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#17 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第4話 「久々の帰省と奇妙な噂」

 ミシガンしゅうのモートレートタウンの辺境へんきょう付近ふきんにあるモーテルがあつまるまちがある。

 そこはモートレートタウンの中心部ちゅうしんぶから10kmちかはなれており、かなりしずかな田舎いなかだった。いま時期じきでもかなりさむうえくもぞらが広がっているので、日本にほんようあたたかくなる気候きこうになるのがかなりめずらしい。

 デトロイトとうスラムがい集中しゅうちゅうする都市としちかくとうこともあいまって、かなり治安ちあんわるいと評判ひょうばんになっている。しかしそれとははんして比較的ひかくてきのどかなまちとなっている。実際じっさいにモートレートタウンにいる日本人にほんじんである藍川あいかわ親子おやこいて生活せいかつしていた。

 藍川あいかわ親子おやこ息子むすこであるあおかみをしている竜賀りゅうがはベイカー夫妻ふさいいえ英語えいごとアメリカカルチャーの勉強べんきょう、そして剣道けんどう稽古けいこに1にちつぶしてしまう1週間しゅうかんあじわっていた。

竜賀りゅうが「げ〜ん〜たぁ〜?……おれはいつになったら、日本にっぽんもどれんのかねぇ〜〜??」

源太げんた「まーたその愚痴ぐちかよこれで何百回目なんびゃっかいめだよ」

 竜賀りゅうが友達ともだち褐色かっしょくはだをした少年しょうねん一緒いっしょ勉強べんきょうをしていた。英語えいご勉強べんきょう初日しょにちから物凄ものすごいきおいで基礎きそたたまれ、シャーリー先生せんせい?から、

シャーリー『とにかくあとは英語えいご失敗しっぱいおそれずいっぱいはなしかけていくことよ!!多少たしょう失敗しっぱいなんてだれにしやしないわ!!』

 とすごまれ、まわされるお出掛でかけではかくいろんな場面ばめん英語えいごでコミュニケーションをよう強要きょうようされていった。

竜賀りゅうが獅子しし千尋せんじんたにとすとはうけども…」

源太げんたなにそれ?獅子しし??千尋せんじんたに???」

竜賀りゅうが「ん?ああ…これ子育こそだての基本きほん方針ほうしんだったりすんだけどさ……」

シャーリー「『獅子しし千尋せんじんたにとしがってものそだてる』でしょ?全部ぜんぶそこはわなきゃ」

 2人ふたりはなしているところにはなしんできたのは、ついさっきまで2人ふたり英語えいごおしえていたシャーリー・ベイカーだった。

源太げんた「…シャーリーさん?」

シャーリー「ふふふ…」

竜賀りゅうが「シャーリーさんよくその言葉ことばってましたね?」

シャーリー「だって……貴方アナタ光男パパがあなたにいろんな勉強べんきょうおしえるときには、そういう気構きがまえでおしえていってくれって…わたしたのまれてるんですもの」

竜賀りゅうが「マジか…どうりで」

シャーリー「だからまちものするときはもっぱら貴方アナタに、店員てんいんさんに注文ちゅうもんするようにしてたのよ」

 ニコニコわらいながらシャーリーがはなしかけているのにたいして、げっそりした表情ひょうじょういていた竜賀りゅうが構図こうず交互こうごながら源太げんた必死ひっしわらいをこらえていた。

竜賀りゅうがなんへんだな〜…ストイックだな〜…っておもったらとうさんかい…」

源太げんた「はははは!」

シャーリー「獅子しし…ライオンが自分じぶん子供こどもそだてるまえに、どんな困難こんなんまえちはだかっても、まずは自分じぶんちからあきらめずにかおうとするかどうかをためように、かべ用意よういするのが光男みつおさんりゅう教育きょういくらしいからね」

竜賀りゅうが「ちっさいころから全然ぜんぜんその教育方針きょういくほうしんわってないんですよね……まずは課題かだいまえして、どうアプローチするのかをまずかんがえさせるんですよね」

