見出し画像

ギターを抱える、ということ

30年近く苦楽を共にしてきたギター、ギブソンのハミングバード・カスタム。

ずいぶん前からもういろいろな部分が限界にきていると言われていたけれど、なかなか大掛かりなメンテナンスに踏み切るタイミングが作れなかった。そう考えると演奏する機会が激減している今がチャンスだった。

新しい楽器が買えるくらいの費用がかかったけれど、このギターはもう自分の一部のようなものだし、手を入れた内容を考えればかなり良心的だと思う。楽器に愛を持って、直してくれる技術を持った職人さんがいることに感謝したい。

戻ってきた楽器は見違えるような、というか、見た目は同じだがまるで違う人のようになっていた。毎度大きな修理に出す度に同じような事を感じるけど、きっと僕はいろいろとダメになっている部分も含めて、この楽器を抱えていたのだ。

プロのプレイヤーの使う楽器の多くは見事に調整されているものが多いので、友人の楽器を借りたりするとその素晴らしさに驚いたり、弾きやすさに感動したりもした。でもこの楽器はそういったこととは別に、僕自身の偏りや不完全さに見事に寄り添ってくれていたんだと思う。

そんなわけで、明日はギターと一緒にもう一度新しいスタートを切ろうと思って臨むことにしている。なにしろ50歳のバースデーライブで、初めての生配信とのハイブリッド。新型コロナウィルスの感染者数は減少しているとは言えない状況の中、当然会場に足を運ぶのを躊躇する方もいるだろう。配信でどのくらいの人が見てくれるのかもわからない。けれど、大切なことはそれぞれが自分で決めるべきことだ。僕はただ、やることを決めた。なにしろ50歳である。あとどのくらいこのギターと一緒に演奏出来るのかはわからない。今までやったことのない曲も演奏してみようと思っているが、果たしてどうなることやら。






サポートしていただけたら、自分も誰かをサポートすることが出来ます。もしかするとあなたをサポートしたくなるかもしれません。