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ハラスメントの深刻な影響ー被害者、加害者、企業へのリスク

 会社の中の「ハラスメント」は、起きてしまうと、被害者、加害者、企業にとって深刻な影響があります。絶対になくさなければならない理由がここにあるわけです。例を出しながら考えていきたいと思います。

Ⅰ.被害者への影響

1.メンタルヘルスなどの発生

 メンタルヘルスの悪化やうつ病などの精神疾患が発症し、最悪の場合は自殺に至ることもあります。例えば、仕事での嫌がらせやいじめによって、被害者は日々のストレスにさらされ、心の負担が増大します。このような状況が継続すると、被害者のメンタルヘルスは徐々に悪化し、うつ病や不眠症、不安障害などの精神疾患が発症することがあります。

2.後遺症が残る

 PTSD(心的外傷後ストレス障害)など、後遺症が残ることがあります。例えば、セクシャルハラスメントや暴力的な嫌がらせを受けた被害者は、そのトラウマから回復するのに長い時間を要することがあります。このような経験によって、被害者は恐怖や不安を抱え、人間関係や仕事への信頼を失う可能性があります。

3.被害者本人のみならず、その家族に影響が及ぶ

 被害者の家族にも大きな影響が及びます。被害者がうつ病になり、仕事や家事、育児などを十分にこなせなくなることがあります。その結果、パートナーが家庭全体の負担を引き受けることになり、家庭内の不均衡や摩擦が生じる可能性があります。また、うつ病を原因として離婚するケースもあります。さらに、被害者が子供を持っている場合、子供もその状況により心理的なダメージを受けることがあります。家族全体が被害者の苦しみに直面することになるのです。

Ⅱ.加害者への影響

1.評判が失われる

 加害者の評判が損なわれ、社会的地位を失う可能性があります。例えば、ハラスメント行為が明るみに出れば、その情報は広まり、加害者の評判は地域社会や職場で悪化します。このような評判の悪さは、一生涯にわたって加害者を追いかける可能性もあります。特に、著名な人物である場合、その評判の低下は社会的な影響が大きく、仕事や関係性の機会が減少する可能性があります。

2.会社の処分対象になる

 会社から懲戒処分などをを受ける可能性があります。例えば、ハラスメントが発覚すれば、会社は適切な措置をとる必要があります。加害者は戒告、減給、出勤停止、降格などの懲戒処分を受ける可能性があります。さらに、重大な場合には懲戒解雇・諭旨解雇も考えられます。

3.被害者から損害賠償請求を受ける

 被害者から損害賠償請求を受ける可能性があります。例えば、ハラスメントによって被害を受けた被害者は、法的手段を取ることで加害者に対して損害賠償を請求することができます。これにより、加害者は経済的な負担を被ることになります。

4.刑法上の罪を受ける

 刑法上の「犯罪」に該当すれば、名誉棄損罪、侮辱罪、脅迫罪、暴行罪、傷害罪などの罪に問われることがあります。ハラスメント行為が犯罪行為に該当する場合、加害者は司法の対象となり、逮捕や裁判による罰則を受ける可能性があります。これは社会的な信頼と地位を完全に失う結果となるでしょう。

Ⅲ.企業への影響

1.会社全体のパフォーマンス低下

 会社全体の雰囲気が悪化し、コミュニケーションが困難になり、生産性が低下することがあります。ハラスメントの存在は職場の雰囲気に強い悪影響を与え、社内の人間関係が悪化し、チームワークや協力が阻害されます。結果として、従業員のモチベーションやパフォーマンスが低下し、生産性が減少します。

2.会社が法違反を問われる

 場合によっては、労働基準法や男女雇用機会均等法などの法律に違反する可能性があります。例えば、会社がハラスメントの存在を放置していた場合、労働基準法に違反し、罰則を受ける可能性があります。さらに、男女雇用機会均等法に違反している場合、会社は性別に基づく差別と見なされ、行政処分や社名公表の措置を受けることもあります。

3.人材が流出

 人材の流出が起きる可能性があります。職場でのハラスメントが継続すると、従業員は不快な環境から逃れるために転職を考えることがあります。人材の流出は会社にとって大きな損失となり、経験豊富な従業員の喪失や再採用にかかる費用が増えることになります。

4.採用が困難に

 会社の評判の低下により、採用が困難になることがあります。ハラスメントが発覚したり、公になると、会社の評判が大きく損なわれる可能性があります。これにより、優秀な人材の採用が困難になり、業績や競争力が低下することがあります。

5.被害者から損害賠償請求を受ける

 被害者から損害賠償請求を受ける可能性があります。ハラスメントが会社内で発生し、被害者が法的手段を取る場合、会社はその責任を問われることがあります。これにより、会社は損害賠償を支払う必要が生じ、財務面での悪影響を受ける可能性があります。また、社員の安全配慮義務を怠ったとして、法的な罰則を受ける可能性もあります。そもそも、請求を受けること自体、会社の評判も落とす可能性があるでしょう。裁判に勝てば良い、というものではありません。

 いかがでしょうか。コンプライアンス違反の典型例としてのハラスメント。ほんの少しのハラスメントが、大きな影響に及ぶということを理解いただけたのではないでしょうか。企業としてはしっかり教育をし、ハラスメントは絶対に起きないようにする対策が必要となります。


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