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『そんなつもりも、ま、アリか』

エピソード①

私立中学校受験。
そんなつもりは毛頭なかった。

始まりはやはり母だ。

「ヒデマエ君は算数ができるから、
 ◯◯中学が狙えますよ」

この言葉を真に受けて、
母は塾への入塾を迫ってきた。
そこは近所でもスパルタ式で有名だった。

時は1978年。
僕は小6。9月1日。

間に合うわけないと思いながらも、
親友も通っているということもあり、
スパルタ塾に飛び込んだ。

習熟度最下位クラスのC組からのスタート。
その初日に僕は衝撃的なシーンを目撃する。

1時間目の算数。
小テストの返却があり、
受けていない僕は見てるだけだった。

返し終わった先生は
「満点でない者、起立」
静かにそう言って、
順番に点数を聞いていった。

テストは10点満点。
「9点です!」→バシッ!
「8点です!」→バシッ!バシッ!

そうです。
間違った数だけビンタをくらう。

「3点です…」
戦慄が走った。
ビンタ七発。
あれ?往復四発入った?
一発多い?頬がみるみる腫れていく。

でも女子に対しては
「はい、次は頑張ってね」
とか
「出席番号の横に電話番号よろしくね」
とギャグを言うだけだった。

毎時間、最後に小テストがあるとのこと。

果たして僕の頬は無事に済むのだろうか…。

(エピソード②へ続く)

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