シャーリー「効率的こうりつてきいじゃない」

源太げんた「メチャクチャいおやっさんじゃん」

竜賀りゅうが外側そとがわてるぶんにはね?剣道けんどうでも一切いっさい容赦無ようしゃないからね」

 そんなやりとりをワイワイやっているなか、ピンポーン!といえのチャイムが突然とつぜんひびいた。

源太げんた「あれ?おやっさんたちかえってきたのかな?」

竜賀りゅうが「でもトニーさんととうさんって夕方ゆうがたまでかえってないはずだぜ?」

 シャーリーはドアのほうながらしばらくかんがえてから、彼女かのじょはテレビの電源でんげんをつけ音量おんりょうはじめた。

竜賀りゅうが「どうしたの?」

源太げんた「いきなりテレビつけて…」

シャーリー「貴方アナタたちこうの部屋へやかくれてなさい…!!」

 シャーリーは2人ふたりようにリビングから勉強道具べんきょうどうぐってし、おく部屋へやれにんだ。

シャーリー「わたしいってうまでるんじゃないわよ!」

 シャーリーがそううとピシャリとめた。竜賀りゅうが源太げんたみみをピタッとおとを1つもらさないようみみませた。

シャーリー「はいはーい!いまけますね!」

???「ただいまー!ひさしぶりね!おかあさん!」

シャーリー「まぁ!ひさしぶりねメリアン!おかえりなさい!!」

 こうがわかららない女性じょせいこえこえだれたのかとおもったが、シャーリーがその女性じょせい名前なまえうと竜賀りゅうがはすぐにさっした。

源太げんた「だれ…?」

竜賀りゅうが「ベイカー夫妻ふさいむすめさんだよ…」

 れのなかこえころしながら竜賀りゅうが源太げんた説明せつめいした。

メリアン「元気げんきだった?」

シャーリー「ええ!あなたも元気げんきだった?仕事しごと順調じゅんちょうかしら?」

メリアン「もちろん!上手うまくやってるわ…最近さいきんわったことなかった?なにかおかしな事件じけんしてるとかなかった?」

シャーリー「……なにかあったの?こっちはとくなにいけど…」

メリアン「そう…」

シャーリー「とりあえずせっかく帰省きせいしたんだし、うちなかはいって!あたたかいコーヒーでもれるわ」

メリアン「ありがとう」

 メリアンとばれた女性じょせい入口いりぐちからいえなかはいってくる足音あしおとこえ、竜賀りゅうが源太げんたこえひそめてはなった。

源太げんた「なぁ…なん俺達おれたちここにかくれてないとダメなんだ?べつにシャーリーのむすめさんなら自己紹介じこしょうかいしてもくねぇか?」

竜賀りゅうがたしかおまえらなかったな…」

源太げんた「え?」

竜賀りゅうが「シャーリーの子供こども2人ふたりいるんだが、その2人共ふたりともマクシム連合れんごう軍事関係者ぐんじかんけいしゃらしい」

源太げんた「なグッ…!?……」

 源太げんたがつい大声おおごえをあげそうになったところで、竜賀りゅうが咄嗟とっさくちふさ源太げんたこえころした。

竜賀りゅうが「メリアン・ベイカーがこのタイミングでこのまち実家じっかかえってるなんて不自然ふしぜんなんだよ」

 源太げんたくちからはなし、源太げんたしゃべれるようにした。

竜賀りゅうが「よりにもよっておまえおれとシャーリーさんにたすけられてから、五日いつかくらいしかってないのにだぞ」

源太げんた「つまりマクシム連合れんごうの?」

竜賀りゅうがわかんねぇ…」

 竜賀りゅうが源太げんたふたたみみ近付ちかづけシャーリーとメリアンの会話かいわ集中しゅうちゅうした。

メリアン「なにいえからこえこえてくるとおもったら……こんな大音量だいおんりょうでテレビてたの?」

シャーリー「もう…かえってるなら、かえってるでちゃんと連絡れんらくくらいよこしなさいよ」

メリアン「いじゃない…自分じぶん実家じっかかえるのに不都合ふつごうなこともないでしょ」

シャーリー「あなたの食事しょくじ準備じゅんびできないじゃない…」

メリアン「そこは大丈夫だいじょうぶかあさんととうさんの無事ぶじ確認かくにんしたかっただけだから…すぐ仕事しごともどためにインディアナ支部しぶくから」

シャーリー「……そうわずに…ひさしぶりに一緒いっしょ母娘おやこ水入みずいらずでものいかない?」

メリアン「残念ざんねんだけど、仕事しごといそしいってってるじゃない」

