきた。光男みつおはしばらくその女性じょせいかおをじっとつめていたが、1ついきくとくるまからてきてしょうがないとわんばかりに女性じょせいかえした。

光男みつお「……きみこわれたくるまってうのは?どこにいてあるの?」

女性じょせい「あそこよ」

 女性じょせい指差ゆびさしたところは駐車場ちゅうしゃじょうからはなれたみちわきまっているしろ乗用車じょうようしゃであった。

光男みつお「あれね?…ん〜〜…そんじゃまずくるま状態じょうたいからとこっか?」

女性じょせい「ありがとう」

 そうって2人ふたりめてあるくるまかってあるいてった。

光男みつおきみはあのくるまでどこかかう用事ようじでもあったの?」

女性じょせい「ええ、ひとさがしているんです」

光男みつお「へぇ?大事だいじひとなんですか?そのひと…」

女性じょせい「とっても大事だいじひとなんです…そのひとさがさないととっても大変たいへんなことがきるんです…なのでかなりさきいそいでいまして」

光男みつお「そうなんですね…つかることをねがってますね」

女性じょせい貴方アナタは…」

光男みつお光男みつおだ」

女性じょせい「なんですって?」

光男みつお名前なまえだよ、おれの…光男みつお

女性じょせい「ミツオ…じゃあ貴方アナタなにをしているんですか?」

光男みつお自分じぶんまれた故郷ふるさとかえろうとしてんのさ」

女性じょせい故郷ふるさと?」

光男みつお「ああ…そこでいまかえ方法ほうほう模索中もさくちゅうってワケ

女性じょせい「そうなんですね…ところで貴方アナタのジープ結構けっこうカッコいいですね」

光男みつお「そう?それはうれしいね!ありがとう!」

女性じょせい「いいえ、それにあのくるまわたし実家じっかにあるわたしあに父親ちちおやにプレゼントしたジープにかたちいろがすっごくているんです」

光男みつお「そうなの?いや〜不思議ふしぎなところで不思議ふしぎえんめぐうモンだねぇ〜はっはっはっは!」

 光男みつお女性じょせいまえあるきながら、あたまをポリポリとかき豪快ごうかいわらっていた。女性じょせい光男みつお背後はいごいかけるよういてった。そしてその女性じょせい左手ひだりてから伽鍵礼符キーカードしていたーーー

女性じょせい「それとあのジープの車両番号しゃりょうばんごうは“偶然ぐうぜん”にもわたし父親ちちおやのジープとまったおなじなのよ」

光男みつお「やっぱりそうか…きみなんだね?Miss.ミスメリアン・ベイカー…」

 背後はいごからなにかが自分じぶん背中せなかねらさだめいる気配けはいかんじて光男みつおあしめた。

メリアン「げなさい…ただしゆっくりよ……」

 光男みつおわれたとおりに両手りょうてをゆっくりうえげた。するとさきにあったしろくるまからドアをけて男性だんせい2人ふたりと、女性じょせい1人ひとり光男みつお近付ちかづいてきた。

光男みつお「ご丁寧ていねいにお仲間なかま一緒いっしょれてておむかえしてくださるとはね〜……わざわざご苦労くろうだね?」

メリアン「無駄ムダこたえをして時間じかん浪費ろうひするつもりはないわ」

光男みつおきみ一体いったいどんな伽霊能力ギアルスキルっているかはらないけどさ……そんな拳銃けんじゅうおどすみたいな物騒ぶっそう真似マネめたほういとおもうけどな〜」

メリアン「拳銃けんじゅうおどすですって?…ぷっ…はははははははははははっ!!」

 メリアンが光男みつお言葉ことばわらしたのにられるようまわりの3にんわらした。

メリアン「貴方アナタって随分ずいぶん冗談ジョーク面白おもしろいのね?わたしたち適能者デュナミスト拳銃けんじゅうなんてしょぼい玩具オモチャ使つかっておどすとおもってるの?」

