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少し立ち止まって

今年の秋に鹿児島でパン屋をはじめます。
が、予定通りにはいかなそうです。

パン屋は空き家を少し改装して始める予定です。予定では4月からちょこちょこ鹿児島に行って、家の修繕をしたり準備をするつもりでした。7月には引っ越して、本格的に準備。そして10月ぐらいにオープン!

でも、今のこの状況では行けません。身近にも近所にも高齢の方がいるし、自分たちがもし持ち込んでしまったらと思うと、、
7月の引っ越しはしたいけれど、それまでに収束している可能性は低いでしょう。ある程度わかっていることが増えて、対策できるとなればできますが、難しい。今はただただ祈るしかありません。

だから、秋にオープンするのは厳しいと思います。命には代えられないから。安心して買ってもらえるような世の中になって、準備が整ったら始めます。来てくれる、買ってくれる方はいると信じて、焦らず自分たちのペースでやります。

もし引っ越しはできても始められる状態でなかったら、良い機会なので色々やろうと思います。
家の前の畑、どうにかならないかと考えているもう一つのボロ家の修繕、いつか作りたいと思っていた薪窯に取り掛かっても良いかもしれない。全部手探りなので上手くいくかはわかりませんが、なんとかなるでしょう。
もし引っ越しができなかったら、東京でできることをします。ネットで道具を探したり、ホームページや通販の準備をしたり、パン屋で使えるシステムを作ってみたり。やりたいことはたくさんあります。
これはきっとチャンス。ちょっと立ち止まって考えてみろということでしょう。

色々準備してきたのもあり、オープンが延びるのは残念なことですが、良かったこともあります。
まず一つは、パン屋とエンジニアという働き方は改めて良いと思えたこと。
出掛けられなくなり、国外から人も物も入ってこなくなり、色々な仕事が影響を受けています。エンジニアも例外ではないだろうけど、直接的な影響は少ない仕事です。片や飲食店は大ダメージ。葛藤を抱えながら、リスクを抱えながらやり続けるのは辛いです。
こういうときに一つに頼りきった働き方、生き方は替えが利きません。全ての仕事に影響があることもあるけれど、全く違う業種であれば一つぐらいは少ないものもあるはず。それを主軸にし、難しくなった仕事はできる範囲でやったり、主軸の方と一緒に何か始める。その結果、心に余裕が生まれ、柔軟に動けるようになる。誰かに手を差し伸べることもできるかもしれない。きっと今回のコロナをきっかけに複業が加速したり、家賃が高い都会から離れる人も増えていくはず。
私がやろうとしている働き方はこれからの時代のひとつのかたちだと思います。それぞれ専門的なことが要求される仕事だけれど、それだけでやっていく必要はない。これからやろうとしている生き方に少し自信が持てました。とはいえ、まだ会社に頼った働き方なので、しっかりこの機会に考えていきたいと思います。

もう一つは、事前にリモートワークができたこと。
鹿児島に越してからも今の仕事をリモートワークで続ける予定です。何もなければ7月からいきなりスタートでしたが、事前に経験することができました。特に効率が落ちることもなく、自由にやれています。コロナが落ち着いてもこういう働き方が世の中的にも続けられれば良いですね。必要があれば行くし、必要がなければ家や会社以外のところで仕事をする。都会への集中は今後も継続するだろうけど、地方にもっと流れたらいいのに。

あと一つは、店舗の在り方を考えるきっかけになったこと。
コロナが落ち着いるにせよ落ち着いてないにせよ、これから店を始めるなら同じようなことがまた起きても継続できるようにしないといけません。
今渦中の店は必死で色々なことにチャレンジしている。だから好きな店は応援したい。家で色々作ったりして過ごすのも良いけれど、テイクアウトや通販で応援する。パンの通販も定着して欲しい。
そして、これから店の在り方、特に実店舗の在り方は一気に変わるはず。私たちが始めるときは、今チャレンジしていることは当たり前。テイクアウト、通販、オンラインでの料理教室とかとか。これから始める店はそれらをやりつつも、同じことだけをしていてもダメ。さらに考えて考えてやっていかなければならない。それをより実感しました。パン屋はどうなっていくのが良いか。安心して買ってもらえるような、より楽しんでもらえるようなかたちを目指します。

今できることは第一に健康。
そして好きな店を応援すること。
そして自分たちの店について考えること。

読んでいただきありがとうございます。