シャーリー「…ねぇ…それじゃあ一体いったいなん用事ようじでインディアナポリスから実家じっかまでかえってたのよ?」

メリアン「おかあさんには関係かんけいないでしょ…」

シャーリー「関係かんけいないのに『無事ぶじ確認かくにんしたかった』とかワケないでしょ?」

メリアン「………」

 2人ふたりあいだまずい沈黙ちんもくながれる。おく部屋へやれのなか一言ひとことらすまいといきひそめる竜賀りゅうが源太げんたつぎ言葉ことばっていた。

メリアン「……ここ最近さいきん…」

 沈黙ちんもくえかね最初さいしょくちひらいたのはメリアンのほうだった。

メリアン「このちかくで行方不明ゆくえふめいになっている子供こども情報じょうほう組織そしきさぐってるのよ」

 メリアン以外いがいの3にんが、ほらた!とこころなか意気投合いきとうごうしていた。やっぱりメリアンはここに組織そしき命令めいれい源太げんたさがしにたんだと予想よそうたった。

シャーリー「子供こども?どんな子供こどもなの?」

メリアン「年齢ねんれいは12さい〜13さいくらいで褐色かっしょく肌色はだいろで、黒髪くろかみのスペインカール、ひとみいろはブラウンってところ、身長しんちょうやく160cmくらいの細身ほそみよ」

 その会話かいわぬすきしていた2人ふたりかお見合みあわせ、

竜賀りゅうが「おまえやな」

源太げんたおれやな」

 と小声こごえささやいていた。源太げんたあせをダラダラかきはじめていた。

シャーリー「そんな子供こどもをどうしてマクシム連合れんごうさがしてるの?」

メリアン「そのがマクシム連合れんごう上層部じょうそうぶ重役じゅうやく血縁者けつえんしゃらしいのよ。秘密裏ひみつりにアメリカに入国にゅうこくするとき組織そしき保護下ほごかくはずだったんだけど」

シャーリー「それが行方不明ゆくえふめいになったと?」

メリアン「うん……これはなるべく世間せけん公表こうひょうせずに、早急そうきゅう発見はっけんしろって上層部うえ命令めいれいされている重要事項じゅうようじこうなのよ」

 メリアンのはなしいて、シャーリーは自分じぶんむすめ情報じょうほう源太げんた証言しょうげん、どちらが真実しんじつなのか内心ないしんかなり戸惑とまどっていた。そしてそれは竜賀りゅうが一緒いっしょだった。れのなか竜賀りゅうが源太げんた確認かくにんっていた。

竜賀りゅうが「おい源太げんた。あのはなし真実マジなのか?」

源太げんた「んなワケないでしょ!大方おおかた組織そしきのトップが非道ひどう人体実験じんたいじっけん世間せけんにバレたくないから、おれ上層部じょうそうぶ人間にんげん家族かぞくってことにしておれつけるつもりだ」

竜賀りゅうが「まぁ…いま組織そしきからしたら、脱走だっそうした源太げんた存在そんざいそのものがかなり危険きけんだからな」

 2人ふたりがそんな会話かいわをしていることをよしもないシャーリーとメリアンはれたてのコーヒーをみながら、はなしつづけていた。

シャーリー「そのかり誘拐ゆうかいされていたとすれば、どんな問題もんだいになるの?」

メリアン「組織そしき幹部かんぶ急所きゅうしょにぎられることになるわ。伽霊能力ギアルスキル研究機関けんきゅうきかんであり軍事力ぐんじりょくも持っているアメリカ最大さいだい組織そしき幹部かんぶ直接的ちょくせつてきつながりがある血縁者けつえんしゃがもしテロリストのちれば……アメリカはわりよ」

シャーリー「だからそれがテロリストたちちるまえにどうしてもつけなければならないと……あなたも大変たいへんね」

 メリアンを心配しんぱいそうにつめるシャーリーの言葉ことばにメリアンは気無けなかえした。

メリアン「べつにこのことはそんなにたいしたことじゃないわ……問題もんだい別件べっけんほうよ」

 その言葉ことば竜賀りゅうがきかけた心臓しんぞうふたたびバクバクと五月蝿うるさはじめるのをかんじた。

メリアン「マクシム連合れんごうであるうわさひろまってきているのよ」

シャーリー「うわさ…?」

メリアン「JOKERジョーカーがまたあらわれた…ってね」

 いきなりワケからないワードがてきて竜賀りゅうがあたまうえに?マークがしていた。てっきり自分じぶん父親ちちおやはなしてくるとおもっていたのに予想外よそうがい展開てんかいあたまがパニックになっていた。

