七夕は彼に逢いたい。

 私の願いは一つ。亡くなった彼氏に逢いたい。
 日菜子と彼が付き合い始めたのは大学一年生の七夕だった。
 大学のサークル主催のイベントで一緒になったのがきっかけだった。七夕の日に彼から告白され、付き合うようになったのだ。
 付き合ってから二年経った、奇しくも七夕の日、彼はバイクでサーフィンに行った帰りにトラックに巻き込まれ、帰らぬ人となった。
 あれから七年が経つ。
言い寄ってくる男性もいたが、結局誰とも付き合うには至らず、今年もまた彼の命日を一人で過ごしているのだった。
 彼が眠る墓地を訪れ、墓石を奇麗に掃除し、花を手向け帰りの駅に向かうバスを待っていたとき、ふと後ろに並んでいる男性に目を向けたとき、日菜子はびっくりした。その男性が亡くなった彼にそっくりだったからである。
「あ、どうも」
 目が合うとその男性が話しかけてきた。
「あの、突然ですがお金貸してもらえませんか」
 そういうところも!

 了

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