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#16 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第3話「二人の稽古開始!」

 早朝そうちょう、モートレートタウンの辺境へんきょうのモーテルにて朝日あさひのぼはじめたころ徐々じょじょましアメリカの太陽たいようびようとするひとまどはじめていたのだった。

 あおいセミロングほどのかみのこの少年しょうねんもその1人ひとりだった。その少年しょうねん藍川あいかわ竜賀りゅうがおおきくびをしながらミシガンしゅうのカラッとりつける太陽たいよう身体全身からだぜんしんびていた。

竜賀りゅうが「〜〜〜〜〜ッ!!……はぁぁ……よし!!今日きょう一日いちにちやるか!!」

 竜賀りゅうが部屋へやからていくとプールきのにわ真剣しんけんでの素振すぶりの稽古けいこはじめた。

  フォンッ!! フォンッ!! フォンッ!!

竜賀りゅうが「…ッ!!…ッ!!…ッ!!…」

 空気くうきようするどおとひびわたっていた。あしみと同時どうじかたなるい、力強ちからづよいをかれ素振すぶりはべつ少年しょうねん早朝そうちょうからたたこしてしまった。

 その少年しょうねん竜賀りゅうがとシャーリーが先日せんじつってきた部屋着へやぎまとって寝室しんしつからりてきた。

竜賀りゅうが「!…ハローよくねむれたか?源太げんた

 こすりながら大欠伸おおあくびをしていた猿渡源太さわたりげんたかって竜賀りゅうが挨拶あいさつした。

源太げんた「ふぁぁぁぁぁ……ああめっちゃくちゃひさしぶりにはらもいっぱいになって、たから…メチャクチャからだ元気げんきだ」

竜賀りゅうが「そっか!そりゃかったな」

源太げんた「ところでそのけんみたいなのなに?」

 源太げんた竜賀りゅうが左手ひだりてにぎられていた日本刀にほんとう指差ゆびさして、怪訝けげんそうなかおいてきた。

竜賀りゅうが「ん?…ああこれね……おれ伽霊能力ギアルスキル発動はつどうした…能力のうりょく?…の1つだよ」

源太げんた「つまり、それは竜賀りゅうが霊具ギーツなのか?」

竜賀りゅうが「ギーツ?」

源太げんた適能者デュナミスト能力チカラ補助ほじょをしたり、武器ぶきになる伽霊能力ギアルスキル召喚しょうかんできる道具どうぐだよ」

竜賀りゅうが源太げんた…おまえ伽霊能力ギアルスキルについてくわしいのか?」

源太げんた「もっちろん!!だっておれ適能者デュナミストだからな!!なんでもいてくれ!!」

 むねって豪語ごうごする源太げんたに、スッゲェ自信家じしんかだなと印象いんしょうけた竜賀りゅうが若干じゃっかんきながら質問しつもんつづけた。

竜賀りゅうが「……んじゃ伽霊能力ギアルスキルって一体いったいなんなのかおしえてよ?」

源太げんた伽霊能力ギアルスキル特定とくてい人間にんげんだけがれることのできる特別とくべつ能力チカラなんだ」

竜賀りゅうが「うん」

源太げんたまれてくる能力のうりょくひとによってそれぞれちがうんだけど、能力チカラ進化しんかってのは共通きょうつうしてるんだ」

竜賀りゅうが能力チカラ進化しんか?」

 竜賀りゅうがいままでいたことのない内容ないよう興味きょうみかれた。

源太げんた「うん!まず未適能者ステージゼロ最初さいしょ覚醒かくせいするとなにきるかわかるよな?」

 源太げんたからかれて竜賀りゅうが右手みぎてから霊段階ステージAエース伽鍵礼符キーカードした。

竜賀りゅうが「この霊段階ステージAエース……伽霊覚醒ギアルアクセス礼符カードてくるんだよな?」

源太げんた大正解だいせいかい!!おめでとう!!」

 源太げんた大袈裟おおげさなリアクションをりながら竜賀りゅうがめた。竜賀りゅうが満更まんざらでもないかのようにニヤっとした。

源太げんた「ここまではぜん適能者デュナミスト共通きょうつうしてるところなんだけど…」

竜賀りゅうが「けど?…」

源太げんたつぎ覚醒かくせいからバラバラなんだ」

竜賀りゅうが「どういうこと?」

源太げんた霊段階ステージAエース以降いこう霊段階ステージ2ツーからは発動はつどうする能力のうりょくひとそれぞれいろんなタイミング、いろんな種類しゅるいがあって一定いってい規則性きそくせい法則性ほうそくせいがないんだよ」