???「まぁそうってやるな…4たい1でブルってるんだろうよ」

 光男みつおまえあぜけようわら白人はくじんおとこて、余裕よゆうそうな表情ひょうじょうくずさないようにはなしかけた。

光男みつお本当ほんとうにブルってるのは一体いったいどっちなんだろうね?」

???「なに?」

光男みつお「たった1人ひとりに4にんがかりでらないとはなしかける勇気ゆうきもないひとのこと……それを世間せけんじゃ臆病者おくびょうものとはわないのかな?」

???「なんだと?……テメェこの状況じょうきょうがよくわかっていねぇようだな!」

???「って!!…このおとこ…もしかして……」

 1人ひとり黒人こくじん女性じょせいほかのメンバーをめた。するとほかの3にんわらうのを光男みつお警戒けいかいはじめた。

光男みつお「へぇ…相手あいて力量りきりょうもはかれない馬鹿バカばかりだとおもっていたら、随分ずいぶんかしこもいるもんだ」

 光男みつお余裕よゆう表情ひょうじょうまったくずさないまま4にんはなしかけた。

光男みつお「それで?ぼくなんようかな?……マクシム連合れんごう適能者デュナミストみなさんこんなにそろいもそろって…」

???「そこまでられているなら大方おおかた予想よそうがついているのではないか?」

光男みつお貴方アナタ名前なまえは?まず名乗なのるのが礼儀れいぎってもんでしょう?」

 4にんかこまれていながら、まった物怖ものおじしない態度たいど多少たしょう警戒けいかいしながらも白人はくじんおとこはそれにこたえた。

???「……いだろう!おれはマクシム連合れんごうインディアナ支部しぶ軍事隊ぐんじたいだい1番隊ばんたい副隊長ふくたいちょう、ルーカス・ブラゼルだ!そしてこっちのおとこが1番隊ばんたいのアダム・タッカーで、こっちの女性じょせいも1番隊ばんたいスーザン・ディアスだ」

アダム・スーザン「「よろしく」」

 2人ふたりこえわせて自分じぶん名乗なのってきたのにたい光男みつおはそれぞれに会釈えしゃくした。

光男みつおおれ光男みつお藍川あいかわ光男みつおだ…以後いご見知みしりおきを」

ルーカス「そしてきみうしろいまいるのが1番隊ばんたいだい5せきであるメリアン・ベイカーだよ」

光男みつおあらためまして、よろしくね」

メリアン「よろしく…!!」

光男みつお「で?…4にん一緒いっしょにモートレートタウンからここまでおれ追跡ついせきしてたんだから余程よほど理由りゆうがあるんだろうね?」

 相変あいかわらずまった余裕よゆう表情ひょうじょうくずさない光男みつおはすっとぼけたよう質問しつもんをルーカスにげかけた。

ルーカス「当然とうぜん貴方アナタったような“余程よほど理由りゆう”がければ我々われわれマクシム連合れんごう軍部ぐんぶうごくはずがない」

アダム「おれたちいまここにいるのはある子供こどもさがしているからだ」

光男みつお「ふ〜〜ん?」

ルーカス「そのがマクシム連合れんごう幹部かんぶ親戚しんせきであり、秘密裏ひみつりにこのアメリカに入国にゅうこくされていたんだ」

スーザン「しかしその行方不明ゆくえふめいになったのよ…」

アダム「もしそのがマクシム連合れんごう以外いがいわた人質ひとじちられてしまったりでもしたら、組織そしきおおきなよわみをにぎられることになる」

光男みつお「だからその大騒おおさわぎになるまえきみたちつけて、何事なにごとかったようにしようってこと…か?」

 光男みつおがそういうとまえの3にんちいさくうなずいた。

ルーカス「そういうことです。しかし四日よっかまえモートレートタウンで奇妙きみょううわさっていたんです。ある路地裏ろじうらたおれていた適能者デュナミスト子供こどもを、東洋人アジアじん少年しょうねんかばったと……」

光男みつお「………」

ルーカス「そのイザコザの渦中かちゅうにいた適能者デュナミスト少年しょうねん容姿ようしが、問題もんだい行方不明ゆくえふめいになっていた組織そしき幹部かんぶ親戚しんせきであるダミアン・シーベルトくんだったんですよ」

