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「欲界」が「地獄」になる要件

今回は「餓鬼道」と「畜生道」について。

 あたしたちが生きている、「欲界」の要素である餓鬼道と畜生道は、
最下層の「地獄」と併せて「三悪趣」と呼ばれ、
そのため畜生と餓鬼は、
地獄へ至るためのプロセスであるとされています。

 六道については、よく言われるように、
六道輪廻は「死後それぞれの世界に生まれ変わる。」
という概念は基本的に仏教にはありません。

 ただ、人の心のありようがこれら六道を巡る
ということである事を前提に,考えてみることにしましょう。

畜生道とは、文字通り「けもの」の行動パターンの事

基本的に動物は「弱肉強食」の世界であり、
強いものが生き残る掟ですね。

であるから、これに陥ったものは、
ひたすらに他を蹴落とし、
自分だけが生き延びようと行動するようになります。

ジコチューとは、ある意味畜生界にいることでもあるわけです。
つまり、
「自分さえよければ、他人は関係ない。」
「今さえよければ、あとの事なんて知ったことじゃない。」

という「狭い心の中にいる」状態のことです。

餓鬼道とは、飽くなき「むさぼり」の中にいる行動パターンの事

 餓鬼道は、食べても食べても飽くことなく空腹になり、
ひたすらむさぼり続ける世界です。
いくらものを得てもまだ足りない。

足りることがないから、ひたすらむさぼり尽くす。
どこまで行っても、満足する事ができない、
「欲」が自己目的化して、きりがないのです。
いわば、「欲」が制御不能に陥った状態です。

 この世が「地獄」へいたる道筋

これらの原因は、心の中に「三毒」があるからであるとされています。
その3つの悪い心の悪種とは

貪欲(むさぼること)、
瞋恚(怒ること)、
愚癡(無知でおろかなこと)

の3つです。

これがあるために、人は畜生になり餓鬼になり
地獄へ至るというわけなのです。

 たとえば、「新型コロナ」が問題になった時を振り返ってみると。

 ちまたには、「デマ」に踊らされ、本当の事が見えなくなり(愚癡)

マスクがなくなるとか、やたらめったらなんとか警察も現れる始末。
でもそれは、単に「自分だけはうつりたくない」だけの
無用な騒ぎに陥り(瞋恚)

そして、不急不要の買いだめや買い占めに走る。
さらに、その足下を見て人に高く売りつける(貪欲)

 実際に振り返ると、三悪がそこらじゅうで頭をもたげてきていました。そこにはもはや、自分のことしか見えていない「畜生」や
まだまだ足りないとものを次から次へと
あさましく買い占める「餓鬼」の姿が目に映るのです。

 その先にあるのは、人の心や道徳の崩壊という地獄。
地獄への分かれ道は、人の心の有り様から
始まっているのだという事が言えましょう。

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