シャーリー「ジョー…カー?」

メリアン「まぁかあさんには直接関係ちょくせつかんけいないんだけど、数年前すうねんまえから適能者デュナミストなぞげる事件じけん世界中せかいじゅういたところきてるのよ」

シャーリー「なぞ適能者デュナミストが?」

メリアン「んだ適能者デュナミスト霊段階ステージ2ツー下級かきゅうクラスから霊段階ステージJジャッククラスの上級じょうきゅうクラスまでその種類しゅるい様々さまざまなんだけど…」

シャーリー「けど…?」

 ここでメリアンは一拍いっぱくおいて自分じぶんんでいたコーヒーをながら、ゆっくりつづきをはなした。

メリアン「問題もんだいなのは…そのんでいった適能者デュナミスト遺体いたいから霊力ギーラー検出けんしゅつされなくなっていたのよ」

シャーリー「そんなことが?」

 霊力ギーラー意味いみわからないワードがてきているのに、メリアンとシャーリーがそのまま会話かいわすすめていくのを竜賀りゅうが悶々もんもんとしながらそのまま会話かいわいていた。

メリアン「適能者デュナミストんでも、その遺体いたいからは生前せいぜん同質どうしつ霊力ギーラーわずかながら検出けんしゅつされるものなんだけど、ある適能者デュナミスト遺体いたいからは霊力ギーラーまったのこっていなかったの」

シャーリー「でも例外ってことは…」

メリアン「それもかんがえられたんだけどちがうってわれているわ…ある瀕死ひんし状態じょうたい適能者デュナミスト数十すうじゅっパターン調しらべてみたら、すべての生前せいぜん死後しごでも霊力ギーラー微量びりょうながら検出けんしゅつされるって研究けんきゅう結果けっかていたのよ」

シャーリー「………」

メリアン「その死体したい焼失しょうしつ、または粉々こなごなにされていないかぎりは最低さいていでも4ヶげつ霊力ギーラー残痕ざんこんがあるものなのよ」

シャーリー「そしたらさっきってた霊力ギーラー検出けんしゅつされなかった遺体いたいってうのは…?」

メリアン「それがこのうわさ核心部分かくしんぶぶんなんだけど、JOKERジョーカー適能者デュナミスト殺害さつがいするまえあと伽霊能力ギアルスキルそのものをうばっているんじゃないかってせつ浮上ふじょうしてきているのよ」

シャーリー「伽霊能力ギアルスキルうばう?本当ほんとうにそんなことが?」

メリアン「もちろんただのうわさよ……信憑性しんぴょうせいなんてどこにもないはずなんだけどね…やっぱりみんなそのたぐい噂話うわさばなしがるの大好だいすきだから…」

シャーリー「JOKERジョーカーってわれているのはなんでなの?」

メリアン「だれもその正体しょうたいたことがないやみ存在そんざいで、その能力チカラうばものとすることからそう名前なまえけられたのよ」

シャーリー「そのうわさが、貴女アナタがここにたことがなん関係かんけいがあるってうの?」

メリアン「そのJOKERジョーカーがこのまちちかくにてるかもしれないってわれているのよ」

 れのなかにいた源太げんた絶句ぜっくし、竜賀りゅうがかおながら指差ゆびさした。

源太げんた「……おまえか?……JOKERジョーカーって?」

竜賀りゅうが「ふぇ?……いやいやいやいや!絶対ぜったいちがうから!!なにうたがはじめてんの!?」

シャーリー「そのJOKERジョーカーたっていう根拠こんきょはなんなの?」

メリアン「先日せんじつモートレートタウンこことガートシティのあいだ森林地帯しんりんちたい山火事やまかじきていて、そこに3にん適能者デュナミスト遺体いたいつかったのよ」

 そのはなし竜賀りゅうがへんあせひたいからながれてきていた。竜賀りゅうが表情ひょうじょうながら源太げんたは…

源太げんた「…………やっぱりおまえだろ………?」

竜賀りゅうが「………へんあせいっぱいてきた…」

 そんな2人ふたり様子ようすなどよしもないメリアンはそのままはなしつづけていた。

メリアン「そしてその3にん適能者デュナミスト遺体いたいから霊力ギーラー一切いっさい検出けんしゅつされなかった。つまりあのもりJOKERジョーカーあらわれたかもしれないっていううわさひろがったのよ」