竜賀りゅうが「それじゃあつぎ能力のうりょく覚醒かくせいしたらどんな能力のうりょくてくるのかからないの?」

源太げんた「イエス!もうそれは…てのおたのしみってヤツ!そしてそれらの能力のうりょく覚醒かくせい霊段階ステージ2ツーから10テンまであるんだ」

竜賀りゅうが「2〜10までが能力チカラ覚醒かくせい?11以降いこうは?」

源太げんた「そっからはさらに特別とくべつで10以降いこうじゅんJジャックQクイーンKキングっていう3つの覚醒かくせいがあるんだ」

竜賀りゅうがJジャックQクイーンKキング??それじゃあまるでトランプみたいじゃねぇかよ」

源太げんた「トランプ?なにそれ??」

竜賀りゅうが「え!?トランプらないの?あのスペードとか、ハートとか、ダイヤ、クローバーの4種類しゅるい絵柄えがらAエース、2〜10、JジャックQクイーンKキングまでのカードとジョーカーの53まいのカードゲームだよ!」

源太げんた「そうそうッそれそれッ!!なるほどね〜!竜賀りゅうが世界せかいでは『プレイングカード』のことを『トランプ』ってぶんだな?」

竜賀りゅうが「いや…もしかしたら日本にほんもそうぶかもしれないけど……」

源太げんたおれはプレイングカードってんでて『トランプ』はジョーカーのことをしめすんだけどな」

竜賀りゅうが「とにかくはなしもどすけど!伽霊能力ギアルスキルはプレイングカードの数字すうじ沿って伽鍵礼符キーカード数字すうじられてるんだな?」

源太げんた「そういうこと!一番いちばん最初さいしょAエース伽鍵礼符キーカード覚醒かくせいして身体能力しんたいのうりょくつよくなって、2〜10の伽鍵礼符キーカード特殊とくしゅ能力のうりょく使つかようになるんだ」

竜賀りゅうが「それが金属きんぞくあやつったりとか、したり、武器ぶき召喚しょうかんするヤツってワケか…」

源太げんたとく霊段階ステージ10テン伽鍵礼符キーカード発動はつどうする能力チカラってのは反則級はんそくきゅうのチートカードってわれてるくらいなんだ」

竜賀りゅうが「それじゃあJジャック礼符カードは?」

源太げんた「これが不思議ふしぎなことにJココからKキングまでは適能者デュナミストれなく全員共通ぜんいんきょうつう伽鍵礼符キーカードなんだ」

竜賀りゅうがなに?」

源太げんた霊段階ステージJジャックは『召喚サモン』、霊段階ステージQクイーンは『伽霊融合ギアモルフォーゼ』、霊段階ステージKキングは『神化エボリューション』って礼符カードになるんだよ」

竜賀りゅうが「さ…サモン?ギアモルフォーゼ?エボリューション?…なにそれ?一気いっき情報じょうほう多過おおすぎて混乱こんらんしてるんだが…」

源太げんたなんでも適能者デュナミストってのはみんな能力チカラ覚醒かくせいして成長せいちょうするにつれて自分じぶんからだのどっかに伽霊獣ギアルモンスターってのがみつくらしい。あるヤツ何十年なんじゅうねんって伽霊獣ソイツ存在そんざい気付きづいたりもするし、世界せかいには能力チカラ覚醒かくせいしてすぐそんなヤツ自分じぶんからだにいるってがつくヤツがいるらしいぜ」

