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空が青いから白をえらんだのです

最近は、読書はめっきりしていなかった私。

先日、友達がある1冊の本を勧めてくれた。




「空が青いから白をえらんだのです」

タイトルだけでやられて
すぐにポチった。


<最後の教育>

本の舞台は、奈良少年刑務所。
その刑務所で行われる
「社会性涵養プログラム」



著者は、そのプログラムとして一環として
“物語の時間”という授業を行った講師であり、
小説家。


詩を綴ることを通して
少しずつ自分を取り戻していく
受刑者たちの実話。



家庭環境に恵まれず
学校ではいつも問題児扱い
お手本になる大人もいないまま育ち


けれど福祉の
セーフティネットにはかからない。

社会の闇の中で生き
荒れ地のような心をもち続けた。


自分でも掴みきれない感情が
ある時、爆発する。


それが結果、
不幸な犯罪となってしまった。


そういう少年が
受刑者には多いという。


「社会涵養プログラム」は
刑務所にいる全ての少年が受けるわけではなく


刑務所の中でも、
極端に内気で、自己表現が苦手。


心を閉ざして
人と関わることができない少年が
対象になる。


いわば、ここが彼らにとって
”最後の教育の場”になるという。



詩など書いたことない少年たちの
まっすぐな言葉が詰まったこの本。


一つだけ引用。


誓い

幼い頃 ぼくは心に誓った
母さんを守ろうと
いろんな人たちから
とくに父さんから

小さなぼくは 父さんに向かっていった
その攻撃の矛先を ぼくに向けたくて

けれども どうすることもできず
殴られる母さんの体の下 ぼくは泣いた
何もできない自分が悔しくて

母さんは 殴られても殴られても じっと耐え
涙もみせず やさしい声で ぼくに言った
「だいじょうぶ すぐにこわくなくなるからね」

いつか強くなって ぼくが母さんを守るんだ
って思ったのに ごめんね 遅すぎたね
母さんは 天国へいってしまった

やっと強くなれたよ
だから この力で守っていくよ
これからは ぼくの大切な人たちを

「空が青いから白をえらんだのです」より引用



<与えられた道で生きる>

人は
生まれる場所も家族も選べない

どんな容姿や特性をもって生まれるのか
人生でどんな経験をするのかも
選べない。


娘の結婚式に
誤爆を受け
家族を失った
イエメンのお父さん



父親が殺されて
祖国を追い出された
シリアの子供たち



親に暴力をふるわれ
誰にも助けてもらえず育った
日本の少年



誰もそれを選んだわけじゃない。



自己選択など
所詮、与えられた道の上でしか
できない。

こんな人間じゃなければ
こんな人生じゃ無ければ



もっとこうなれば
もっとああなれば



生きてれば
そんなことを思う時もある。



「空が青いから白をえらんだのです」


この一行から、
“与えられた道で生きること”を選んだ
強さと悲しさが伝わってきた。


<生きる術>

この本に出てくる少年たちは、
言葉を綴り、詩にすることで


押し込めていた本来の自分と、
自分の感情を知り
ようやく人生のスタートラインに立っていく。



自分の感情を
言葉にすることは
それくらい力のあることだと思う。


辛くなったら
わけがわからなくなったら
紙に言葉を書く。


だれに見せるものじゃないから。
書きなぐってもいい。


自分が何を考えて、
どう感じているのか


それを言葉にすることは
自分を癒すことができると思う。



変えられないものを変える力はないけれど
それを受け止めて進む力
もたせてくれる。


自分の気持ちを言葉にすることは

”与えられた道で生きる術”だと思う。


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