シャーリー「その遺体いたい身元みもと確認かくにんしたの?」

メリアン「その遺体いたい解剖かいぼう自体じたいをしたのはハドノア連合れんごうだったんだけどね……JOKERジョーカーうわさ当然とうぜんハドノア連合れんごうみみはいってたらしくて、それが随分ずいぶんおくれて昨日きのうわたしたちとどいたってワケ!」

シャーリー「それでわざわざ仕事しごと途中とちゅうわたしつたえにてくれたってこと?」

メリアン「ま…そーゆーコト」

シャーリー「ありがとね心配しんぱいしてくれて…でもそのJOKERジョーカーってひと適能者デュナミストだけしかねらってないんでしょ?おとうさんもおかあさんも適能者デュナミストじゃないわよ?だからねらわれる理由りゆうなんてないでしょ?」

メリアン「ただのうわさにしてはひろまりかた異常いじょうではあったからね………さて!」

 メリアンは突然とつぜんがってドアにかってあるいていった。

メリアン「わたしはまだ仕事しごとがあるから、これからまたインディアナポリスにもどるわ」

シャーリー「もっとゆっくりしていけばいのに……」

メリアン「わたしいそがしいのよ……とりあえず無事ぶじかったわ」

シャーリー「ウィルソンにもよろしくね」

 シャーリーがその名前なまえすとメリアンはくらかおをしてこえおもくなってしまった。竜賀りゅうが

メリアン「………かれいま、インディアナ支部しぶ幹部昇進かんぶしょうしん確実視かくじつしされているの」

シャーリー「え?…」

メリアン「これまでも必死ひっしになってマクシム連合れんごうのトップを目指めざしていろんな功績こうせきげてきたの……」

シャーリー「………」

メリアン「ねぇ…おとうさんはなにってなかったの?ウィルソンのこと…」

シャーリー「ってるわよ……いつも……2人ふたりのことはいつも心配しんぱいしてるから…」

メリアン「そういうことじゃなくて……」

 しばらく2人ふたりあいだまずい沈黙ちんもくながれていたがメリアンはきびすかえしてドアをガチャっとそとた。

メリアン「それじゃ……とりあえずなにがあってもいえカギはちゃんとめといてね」

シャーリー「メリアン!」

メリアン「なに?」

シャーリー「…ひさしぶりにかえっててくれてありがとうね」

メリアン「その言葉ことば…ウィルソンにもっておくわ」

 そして自分じぶんむすめあるいてったのを見届みとどけたシャーリーはドアのカギをしっかりめたのを確認かくにんしておく部屋へやあるいてった。れのまえつと周囲しゅうい注意ちゅういしながら、かってはなしかけた。

シャーリー「2人ふたりともむすめていきましたよ」

 するとゆっくりひらきながら竜賀りゅうが源太げんたころがるようゆかたおれててきた。

竜賀りゅうが源太げんた「「ぶはあああああ!!!」」

 2人ふたりあせだくの状態じょうたい必死ひっし呼吸こきゅうしながらいきととのえていた。

源太げんた「こんなせまいとこにずっといたら身体からだへんになるって!!」

竜賀りゅうが「はぁ!!…はぁ!!…はぁ!!…窒息死ちっそくししそう!」

シャーリー「ごめんなさいね、もっとかく場所ばしょがあったはずなのにおもかなくって……」

竜賀りゅうがいまひとって…」

シャーリー「くわしいことは旦那だんな貴方アナタのおとうさんがかえってからにしましょう!」

 竜賀りゅうがはなしそうとするのをピシャリとめてシャーリーは竜賀りゅうがたちをリビングにくよう|促うながしたーーーーー



光男みつお「ーーーーえ?それじゃあ2人ふたりむすめさんがここにたんですか?」

シャーリー「ええ……それでいまマクシム連合れんごう源太げんたさがしてるって…」

トニー「それで?源太げんたがマクシム連合れんごう幹部かんぶ親族しんぞくってわれたって?」

源太げんた「そこにかんしてはマジでわせて?…絶対ぜったいにそれはない…!!」

竜賀りゅうがかみちかって?」

源太げんたかみちかって!」

 仕事しごとからかえって藍川あいかわ光男みつおとトニー・ベイカーもまじえて、5にんはかなり切迫せっぱくした状況じょうきょうあせっていた。まだ竜賀りゅうがたちはこのベイカーてから1週間しゅうかんしかっていないがもうここまでマクシム連合れんごう捜査そうさびてきていることが異常いじょうだった。