光男みつお「……ダミアン・シーベルト…ねぇ……」

 光男みつおはこのときかれらのかおて、ウソをついているつもりはないのだろうとおもった。しかし組織そしきちが情報じょうほうわたされている自覚じかくさには苛立いらだちをすこかんじた。それを一切いっさいうたがおうともしないことにも。

 光男みつおは、あのはじめて“自分じぶん名前なまえ”をったとき本当ほんとう笑顔えがおあたまからはなれなかった。あのからその笑顔えがお竜賀ともだちげるつもりかと。

メリアン「そのイザコザを警察けいさつ通報つうほうしようとしたのがわたし母親ははおやだったっていう証言しょうげんていたのよ」

光男みつお「……それで?」

スーザン「わたしたちマクシム連合れんごうはすぐダミアンくん保護ほごするためにベイカー捜索そうさくするようにしようとしたんだけど、メリアンかのじょがそれに反対はんたいしたのよ」

メリアン「あにのウィルソンも強制家宅捜索きょうせいかたくそうさくのぞんでいたんだけど、わたしはもしもなに事件じけんまれているならわたし連絡れんらくしてくれるはずだとおもって家宅捜索かたくそうさくをやめてもらったのよ」

スーザン「そのわりメリアン自身じしん自分じぶんいえ捜索そうさくしてもらうようにしたのさ」

メリアン「そしてねんためいえはいまえ車庫しゃこにあったジープに発信機はっしんきけていたのよ」

ルーカス「自宅じたくにも盗聴器とうちょうき監視かんしカメラの設置せっち意見いけんたがそれもメリアンかのじょ断固反対だんこはんたいしていた…家族かぞくのプライバシーを侵害しんがいしてしくなかったという彼女かのじょ個人的こじんてき意見いけんでね」

光男みつお「やれやれ…一隊員いちたいいん感情論かんじょうろんがここまでとおされる組織そしきってどうなんだろうね?」

アダム「だからこっちもすくない情報じょうほううごくしかなかった。だが彼女かのじょ支部しぶもどったとおもわせたあと発信機はっしんきけたジープがすぐガソリンスタンドへって、そしてつぎあさモートレートタウンからった……3時間じかんもかけてな」

光男みつお「そしてそれを追跡ついせきしてきていまいたるというワケか…」

メリアン「もう1くわ、あのジープで貴方アナタはここまでなにをしているの?貴方アナタはあのいえなんでいたの?ダミアン・シーベルトくんなん関係かんけいがあるの?わたし家族かぞくなにをしたの!?」

 メリアンは光男みつお背後はいごからすさまじい剣幕けんまくまくてた。光男みつおはそれをフッと微笑ほほえみながらメリアンにやさしくかたりかけた。

光男みつお「メリアン…そんなに家族かぞく心配しんぱいになったんだったらさ…」

 光男みつおはゆっくり両手りょうてろした。それをまえの3にん警戒けいかいしたように距離きょりった。メリアンはさらにこえげて光男みつお背中せなかかってげた。

メリアン「うごくな!!!もしもうごいたら!!貴様きさまきざんでやる!!!」

光男みつおなんでもっと家族かぞくのそばにいてやらなかったんだ?あの2人ふたりがどんだけさびしかったか…こんなことになるまで何故なぜもっと真剣しんけんはなそうとしなかったんだ?」

メリアン「!!?」

光男みつおわるいけどいまきみはなすことなんてなにもないよ」

アダム「うごくなってってんだろ!!うごいたらころすぞ!!」

光男みつお「できやしねぇだろ?いまダミアンくん情報じょうほう手掛てがかりはおれしかいないんだ…おれをもしここでころしてしまったら折角せっかく情報源じょうほうげんうしなうことになる…ちがうか?」

アダム「テメェ…!!めてんじゃねぇぞ!!」

ルーカス「めろ!!アダム!!」

 光男みつお挑発ちょうはつけたアダムは左手ひだりてから伽鍵礼符キーカードし、光男みつおかってひかり球体きゅうたいようなものをつくしていた。そしてーーーー

   ダンッッッ!!!!!

 突如とつじょ光男みつおまえあおけんった青髪あおがみ少年しょうねんりてた。

光男みつお「ナイスタイミングだ!!竜賀りゅうが!!」

 竜賀りゅうがかたなあたまうえげて、アダムの手首てくび目掛めがけて素速すばや袈裟斬けさぎりをかました。

竜賀りゅうが「ハッ!!!」

  ガン!!

