ジェンドリンの最も重要な考え方
発想の背景
ジェンドリンの新旧哲学的主著である『プロセスモデル』と『体験過程と意味の創造』に共通する最も重要な考え方は、「恣意的でもなければ論理的でもない」です。
ジェンドリン後期の哲学的主著『プロセスモデル』の第IV章Aには次のようなことが何気なく書かれています。
一方、先立つ彼の初期哲学的主著『体験過程と意味の創造』の第IV章Aには次のようなタイトルになっています。
恣意的でもなければ論理的でもないという、一見矛盾する性質を同時に考察するにあたって、私はジェンドリンに最も大きな影響を与えてディルタイの著作から次の文章を参考にしています。
以下に、対応する順に並べたものを示します。
発想の展開
なお、上記ジェンドリンの発想が『プロセスモデル』において具体的にどのように適用され、展開されたかについては、下の別記事をご覧ください。
恣意的でもなければ論理的でもない|田中秀男 (Hideo TANAKA)
文献
Dilthey, W. (2002). The formation of the historical world in the human sciences (edited by R. A. Makkreel, & F. Rodi) (Selected works / Wilhelm Dilthey, Vol. 3). Princeton University Press. Originally published as Dilthey, W. (1927). Der Aufbau der geschichtlichen Welt in den Geisteswissenschaften (Gesammelte Schriften, vol. 7) [abbriviated as GS VII]. B.G.Teubner. ディルタイ; 長井和雄(訳) (2010). 歴史論 世界観と歴史理論 (ディルタイ全集, 第4巻, pp. 1-392). 法政大学出版局.
Gendlin, E.T. (1962/1997). Experiencing and the creation of meaning: a philosophical and psychological approach to the subjective (Paper ed.). Northwestern University Press. ユージン・T・ジェンドリン [著]; 筒井健雄 [訳] (1993). 体験過程と意味の創造. ぶっく東京.
Gendlin, E. T. (1997/2018). A process model. Northwestern University Press. ユージン・T・ジェンドリン [著]; 村里忠之・末武康弘・得丸智子 [訳] (2023). プロセスモデル : 暗在性の哲学 みすず書房.