源太げんた「だってそうだとしたら、おれがここにとどまる理由りゆうがないでしょ!マクシム連合れんごうられたほう何倍なんばいもマシじゃねぇか!」

トニー「それもそうか……」

シャーリー「それじゃあマクシム連合れんごう貴方アナタさがしてるのは……」

源太げんたおれつかまえて、組織そしき違法いほう実験じっけん存在そんざいそとらさないようにするためだよ」

竜賀りゅうが「……なぁ…になったんだけどさ?」

源太げんたなに?」

竜賀りゅうが「その実験じっけんって一体いったいなにやってるんだ?そんなにられたらマズいことなのか?」

 竜賀りゅうが怪訝けげんそうなかおをして源太げんたいた。しかし源太げんた竜賀りゅうがかお見合みあわせたあとクビよこりながらこたえた。

源太げんたらないほうい……もしってしまったらここにいる全員ぜんいんころされる」

光男みつおなにってんだよ…いまさらおまえかかんじまった以上いじょう組織そしきがわなに情報じょうほうれてないかうたがっておまえ一緒いっしょにいる俺達おれたち全員ぜんいんころしにるにまってんだろ」

源太げんた「でも…」

光男みつおなにおれ竜賀りゅうがはともかくベイカー夫妻ふさいはこのけんにはなんかかわりもないんだ……だからおれ竜賀りゅうがにははなせ」

竜賀りゅうがとうさん…それって……」

光男みつお「ああ…おれたち3にん早々そうそうにここからていく!」

 その言葉ことばいたベイカー夫妻ふさいはギョッとおどろいたようにかお見合みあわせた。

シャーリー「なんですって!?」

トニー「光男みつおいきなりなにすんだ!?たしかか!?」

光男みつおおれはいたって正気しょうきです!いや正気しょうきだからこそここからいますぐていったほういとってるんです!」

 光男みつお2人ふたりたいして、一切いっさいがるつもりはないと姿勢しせいせた。

光男みつお「まだマクシム連合れんごう源太げんたとベイカー夫妻ふさい関係かんけいまで辿たどいていないし、おれ竜賀りゅうが2人ふたりがあのもりなかでの火事かじかかわってることにも……」

 そこまで説明せつめいされた2人ふたりなにいた様子ようすせたが、結局けっきょくなにかえせずにが表情ひょうじょうせただけであった。

光男みつお「トニーさん…明日あすあさ竜賀りゅうが源太げんたれてこのモートレートタウンをて…なるべくはなれたまち移動いどうしようとおもいます……そのためくるましていただけませんか?」

トニー「くるまを?」

光男みつおあるいてはなれようとしても距離きょり限界げんかいがあります……ここに俺達おれたち3にんがいた証拠しょうこのこらないように荷物にもつ全部ぜんぶっていくにはくるましかありません」

トニー「……それはべつかまわないよ……どこかにシャーリーと一緒いっしょきたい場所ばしょがあるワケじゃないから」

シャーリー「……はぁ…せっかく貴方アナタたちたのしい毎日まいにちだったのに…」

源太げんた「もうトニーとシャーリーにはえなくなっちゃうの?」

光男みつお「…いや……いまだけはなばなれになるってだけだよ」

竜賀りゅうが「またえるよ…きていればかならずね」

トニー「そうだよ…事態じたいいたら、またここにあそびにればいいんだ」

シャーリー「いつかはるとはおもっていたけど、まさかこんなにはやいとはね」

光男みつおくるまは…かならずいつかおかえししますね」

シャーリー「べつにそんなににすることないのに…もう使つか理由りゆうもそんなにないから……」

トニー「いや!かならかえしにい!こわれたら損害分そんがいぶんのおかねおれつまかえしにかえってい!いいな!かならずだぞ!!」

 トニーは光男みつおながら、必死ひっしなみだころようおおきなこえげていた。

光男みつお「…かならず…!!」

竜賀りゅうが源太げんた約束やくそくする!!」

 3にんはそうこたえたーーーーーーー


 ーーーーーーあさ光男みつお車庫しゃこにあるジープに長距離運転ちょうきょりうんてんするのに必要ひつようものせ、竜賀りゅうが源太げんたはシャーリーとの勉強会べんきょうかい使つかった英語えいごやスペイン辞書じしょ教科書きょうかしょ歴史れきしほんんでいた。

