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後輩という奇妙な生き物

吾輩はチョロである。

実は、時に吾輩にとって受難な時がある。
それは、この宿主を訪ねて「後輩」と呼ばれる生き物が、
無神経に我が領域を侵略することがあるからである。

 この後輩という生き物は、実に野蛮で無礼千万であり、
この者どもがやってくるときには、
吾輩はきわめて戦々恐々としているのである。

 この日は「中邑なかむら」という何某なにがしな男が、どかどかと上がってきた。

吾輩はこの男がきわめて苦手である。

なぜならば、この男は「自称猫好き」であるということだ。

吾輩たち猫族は、本来は単独行動が基本である。
したがって他の干渉は本質的に苦手であるが、時として、「同盟」を求めることがある。

  しかし、これはあくまでも自らの安全を保障するための「外交手段」である。
  そのため、宿主とはある意味協定を結んでいるのである。
忠誠を旨としている「犬族」と我らはそこが根本的に違う。

  我々は徹底的に役に立たないことで、
宿主たちとの関係を保持しているのだ。

 したがって、ただいっとき訪れて、ちょいちょっいっと構ってくるこの手の輩は、きわめて迷惑千万なのであるが、宿主の関係を損なわない限りの範囲において、適当に相手をしているだけなのだ。

 しかしこういった手合いは、吾輩がなついているものだと勘違いをするので、全く迷惑千万なのである。

 さて今日来た中邑なかむらという男は、
吾輩の意とは全く見当違いの発言をするのだ。

  また、「チョロ~」、と、勝手に人の名を連呼して、
吾輩の身体をなで回すのが、ひどく不快である。
しかも、この男は歯槽膿漏なのか、口臭がひどいのである。

 吾輩はこれがいやなので、この男が来て吾輩を抱き上げようとしたら、咄嗟に身を隠すのである。
 そるとこの男は、

「チョロちゃん今日は照れてるんだね~。」

  などと見当違いのことを言うので、世話が焼けるのだ。
このような手合いは、宿主たちの世界においても、同じような勘違いをして行動するのであろう。
まぁ、推して知るべしである。

 この日、この男なかむらは、
さんざん勘違いな話を延々としたと思ったら、
そのうちグウグウと寝息を立ててしまった。
しかも、吾輩がいつも休息する領域にである。

 吾輩は、やはりこの男なかむらが苦手である。

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