竜賀りゅうが「!!」

源太げんた「どうした?」

竜賀りゅうが「…………いや……なんでもない……」

 竜賀りゅうが絶句ぜっくした。この世界せかいもなく自分じぶんゆめなかてきたなぞのあのあおりゅう。それがまさかいま源太げんたった伽霊獣ギアルモンスターだとでもうのか。

源太げんた「?…そんでその伽霊獣ギアルモンスター召喚しょうかんするため伽鍵礼符キーカード霊段階ステージJジャックってワケ

竜賀りゅうが「それじゃあ…霊段階ステージQクイーンってうのは?」

源太げんた「その伽霊獣ギアルモンスター適能者デュナミスト融合ゆうごうさせる伽鍵礼符キーカードなんだ」

竜賀りゅうが融合ゆうごう?」

源太げんた「なんか伽霊獣ギアルモンスター怪力パワー能力のうりょく純粋じゅんすい発揮はっきできるようになるんだってよ…実際じっさいにはおれたことないんだけどな!」

竜賀りゅうが「え!?たことないの!?」

源太げんた「ああ……なんせ霊段階ステージJジャック以上いじょう適能者デュナミストなんて世界せかい数百人すうひゃくにんしかいない、滅多めったにおにかかれないレアな存在そんざいだからな」

竜賀りゅうが「そっ…か…」

源太げんた「そんで最後さいご霊段階ステージKキング伽鍵礼符キーカードが『神化エボリューション』、伽霊獣ギアルモンスターをさらにつよ怪物かいぶつ進化しんかさせる伽鍵礼符キーカードだ」

竜賀りゅうが「そうするとどうなるんだ?」

源太げんたおれいままでそんなヤツ当然とうぜんたことないけど、あくまでうわさいたのは一つのちいさなくにをいとも簡単かんたんほろぼせる神話しんわ怪物かいぶつぐらいに進化しんかできて、それと伽霊融合ギアモルフォーゼすると適能者デュナミストかみちか能力チカラれるんだとかなんとか」

竜賀りゅうが「なるほどね」

 竜賀りゅうがうなずきながら源太げんたはなしいていた。

源太げんたちなみにさ…」

竜賀りゅうが「ん?」

源太げんた竜賀りゅうが伽霊能力ギアルスキルっていまどんなヤツがあるの?適能者デュナミストだろ?」

竜賀りゅうが「あ…ああ、それじゃあ源太げんたもどんな伽霊能力ギアルスキルってるのかおしえてね」

源太げんた「OK」

 竜賀りゅうが源太げんた自分じぶん伽鍵礼符キーカード霊媒印コモンベスタからすと、おたがいにカードゲームのデッキをよう礼符カードひろげた。

源太げんた「おーー…竜賀りゅうがはもう3まいあるのか…」

竜賀りゅうが源太げんたは5まいあるのか…すごいな…」

源太げんたいまおれ礼符カード5まい覚醒かくせいしてるから、霊段階ステージ5ファイブ。そして…」

竜賀りゅうがおれが3まい礼符カード覚醒かくせいしてるから、霊段階ステージ3スリーってことね」

源太げんた正解せいかい!」

竜賀りゅうが「んで?源太げんたはどんな礼符カードってるの?」

源太げんたおれはまずAエースの『伽霊覚醒ギアルアクセス』、2ツーの『伸縮テレスコピック』、3スリー如意棒ボンジェット4フォー焔玉ファイア』、5ファイブ分身ジェミニ』ってところかな」

竜賀りゅうが「……これってさ…覚醒かくせいするのにどのくらい時間じかんかったんだ?」

源太げんた「ん〜〜〜…かんない!」

竜賀りゅうが「………は?」

源太げんた「だってさ…おれ昨日きのうまで自分じぶん名前なまえらなかったんだし、自分じぶん年齢ねんれいとか能力のうりょく覚醒かくせいしたとかおぼえてるワケないじゃん」