アダム「アアアアア!!」

光男みつお竜賀りゅうが!!?」

 アダムの光弾こうだんとも地面じめんたたせられた。その瞬間しゅんかん地面じめんから大爆発だいばくはつちか衝撃波しょうげきは発生はっせいあた一面いちめんばした。

竜賀りゅうが「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!?」

光男みつお「おおおおおおおおおおおおお!!?」

 竜賀りゅうが光男みつおうしろしゴロゴロところがりながらも最後さいご受身うけみ体勢たいせいなおして爆破ばくはしたあとた。

竜賀りゅうが「………こういうのってデジャブってうんだよね…?」

光男みつお「そんな呑気のんきなことってられねぇぞ?」

 その爆破点ばくはてんまわりにいた3にん適能者デュナミスト爆破ばくはにゼロ距離きょりまれたのを心配しんぱいしてさけんでいた。

スーザン「アダーーム!!!」

ルーカス「アダム!!アダム!!」

メリアン「アダム!!っ!!アイツら…!!よくもアダムを!!」

 メリアンは爆発ばくはつした場所ばしょからちかくを見回みまわすと竜賀りゅうが光男みつおえていた。必死ひっしにキョロキョロと見渡みわたすと光男みつおってきたあかいジープがもと場所ばしょからもうスピードで道路どうろはしってった。

メリアン「ルーカスッ!!アイツらがげていくわ!!」

ルーカス「なに!?……!!…スーザン!!アダムをたすしてちかくの病院びょういんれてけるか!?」

スーザン「わたしなら大丈夫だいじょうぶ!!アダムのことはわたしまかせて!!だから!!2人ふたりはあのおとこって!!はやく!!」

ルーカス「サンキュー!!たのんだぞ!!メリアン!くるますぞ!!」

メリアン「ええ!!」

 ルーカスとメリアンはってきたしろくるまいそいでみ、すぐさまアクセル全開ぜんかいでジープを追跡ついせきしたーーーーー


竜賀りゅうが「ーーーーあのさ…さっきはあんなことしちまったけど……とうさん…あれ…あんなことしてもかったのかな…?」

 ジープをばしてさっきの現場げんばからはなれようとする光男みつお不安ふあんそうなこえしながら竜賀りゅうがたずねた。源太げんた2人ふたりあいだながれる異様いよう雰囲気ふいんきにオドオドしていた。

光男みつおなにいまさらビビってんの?おまえこの世界せかい一番いちばん最初さいしょなにやったかおぼえてねぇの?」

竜賀りゅうが「!!」

源太げんた「あーーー…さっきの爆発ばくはつといい…なにきてたの?あそこで…」

光男みつお「あそこには4にん適能者デュナミストがいたんだ…そのうち1人ひとりがベイカー夫妻ふさいむすめさんのメリアンだったんだ」

源太げんた「マジで!?あそこにいたんだ……もしかして!?」

光男みつお源太おまえってきたマクシム連合れんごうヤツらだよ」

源太げんた「でもだからってなんでこんなにはやおれたちつけられてんだ」

光男みつお今朝けさまえくるました発信機はっしんきいてるのをつけたんだ」

源太げんた発信機はっしんきなにそれ??」

 光男みつお運転うんてんしながらポケットのなかにあったサイコロサイズの、ピッピッとおとはっしている装置そうちした。

光男みつお「これがくるまいていた発信器はっしんきだ。これが特殊とくしゅ電波でんぱばしていて、マクシム連合れんごうヤツらはこれを追いかけておれたちいかけてこれたんだ」

源太げんた「こんなちっさい機械きかいで??」

光男みつお「ああ…コイツがここにあるかぎヤツらは地球ちきゅう裏側うらがわまで俺達おれたちってこれるってワケだ」

源太げんたなにやってんだよ!!?だったらそれさっさとてろよ!!」

光男みつお馬鹿バカいまここでこの発信機はっしんきてても、俺達おれたちがコレをてた場所ばしょから進行方向しんこうほうこうから位置いち特定とくていされて一発いっぱつつかるにまってんだろうが」

