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現実逃避料理・炒飯

これは以前メールマガジンに時々書いていたエッセイ「ココロノハシ」に加筆修正を加えたものです。メールマガジンに登録してくれていた方以外には公開していなかったので、ここに載せてみようと思います。料理は僕の趣味でもあり、仕事に煮詰まったときの現実逃避の手段でもありました。興味のある方、良かったら召し上がれ。

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おいしい炒飯、それは簡単で難しい。作り方にこだわりを持っている人はかなり多く、火力の強さや鍋の振り方などにいろいろな意見がある。

なぜ炒飯がそんなにも人の心を魅きつけるのか考えてみると、そこには「道具」と「技術」という部分にかなり仕上がりが左右されるという点があるからかもしれない。

食材よりも、職人なのである。ギターで言うならエリック・クラプトンの弾くストラトキャスター、ジミー・ペイジが弾くレスポールと言う感じだろうか。こだわりを持つ人々にとって、理想の炒飯は一般家庭では得られない火力と、使い込まれた中華鍋の組み合わせのみが生み出す職人の芸術作品なのである。特に男はそういうものに弱い。なんだか知らないがとにかく弱いのである。

そんなことはさておき、おいしい炒飯というのは人それぞれで、みんながどこを目指しているのかはいまひとつ曖昧だ。敢えてそこを定義するなら、「ごはんがパラパラであること」結局はこれに尽きるような気がする。
おいしい炒飯のごはんがパラパラなのには諸説あるが、これは炒める温度と空気の入り方が重要であり、強い火力のない一般家庭ではなかなか難しいというのが定説だろう。
しかし、中華鍋や強力な火力はなくても、視点を変えればそれなりにおいしい炒飯は作れる。何百万円もするビンテージのギターなどなくてもロックは出来るのである。
そこで自分なりにおいしい炒飯を作る上で大切にしていることを、ここでこっそり書いてしまおうと思う。
まずはフライパンに油を引き、強火で熱する。ここで大切なのは、油の種類と量である。もちろん普通のサラダオイルでも問題ないけれど、出来たら上質なラードなど、加熱に強い油を使うと仕上がりにかなり差が出てくる。世の中にはいろんな油が出回っているけれど、高価なエクストラバージンオリーブオイルなども含め、鮮度と香りが大切なものは大体熱に弱いので炒飯に使うのはおすすめ出来ない。

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