シャーリー「ふくれた?ものもちゃんとせてる?」

竜賀りゅうが「シャーリー、心配しんぱいしてくれるのはすごうれしいんだけど……べつにこれからににくわけじゃないんだから…」

源太げんた心配しんぱいせずにつぎえるのをたのしみにっておいてよ」

トニー「そうだ…もうこれでえなくなるわけじゃないんだからな」

光男みつお「とはいえ…トニーさん、シャーリーさん、俺達おれたちって1週間しゅうかんごしたことはほかだれにも内緒ないしょにしておいてくださいね?」

トニー「ああ、もちろんだ」

シャーリー「それでもさびしくなるわね…」

 2人ふたりともどこかくら表情ひょうじょうせていた。そんなかおをしながらもトニーはおもむろに自分じぶんのポケットになに封筒ふうとうようものした。

トニー「光男みつお、これをってけ」

光男みつお「これは…?」

トニー「25,000ドルだ…昨日きのうきみがここをていくとったあとかぶをいくつか売却ばいきゃくしておいたんだ」

光男みつお「そんな大金たいきんれません」

トニー「かりにこのしゅう上手うまけられたとしてそのあとどうするんだ?飛行機ひこうきにしろ、ふねにしろ、日本にほんためには最後さいごはおかねるだろう?ちがうか?」

光男みつお「でも…それじゃあ2人ふたり生活せいかつは……」

シャーリー「私達わたしたち生活せいかつぶん投資収入とうししゅうにゅうはまだまだちゃんとあるから大丈夫だいじょうぶよ」

トニー「それにおかねはこれからの世代せだい子供こどもため使つかわれてこそ意味いみがあるんだよ、我々われわれよう年寄としよりがずっとんでいてもくるしむのはわかいモンだ」

光男みつお「でも…」

竜賀りゅうがなになやんでるんだよとうさん!」

源太げんた「そんな25,000ドルなんておれ竜賀りゅうがえらくなってかせいで2人ふたり倍以上ばいいじょうにしてかえせばいんだよ」

竜賀りゅうが「そうさ!とうさんにはとおくなるよう金額きんがくかもしれないけどなっ!おれらにはチョロいぜ」

光男みつお「……おまえら……」

トニー「ハハハ!たのもしいじゃねぇか!そんじゃ期待きたいしとくな!」

 竜賀りゅうが源太げんた言葉ことばにトニーはくちけて大笑おおわらいした。

シャーリー「2人ふたりとも身体からだにはけてね…風邪かぜひかないようにね」

源太げんた「OK!」

竜賀りゅうが今度こんどときはもうすこしデカくなっとくね!」

光男みつお「オシ!くるまるか!」

 3にんはジープに光男みつお左前座席ひだりまえざせきすわり、後部座席こうぶざせき竜賀りゅうが源太げんたすわった。トニーが車庫しゃこのシャッターをひらくるま誘導ゆうどうした。

トニー「光男みつお昨晩さくばん地図ちず説明せつめいしたどおりのルートでけば高速道路こうそくどうろらず西にしかってける」

光男みつお了解りょうかい!」

シャーリー「光男みつお本当ほんとう運転うんてん大丈夫だいじょうぶなの?」

光男みつお「この世界せかいでのアメリカの免許めんきょってませんけど日本にほんではちゃんとゴールド免許めんきょ取得しゅとくしていますんで大丈夫だいじょうぶです!」

シャーリー「ゴールド免許めんきょ?」

光男みつお「いや…その…」

竜賀りゅうが長年ながねん無事故無違反むじこむいはんだってことです!これからそれをやぶるんです!」

シャーリー「……フフフ…そういうことね」

竜賀りゅうが「そいじゃまたおうね!」

源太げんた「また!!」

シャーリー「かならかえってなさいね!」

光男みつお竜賀りゅうが源太げんた「ああ!!」

 3にんせたくるまはモーテルがいあとにして道路どうろはしっていった。それを見届みとどけるシャーリーのひとみには一筋ひとすじなみだつたった。

シャーリー「っちゃった」


To Be Continued

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