源太げんた「それじゃぁどうするんだよ?」

光男みつお「それをいまかんがえてる……なにか…ずっとうごつづけてくれているものに…コイツをけておきたい……なるべく人間にんげんじゃない…なにかに」

源太げんた「…人間にんげんじゃないなにか……」

竜賀りゅうが「お2人ふたりともがっているところもうわけないんだけど……」

 2人ふたりがアセアセしているところになにいやなイベントの責任せきにんけられたみたいな、くらいテンションで竜賀りゅうがはなしまじわりにきた。

光男みつお「おっ……復活ふっかつしたか?」

竜賀りゅうがじつ息子むすこのメンタルえぐ発言はつげんしといてケロっとしてんなよ!」

光男みつお元気げんきになってんじゃねぇか?大分だいぶえれるようになってるな」

竜賀りゅうが「…!!……はぁ…もういい…とりあえずさ……あそこて」

光男みつお源太げんたなに?」

竜賀りゅうが「あそこに鹿シカがいるでしょ」

 竜賀りゅうが指差ゆびさしたところには道路どうろしてきている鹿シカがいた。

竜賀りゅうが「あの発信機はっしんきけとけばいいんじゃないの?」

光男みつお「……なるほどね…」

源太げんた「んじゃつかまえんのはおれまかせとけ!」

 光男みつおはジープをめると、源太げんたくるまから左手ひだりてから伽鍵礼符キーカードした。

源太げんた「これがおれ霊段階ステージ2ツー伸縮テレスコピック』だ!!ん〜〜〜」

 源太げんた礼符カードひかってえたあと源太げんた右腕みぎうでをぐるぐるをまわはじめた。

源太げんた「おりゃ!!」

  グニョーーーーン!!

 源太げんたごえとも右腕みぎうでがゴムのようとおくにいた鹿シカ胴体どうたい鷲掴わしづかみにした。

竜賀りゅうが「おーーーー」

光男みつお「なーーーるほどねぇ〜〜〜」

 すると源太げんたうでり、もとながさにもど鹿シカつかまえた。

源太げんた「どべぇ!!?ぐ…つかまえたぞ〜〜〜!!」

光男みつお「ヨシ!!でかした源太げんた!!そのままさえとけ」

 光男みつお源太げんたつかまえた鹿シカツノちいさい巾着袋きんちゃくぶくろしばけ、ふくろなか発信機はっしんきれた。

光男みつお「……ヨシ!これでしばらく時間稼じかんかせぎはできるはずだ…ごめんな…もうっていいよ」

 源太げんた鹿シカはなし、光男みつお鹿シカからだでながら言葉ことばをかけていた。

源太げんた「びっくりさせてごめんな〜〜!!もうつかまっちゃダメだぞ〜〜!!」

光男みつお「ほら!!家族かぞくのところにおかえり!!元気げんきでね〜〜!!」

 発信機はっしんきツノにぶらげた鹿シカみどりもりなかはしっていってしまった。

竜賀りゅうが「ほら!2人ふたりともいそがないとアイツらがいてくるぞ!!」

光男みつお「よっしゃ!源太げんたくるまれ!とっととここからはなれるぞ!」

源太げんた「うん!」

 3にんせたジープはふたた全速力ぜんそくりょく道路どうろはしっていった。


 ーーーー一方いっぽうそのころルーカスとメリアンはくるま追跡ついせきしていた。

メリアン「ルーカス!ヤツらここで進行方向しんこうほうこうえたわ」

ルーカス「さっきまってたのは発信機はっしんきさがしてのことか?」

メリアン「でも…あのサイズならそうそうすぐつかるはずがないわ!しかもあのみじか時間じかんで」

ルーカス「だとしたらどのみちすすなやんでいたってことか?どこにすすもうが追尾装置GPSでどこまでこうがえるんだよ!」

 そしてメリアンたちくるまは、竜賀りゅうがたちったジープとはちが方向ほうこうがってはしってった。発信機はっしんきはすでに光男みつおあさからはずされており、道端みちばたにいた鹿シカけているともらずにーーーー


To Be Continued

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