竜賀りゅうが「…………ごめん…」

源太げんた「そんな深刻しんこくそうなかおしないでよ。べついまにしてないから」

竜賀りゅうが「………」

源太げんた「おやっさんもってたろ?これまでがどうかじゃなく、これからがどうかってほうがずっと大事だいじだから」

竜賀りゅうが「………はぁぁ…色々いろいろごちゃごちゃかんがえすぎだなおれは…源太げんたまえとおりだよ」

 そう竜賀りゅうがわれた源太げんたはニカッとわらうとうれしそうなこえはなはじめた。

源太げんた「へへへ……ところで竜賀りゅうが礼符カードってどんなの?」

竜賀りゅうが「ん?…あ、ああ…ほれ、これがおれ伽鍵礼符キーカードだよ」

 竜賀りゅうがは3まい礼符カード源太げんたえるよう身体からだまえした。

竜賀りゅうが「まず霊段階ステージAエース伽霊覚醒ギアルアクセス』、霊段階ステージ2ツーの『海斬刀かいざんとう』、そして…この…霊段階ステージ3スリー…『天狩鉤爪あまがりのつめ』って…」

源太げんた「?……あのさなん自分じぶん礼符カードことあんまりらないの?」

竜賀りゅうが「だってさ…おれとうさんこの世界せかいたの五日いつかまえだぜ?この世界せかいことらないのはたりまえじゃん」

源太げんた「そっかー…五日いつかまえか〜そりゃこのせ…かい…」

 源太げんたはあることに気付きづいた様子ようす徐々じょじょかおあおざめていった。

竜賀りゅうが「?」

 竜賀りゅうがはそれをポカンとした怪訝けげんそうな表情ひょうじょう源太げんたかおた。源太げんたこえふるわしながら竜賀りゅうがいた。

源太げんた「え〜っと…その……つまり……竜賀りゅうが霊段階ステージ3スリーになったのって……四日よっかかんってコト???」

竜賀りゅうが「いや……一昨日おとといこの3まい覚醒かくせいしたから三日みっかかんだね」

源太げんた「!!??」

 源太げんたはアゴがはずれるんじゃないかとうくらいくちおおきくひらいて、びっくりしていた。

竜賀りゅうが「な、な、なに!?」

源太げんたなに!?はこっちの台詞セリフじゃい!!たった三日みっかかん霊段階ステージ3スリーまで覚醒かくせいするなんていたことないぞ!!?」

竜賀りゅうが「そ、そうなの?」

源太げんたたりまえじゃねぇか!!伽霊能力ギアルスキルってのは霊段階ステージを1つげるだけで最低さいていでも1ねんくらいかかるんだ!普通ふつうは3〜4ねんくらいかかって1つずつ霊段階ステージ上昇アップしたら、順調じゅんちょう成長せいちょうしてますね〜とか評価ひょうかされる世界せかいなんだぞ!?」

竜賀りゅうが「ん〜〜…」

源太げんた「どうしたんだよ?」

竜賀りゅうが「もしかしてこの世界せかいには霊段階ステージAエースとか2ツーになったまま、なんにも成長せいちょうせず一生いっしょうえる適能者デュナミスト大勢おおぜいいるの?」

源太げんた「…ああ…そうだよ…もちろんいるさ…もっと能力チカラしいとねがっていても、能力チカラはいらずんでいくヤツやまほどいるんだ」

竜賀りゅうが「ふ〜〜ん……?」

源太げんたなんだよ?」

竜賀りゅうが「まぁおれもまだまだこの世界せかいたばっかりでなんにもわかってないけど、そのうちわかるだろうからいまはそんなにふかかんがぎずやっていこうか!」

源太げんた「………おれんでいた見捨てられた町スノップルでは能力チカラこそがきていくためかなら使つかうモンだったんだ」

竜賀りゅうがひところしてうばために?」

源太げんた「それがすべてだった…そうしなけりゃきていけなかったんだ」

竜賀りゅうが「そして…マクシム連合れんごう研究所けんきゅうじょ研究材料けんきゅうざいりょうとしてごしていたわけか」

源太げんた「ああ…」

竜賀りゅうが「なぁ?…マクシム連合れんごうってどんなところなんだ?なんすごいデカい組織そしきってのはわかるんだが…?」

源太げんた「……表向おもてむきはこのくにもっとおおきな伽霊能力ギアルスキル研究機関けんきゅうきかんってわれてっけど……実際じっさいには適能者デュナミスト様々さまざま薬品やくひん投与とうよしたりして人体実験じんたいじっけんをしているところだ」

