Part 4

目の前のオーディションを確実にとっていき、大学を休学し始まったダンス漬けライフ。

週に何回かリハーサルがありあとは個人練習。合格者は20人ちょいで男は7人。リハ最中に感じたのが温度差。みんなそれぞれの理由でダンスをしていることを肌でその時感じた。今までは蒸発するレベルの温度の人達のダンスしか観ていなかったから当時はとても居心地が悪く、一人でご飯を食べることもあった。幸い一人の時間を楽しめる性格なので(グループが嫌いとかではなく)集中していつも次のこととやるべきことを考えていた。

ある日、アーティストさんも参加する日があって、その日を待ってたかのように練習してたアルバムの曲(当日パフォーマンスする予定ではない曲)でフリースタイルで踊った。アーティストさん含め室内全員の注目を得た僕は、ただ自由に踊りたいように踊りまるまる一曲踊りきった。そうするとアーティストさんが「なんでこの曲知ってるの?」と聞いてきて、僕は「オーディションの後、アルバム購入してこの曲気に入ったので。」と答えるとアーティストさんは少し嬉しそうな表情をしていた。僕の中で誰かの楽曲で踊る中で少なくともその曲が収録されているアルバムは必ず手に取り一度聞くようにしている。自分の中でそのアーティストさんの世界観であったり表現したいものを確認したいからである。あとは、思いもしないお気に入りの曲が潜んでいるかもしれないワクワク感がある。

そうやってリハーサルを続けて本番が近づいてきたころ、振付師の方々に呼ばれ「今日はしゃぎすぎたかな?」と思って行くと、「お前に曲のイントロでマイケルをやってもらいたい」と言われました。

オーディションでやったことが本番で採用されることなど日本ではないと思っていたので、最初はびっくりしました。ダンサーにとってマイケルを踊るということはとてもリスキーな事です。なぜかというと、マイケル・ジャクソンというキャラクターがあまりにも大きく偉大すぎて観てくれた人はダンサーに目がいかず、マイケルを踊る人。になってしまうからです。オーディションのワンムーブが原因でその時期にあった人全員からマイケルって呼ばれてました。一度してしまうと後には引けません。そんな中途半端な気持ちでマイケルを踊りたくなかったので、どのような構成かをまずお聞きして曲のイントロの5秒間くらいだけ。とのことで心から踊らさせていただくことになりました。マイケルを踊る最大の理由は認識と再確認。今は亡きマイケル・ジャクソンの素晴らしさを僕を通して知るきっかけや再確認してもらうため。

一人で出てきてただマイケルやるのもなんだということでキッズが登場してキッズと絡んでマイケルという流れでした。当時は一人でできるもん!(一人でやらさせて!)と思っていましたが今考えると納得です。またもや中途半端が嫌だったのでキッズ達にみっちりマイケルダンス指導しました。

当日:台風

まじか。と思いましたが台風のなかみんなで準備してきたものを全力でぶつけました。本番も緊張もなくぶちかましました。

あの頃に出会ったダンサーたちは元気にしてるかな......

裏話:本番前、アーティストさんが直接「最後の曲はあなたのために歌う」と一曲歌ってくれました。そんな自分の情熱をキャッチしてくれてさらに歌で答えてくれるなんて....ほんとにいいアーティストさんだなと心から思いました。Never Forget 20141014

そうして休学から退学の決心を胸に、大学へ書類を提出しにいく20歳の物語はまだまだ続く.......

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