永遠、タイムパラドックス

 マーティは、恋人ジェニファーと庭でBBQをしていた。(ジェニファーは2のエリザベス・シューのイメージでお願いします)
 マーティのTOYOTAピックアップを洗車しているビフが視界に入る。
「おいコラ、ビフ! お前ワックスは二回って言いてるだろうが! それとサンドイッチのトマトは二枚って言ってるだろうが!」
「マーティぼっちゃん、これから二回目のワックスを掛けるところなんです、ええ」
「嘘ばっかり吐きやがって! もういいわ」
 ビフが視界に入るとイライラする。いや、イライラしかしないので、マーティはジェニファーとイチャイチャすることにした。
「ジェニファー。肉焼けたぜ。早く食べろよ。焼肉は食べ頃過ぎたらただの牛の焼死体だって闇金ウシジマくんも言ってたぜ」
「るっせーわ」
 今日はスターフェスティバル。日本で言う七夕祭りだ。マーティが短冊に願い事を書いているとジェニファーが尋ねる。
「それなに?」
「え? 知ってるでしょ? スターフェスティバルだよ。この短冊っていう紙にウィッシュを書くとそれが叶うって言われてるのさ」
「えー、何それー。知らな―い。スターパラダイスって熟女系AVの?」ちがうわ!
「え? 嘘じゃん。去年もやったじゃん」
 等と会話を交わしていると『バキューン』と空気を切り裂く音が響き、デロリアンが現れた。
「マーティ、大変だ!」
「ど、どうしたんだい、ドク」
「大昔の中国大陸を旅していたんだが」
 うんうん
「彦星をデロリアンで撥ねてしまったんじゃ」
 えっ
「そこから以降の歴史は、七夕祭りが無くなってしまったんじゃ」
 えっえっ?
「デロリアンで事故の1分前に戻って彦星を助けないとならないのだが、私が行くと向こうで私と会ってしまい、タイムパラドックスが発生してしまう。そこでマーティ。君がそこへ戻って彦星を助けてきてはくれまいか」
「ジェニファー。焼肉焼けてるよ」
「ちょい! 興味失ってるじゃないか」
「いやいや、七夕に思い入れ無いし。無きゃ無いでも困らないし。短冊のウィッシュなんて他力本願この上ないし。もっと頑張れ日本人」
「全日本人に怒られろ! っていいから早く行ってきてよー」
「はいはい。わかったよ、わかりました。行くよ行けばいいんでしょ」
「なんだよ、マーティ。お前性格変わったよな」
「いいから早くデロリアンのキーよこして」
 マーティはデロリアンに乗り込み、クランキングした。年月日と座標を入力し、アクセルを踏み込む。デロリアンは空へ舞い上がり、空中へと消えた。
 再びデロリアンが現れたのは数百年前の中国だった。
 マーティはデロリアンを停め、ガルウィングを開けると、背後からヌーの大群が押し寄せてきた。何! こんなの聞いてない! 再びデロリアンに乗り込みクランキングをするがなかなかエンジンはかからない! ヌーはもうすぐそこまで! ハンドルを叩いたり罵詈雑言を投げかけたりしていると、ようやくエンジンがかかった! 万事休す! 
 アクセルを踏み込んだデロリアンが直後、何かに乗り上げた。
 彦星を介抱している織姫だった。

 了

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