竜賀りゅうが「そのマクシム連合れんごうってのは研究けんきゅう以外いがいなにやってるんだ?」

源太げんたくに治安ちあんまもため警察けいさつとか軍隊ぐんたいみたいなこととやってるっていたことある」

竜賀りゅうが「なるほどね…警察けいさつ表向おもてむきのかおうらかお非人道的ひじんどうてき人体実験施設場じんたいじっけんしせつじょうってことね」

源太げんた「…そうだ…」

光男みつお「おーい!おはよ!」

 その2人ふたり会話かいわかげいていた光男みつお何事なにごとかったかのよう振舞ふるまいながら2人ふたり挨拶あいさつした。

竜賀りゅうが「おはようございます!!」

源太げんた「おはよう…」

光男みつお今日きょう天気てんきだな!稽古けいこ日和びよりだな!」

 光男みつお身体からだばしてストレッチをしながら、木刀ぼくとうっていた。

光男みつお源太げんたおれ竜賀りゅうがはな…毎朝まいあさ剣道けんどう稽古けいこをするんだ」

源太げんた「?……ケンドウ?ケイコ??」

竜賀りゅうが「ああ!稽古けいこってのは訓練トレーニングのことをうんだ…剣道けんどうってうのは……えーっと…」

光男みつお竜賀りゅうが剣道けんどう英訳えいやくなんてねぇよ……ま、いてうなら…そうだな…ソードプレイってところかな?」

源太げんたなんでそんな物騒ぶっそうなモノをするんですか?ひところためですか?」

光男みつお「ん?いや…」

源太げんた「それじゃあする必要ひつようなんてないんじゃ…」

光男みつおこたえは単純シンプル!そのみちきわめるためだよ…」

源太げんたきわめる?みちを??」

光男みつお「ああ!…ひと大切たいせつなにかに気付きづためには、なにか1つでいから!……それに全身全霊ぜんしんぜんれい没頭ぼっとうすることが1ばんなんだ」

竜賀りゅうが余計よけいことかんがえなくてむしね」

源太げんた「そうなの?」

竜賀りゅうが「まぁ…百聞ひゃくぶん一見いっけんにしかずってうし…源太げんたもやってみる?」

源太げんたおれもやっていの?」

光男みつおたりまえじゃねぇか!武道ぶどうものこばまずだ!みちきわめようとするこころざしものみなさむらいだよ」

源太げんたさむらい…?」

竜賀りゅうが「それじゃあ源太げんたまえ初心者ビギナーだから本物ほんもの真剣しんけん危険きけんだからこの木刀ぼくとう素振すぶりしなよ!」

 竜賀りゅうが自分じぶん使つかっていた木刀ぼくとう源太げんたわたそうとしたが、

源太げんた「え……でも……」

 源太げんたいままでさわったこともないもので、竜賀りゅうがにぎられていた木刀ぼくとうあきらかに戸惑とまどっていた。

光男みつお「……!!源太げんた…おまえ普段ふだん伽霊能力ギアルスキル使つかときどんな武器ぶき……霊具ギーツ使つかってるんだ?」

