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#065 驚きの爪楊枝専用ガジェット「IGOKOCHI」は変だけど使えるヤツだった

  【木村ヒデノリのTech Magic #065 】 使いたいときに意外と自宅にないのが爪楊枝だ。見た目で生活感も出てしまうので、筆者は無意識に敬遠していた。そんな折にAmazonで「インテリジェントつまようじ入れ」なるものを発見。これなら見た目も悪くないし、UVで消毒されたものが1本ずつ出てくるのも面白い。あまり期待せず購入してみたが、予想以上に日常使いになったので紹介したい。

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高級感漂う外観の「IGOKOCHI」
とても爪楊枝入れには見えない
色はシャンパンゴールドとスペースグレイの2色展開

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手をかざすと1.3秒でシュッと爪楊枝が出てくる

そもそもの用途以外にも色々と使える爪楊枝

 爪楊枝の用途は意外と幅広い。食事の後に使うだけでなく、豚バラを使った肉巻きがほどけないようにといった用途にも重宝するし、細い隙間の掃除にも使える。使った後は捨てられる上に、端材からできた楊枝はエコでもある。これまで楊枝のなかったわが家でも娘の工作で活躍するなど、あると使ってしまう便利さにあらためて驚かされた。

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本体に付属するのはプラスティック製の爪楊枝だが、
木製のものでも問題なく使用できた

バッテリーも長期間持ち、センサーの反応もすこぶる良い

 本体は単4電池4本で稼働し、約3か月以上(10万回程度)出し入れができる。楊枝タンクには100本程度を格納できるので、頻繁な補充も必要ない。タンクの蓋は密閉されているのでホコリなどが入る心配もないし、定期的にUV光が照射される仕組みになっている。

 家庭で使う場合にはあまり気にしないかもしれないが、一般的には爪楊枝は外気に晒されている。また一度に多く使う訳でもないので、かなり長期間出しっぱなしになっていることが多いだろう。

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家ではこんな感じで長期間出しっぱなしな
ことも多いのではないだろうか

 IGOKOTIでは1本ずつ出てくるので衛生的だ。手をかざしただけでさっと出てきてくれるほか、間違えて出してしまってもほうっておけば再度収納される。わざと向きをバラバラにしてタンクに格納し、数か月使っているが中で詰まったりしたことも1度もなかった。何よりシュッと1本だけ出てくる姿がシュールで、はじめのうちは何度も手をかざしてしまったほど。ユーザー体験という面においては非常に良くできた製品だ。

デザイン製は非常に良いが、性能には誇張か?と思える点も

 さらに良いのがデザイン製の高さだ。約3000円という価格以上の高級感が漂う外観は、おしゃれなカフェに置いても成立するほどの品質。強いていうなら”IGOKOTI”というロゴの大きさが気になるが、非常に満足のいくデザインだ。また、センサー製品なので、移動させるときに反応しなくなる細かな配慮も好感が持てた。電池カバーに小さい突起がついており、持ち上げた際は通電しなくなる設計で誤動作を防止してくれる。このあたりも価格の割に考えられた構造になっている印象だった。

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背面の突起で正しく置かれていない時は
センサーが動作しない仕組みになっているのも便利だった

 ただし、機能性に誇張があると感じられる点もあった。表記には「UVで殺菌するので衛生面も担保している」とあったが、どこから見てもUVらしき光が見えず、マニュアルにもUV光がどのくらいの波長なのかの記載がなかったことから分解を試みた。

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当初搭載されていないのでは?と疑ったUVライトだが、
一応楊枝タンクに隣接する形で設置されていた

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タンク裏面から上記2箇所にUV LEDがくるよう設計されていた

 分解してみると、一応UVライトらしきものがタンク底にあった。ただしその挙動を確認すると点灯時間が1.5秒程度と非常に短い。また、同様の形状のUV LEDパーツを調べたところ、大体300nm~400nm台の光しか照射できないパーツだということがわかった。

 UVで殺菌する場合、大抵は紫外線の中でもUV-Cという波長を利用する。これは100nm~280nmという該当パーツで照射するより短い波長で、地表まで到達しないという特性から殺菌力も高い。最も殺菌効率が高いのは254nm~265nmの波長だが、これらを使ったとしても6秒程度は照射しないと効果を期待できないという研究結果もある。

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内部はモーターとセンサー、LED、簡単な基盤とシンプルな構造だった

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一応紫外線を含む光を発すると思われるLEDだが
点灯時間などを考えると効果は不十分かもしれない

 以上のことから考えると「UVを照射している」という記載に嘘はないものの、照射時間や波長から推測するに「殺菌効果がある」とは言えないという結論に至った。

2021年版は充電式に、更なる進化を期待したい製品

 殺菌効果こそ疑わしいものの、ユーザー体験としては便利な製品だった。新しいモデルではバッテリーも充電式となり、より使いやすくなっている。

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新モデルは充電式になってさらに使い勝手が良くなった

 筆者は実際に2021年モデルも購入し、この記事がBCN+Rで公開された後に検証を行った。その結果、2020年モデルとは違い、UV光は片側だけ照射される仕様に変更、光も強くなっていた。つまり、爪楊枝の向きに気をつけないと持ち手側だけ殺菌されるということになってしまうので注意して欲しい。もう一つ変更されていたのは爪楊枝の補充スペース。2020年モデルは片方から入れるタイプだったが、新しいものは両側から入れられるようになっていた。総量は1.5倍くらい入るようになった印象なので、補充の手間は少なくなるだろう。ただ、底部のスイッチは物理的にオンオフされる仕様になってやや不便だ。2020年モデルでは持ち上げると自動的に電源オフになるので誤動作を防げたが、新しいモデルでは持ち上げても電源は切れないので何度か誤動作させてしまった。

 ここからさらにUV光を強力にするとバッテリーの持ちが短くなるなど支障が出てくるのかもしれないが、しっかりとした殺菌効果があれば商品価値が上がる。少し高くなっても良いので、UV-Cで60秒程度殺菌してくれる新たなモデルがリリースされればホテルや飲食店など様々なところで利用されるようになるのではないだろうか。今後の進化に期待したい。

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