 それをわれたとき源太げんたかおがホッとした表情ひょうじょうわり、光男みつおもやっぱりかとかおをした。

竜賀りゅうが「どういうこと??」

光男みつお竜賀りゅうが……源太げんたはおそらく日本刀にほんとうやサーベルのたぐいさわったことも、たこともないんだろ」

源太げんた「うん」

竜賀りゅうが「だから?」

光男みつお「はぁぁ…だからまえにもっただろう竜賀りゅうが使つかれていない武器ぶきってても意味いみいしあらそいのもとになるってな」

竜賀りゅうが「………みみいたかぎりです…」

光男みつお「そういうこと!……とワケ源太げんた!!」

源太げんた「はい!!」

光男みつお「おまえ霊具ギーツおれたちせてくれないか?」

源太げんたかった!!」

 源太げんたはそう返事へんじするとひだりてのひらうえけ、霊媒印コモンベスタから伽鍵礼符キーカードした。

竜賀りゅうが「さっきってた霊段階ステージ3スリー能力チカラだね…」

源太げんた「ああ!霊段階ステージ3スリー如意棒ボンジェット』だ!!」

 源太げんた竜賀りゅうが興味津々きょうみしんしんのリアクションに鼻高々はなたかだか自分じぶん霊具ギーツてんかかせてきた。

源太げんた「へっへーん!!」

光男みつお源太げんたそれ一回いっかいそれおれせてくれないか?」

源太げんた「オッケー!!」

 源太げんたっていたこん光男みつお手渡てわたした。光男みつおはそれをるとがまるでこんってかれそうになるくらいられた。

光男みつお「グオッ!!?……おっ……もぉ…!!!」

 光男みつお予想外よそうがいこんおもさにビビっていそいでこんかたかつようささえながらたてにした。

光男みつお「……っはぁ!!…はぁ…はぁ…げ、源太げんたこれなんキログラムあるんだ!?…めちゃくちゃおもかったぞ…!?」

源太げんたらないです。そんなの普段ふだんにしながら使つかってないので」

竜賀りゅうがおれもそういや自分じぶん真剣しんけん具体的ぐたいてきおも全然ぜんぜん把握はあくしてねぇや」

光男みつお「おまえら……自分じぶん武器ぶきくわしい仕様しようとかちゃんとわかっとけよ……」

竜賀りゅうが源太げんた「えへへへ〜」

 光男みつおこん実際じっさい両手りょうてげてみたり、にぎりながらふとさをたしかめながら調しらべていった。

光男みつお「ふむ…さっきはびっくりしたけど、大体だいたいながさは190cm、ふとさは直径ちょっけいは3cm、おもさは7kgってところか……かなりはんしておもさは相当そうとうだな」

源太げんた「…そうなの?おれ普段ふだんからなんにもおもさとかにせずるってるから」

竜賀りゅうが「7kgは相当そうとうおもいはずだけど、伽霊覚醒ギアルアクセス発動はつどうしてるときはパワーアップしてるからあんまりおもぎててないとかかんじずらいのかも?」

光男みつお「……そういうことか…道理どうりで…」

竜賀りゅうがなにが?」

光男みつお竜賀りゅうがってるその海斬刀かいざんとうってのをったときあきらかに通常つうじょう刀剣とうけんよりおもかった」

源太げんた「そうなんですか?」

光男みつお通常つうじょう竜賀りゅうが使つかってるよう日本刀にほんとうならおもさは1〜1.5kgくらいなんだけど…」

竜賀りゅうが「けど…?」

光男みつおはじめて竜賀りゅうがかたなったときは4〜5kgにかんじたぞ」

竜賀りゅうが「そんなに?たしかに竹刀しないよりはめっちゃおもっ!っておもったけどさ」

 竜賀りゅうが源太げんた冗談じょうだんでからかってっているワケではないとかんじて光男みつお溜息ためいききながらつぶやいた。

光男みつお「おまえ適能者デュナミストってのが怪力パワーインフレこすってことはよくかった」

 光男みつお源太げんたこんわたしながらストレッチをするよう身体からだをほぐしていった。

光男みつお「ところで源太げんた?」

源太げんた「はい?なんですか?」

光男みつお「おまえ棒術ぼうじゅつ稽古トレーニングけたことあるのか?」

源太げんた「いや、そんなの全然ぜんぜんやったことないけど……」

光男みつお「…ふ〜ん……」

竜賀りゅうがなんいや予感よかんするな……」

 竜賀りゅうがかおあおくしながらこのあときることを予想よそうしているのをて、源太げんたクビかしげていた。

光男みつお「……よし!!…そんじゃあまず源太げんた!!おまえ実力じつりょくてみたいから、おれにそのこん攻撃こうげきしにい!!」

竜賀りゅうがたよ……」

源太げんた「マジで!?そんじゃあ、おやっさんはなん武器ぶき使つかうんですか!?」

光男みつおなにも…」

源太げんた「は!?」

光男みつお徒手空拳としゅくうけん……つまり素手すででおまえ攻撃こうげきすべかわしてせようか?」

源太げんた「…めてるんすか?適能者デュナミストはやさと怪力パワーを…!?」

光男みつお「だったらためしてみようか……適能者デュナミストってのがその能力チカラかまけて、どんだけおもちがいしているかってことをさ」

 源太げんた挑発ちょうはつする光男みつお自信じしんあふれていた。竜賀りゅうが自分じぶんがワイルズをころしたよるおもした。

竜賀りゅうが(こうなったとき親父おやじ容赦ようしゃないからな……せめて怪我ケガだけはさせんなよ…)

源太げんた「トシュクウケンだかなんらねぇけど…素手すで霊具ギーツちの適能者デュナミスト攻撃こうげきかわすだと!?おれより身体からだおおきいってだけで勘違かんちがいしてんのはそっちだろ!!」

 源太げんたこん頭上ずじょうかまえ、攻撃こうげきする準備じゅんびをした。源太げんた光男みつお言葉ことばにムカついているかおをしていたが、自分じぶんけるワケがない自信じしんあふれた感情かんじょう身体中からだじゅうかられていた。

光男みつお「そんじゃ竜賀りゅうがはじめの合図あいずしてくれ」

竜賀りゅうが「はぁ…はいはい」

 竜賀りゅうが源太げんた光男みつおなか右手みぎてまえし、面倒臭めんどくさそうなかおをしながらーーー

竜賀りゅうが「そんじゃ…はじめ!」

    ドンッ!!

 竜賀りゅうがごえ瞬間しゅんかんに、源太げんたそらたかがり身体からだおおきくらしながらこんりかぶりっていた。

源太げんた「アアアアアアアア!!!!」

 光男みつお目掛めがけてちてくる源太げんた身体全体からだぜんたいちからこんろしてきた。
 光男みつおあわてる様子ようす一切いっさいせず、やれやれとあきれた表情ひょうじょう棒立ぼうだちしていた。

源太げんた「ガアッ!!!」

 光男みつおはその渾身こんしん一撃いちげき身体からだ源太げんた右側みぎがわまわよう紙一重かみひとえでヒョイとかわした。

  ドカアアアン!!!

 源太げんたこん物凄ものすご衝撃しょうげきおんひびかせながら、地面じめんをめりんでいた。光男みつおはそれをまるで何事なにごともないかのような表情ひょうじょうつめていた。竜賀りゅうがすこしビビっているような表情ひょうじょうをしていた。

竜賀りゅうが「スッゲェ怪力パワー……」

源太げんた「へっ……うんけたのか…」

 源太げんた地面じめんからそのままよこはらよう光男みつお顔面がんめん目掛めがけてこん片手かたてってきた。

源太げんた「おりゃ!!」

光男みつお「…ん」

 光男みつおかおかってんでくるこん先端せんたんあたまげながら簡単かんたんけてみせた。そのあとふたた攻撃こうげき仕掛しかけようとこんまわしていたがまったかすりもしなかった。

源太げんた「oh sit!!」

光男みつお「やれやれ…やっぱりそんなもんか……」

竜賀りゅうが相変あいかわらず子供こどももてあそぶのがきだなあ」

 源太げんた自身じしん攻撃こうげき紙一重かみひとえすべけられるのにイライラしている様子ようすであった。それをていた竜賀りゅうが徐々じょじょにもどかしい気持きもちになっていった。

竜賀りゅうが源太げんた…それじゃあとうさんに棍棒こんぼうてることなんて出来できねぇよ……たしかにギリギリでとうさんけてるみてぇにえるけど大分だいぶ余裕よゆうそうだぞ……)

 竜賀りゅうがこころなか源太げんたにそうっていたが、そんなおもいもむなしく源太げんたこん光男みつお軽々かるがるけられていた。

光男みつお「もういいよ」

 光男みつおはそう一言ひとことだけはなつと、源太げんた両手首りょうてくびつかり、手首それひねよう源太げんた身体からだ地面じめんたたきつけた。

   ドン!!!

源太げんた「ぐあッ!!?」

光男みつお「こりゃ重傷じゅうしょうだな……いままで無事ぶじだったのが奇跡きせきなくらいだな」

源太げんたなんだと!?」

光男みつお竜賀りゅうが!!いま源太コイツなに駄目ダメだったとおもう!?」

竜賀りゅうがなに駄目ダメってったって……」

源太げんたおれ駄目ダメなところなんてあんのかよ…」

竜賀りゅうがてるかんいところさがせってほうむずかしいとおもうけど…」

源太げんた「はぁぁっ!!??」

 竜賀りゅうががサラッと源太げんた悪口わるぐちったことで源太げんたはカッとなっていたが、竜賀りゅうがつづけた言葉ことばいかりがスッといていった。

竜賀りゅうが源太げんた実戦じっせん剣術けんじゅつ稽古けいこときおれおんな失敗ミスをしてるってこと??」

源太げんた「え?」

光男みつお「はい息子むすこ正解せいかい!」

 光男みつお竜賀りゅうが指差ゆびさし、よくぞ気付きづいたとわんばかりにニヤッとした。

源太げんた一体いったいなんなんだよそれ!!ワケわかんねぇよ!!なんおれ竜賀りゅうがおな失敗ミスをしてるってわれるんだよ!?」

 源太げんたなにやらこたえをもとめるかのようにこえあらげたが、光男みつおはそれをいた様子ようすさとようはなしかけた。

光男みつお「それをこれから説明せつめいしていくんだよ…でもな…」

 そこではなしってあらためて2人ふたりった。

竜賀りゅうがなんあらたまってるの?」

光男みつお竜賀りゅうがにしろ…源太げんたにしろ…これからおれはなすことをちゃんと“納得なっとく”することが大事だいじなんだ。“理解りかい”するだけじゃりねぇんだ…“納得なっとく”する必要ひつようがある」

源太げんたなにちがうの?」

光男みつお「……かり伽霊能力ギアルスキル体格たいかくしろ0ゼロ状態じょうたいになっても…それが自分じぶん限界げんかいなんて絶望ぜつぼうする理由りゆうにはけっしてするな。“わざ”としろがある…」

竜賀りゅうが「……わざ……」

光男みつお「ああ…“わざ”ってのはおのれ人生じんせいすべてをささげて探究たんきゅうするもんなんだ。“わざ”にわりはねぇ」

源太げんた「そんじゃその“わざ”をれればおやっさんにだっててるってことだな!!」

光男みつお「ああ……そううことだ…そのことをしっかり各々おのおのかんがえながら稽古トレーニングしてみるこった」

 そして光男みつお木刀ぼくとうり、2人ふたり距離きょりをとって素振すぶりをはじめた。

竜賀りゅうが源太げんた…」

源太げんた「ん?なに??」

竜賀りゅうがおれもおまえもさ多分たぶんたたか才覚センスとか、伽霊能力ギアルスキルとか……まれるときあたえられたちから胡座あぐらをかいてここまでたたかってきたとおもうんだよ」

源太げんた「うん…でもそれも自分じぶん立派りっぱちからの1つだろ?」

竜賀りゅうが「そうなんだけど…さ……多分たぶんそれじゃあすぐおれたちすぐ限界げんかいるとおもうんだ」

 だから、と言葉ことばつづける竜賀りゅうがかおながら、つぎ言葉ことば源太げんたった。

竜賀りゅうが「ただ漠然ばくぜん稽古トレーニングしてちゃ時間じかん無駄ムダにするだけなんだとおもう。1人ひとり人間にんげんあたえられてる時間じかんっておもってるより“有限ゆうげん”だからさ?……かんがえながら稽古けいこしてみようぜ、いまからでも全然ぜんぜんうからさ!」

源太げんた「……ああ!!」

 その様子ようす横目よこめにフッと光男みつおわらっっていた。

光男みつお(ようやく…一歩目いっぽめってところかな?)


To Be Continued

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