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世界で台頭するユニークなテック系サービス7社を参考に、新しい生活様式を考える

パンデミックが拡大すると、その後の生活を支える新しいサービスが台頭することが多い傾向があります。例えば2003年のSARS流行後にはECサービスのアリババが中国国内で一気に浸透しました。
同じようにアフターコロナの生活も以前には存在しなかった(知名度が低かった)プロダクトが一般的になっている可能性が極めて高いでしょう。
日本で言えば出前館やZOOMが当たり前になってきた感じでしょうか?でも世界に目を向ければもっとユニークなテクノロジーが続々と誕生・注目を浴びています。
コロナ後の生活・世界のヒントになる欧米や先進諸国のテック企業を7社厳選してご紹介します!

1、Inokyo(自動購入サービス)

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(出典:同社HP)

AIを用いた『レジ無し店舗』を実現するサービスを開発しているスタートアップ。Amazon.com社の直営店であるAmazon Goと同じ領域に当たりますが、この会社は一般の店舗向けにサービスを提供することに特化しています。
※Amazon Goも先日、一般の店舗向けの展開を発表しました。

Amazon Goで『レジ無し店舗』を知った方も多いと思いますが、Inokyoを利用したお買い物は以下のような感じです。

①専用アプリをDLする
②店舗入口のスキャナーでQRを読み取る
③お買いもの
④退店。再度QRコードをかざす
⑤お買い物完了、後からレシートを受け取る

体験自体はAmazon Goと似ています。Amazon Goでは買い物中の動きを『天井のカメラ』『商品棚に設置されたセンサー』でトラッキングしていた一方、Inokyoでは天井と棚どちらにもカメラを設置して行っていることが違いとして挙げられます。

また、店舗に導入することで人件費削減やリモートでの店舗管理、更には24時間営業も実現出来ることが大きなメリットです。カメラの設置も数時間で済むため、導入のハードルも比較的低いのが魅力。

あまり日本ではニュースになりませんでしたが、今年の2月にAmazon Goのスーパーマーケット版がシアトルにオープンしています。勿論InokyoもAmazon Goを意識しており競合関係。じわじわと全米にレジ無し店舗が浸透していきそうですね。

2、OhmniLabs(テレプレセンスロボット)

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(出典:同社HP)

テレプレセンスロボット・Ohmuni Robotを開発しているのがシリコンバレー発のOhmiLabs社。『テレプレセンス』という言葉はあまり聞き慣れませんが、自走ではなく人間が遠隔操作で動かす、本人の代わりに“そこにいる(presence)”ロボットのことを指します。まんまSFですね( ゚Д゚)

同社のWebサイトによると、Ohmuni Robotは
・重さ9kg
・最高時速約3km(人間の歩行速度と同じ)
・バッテリー最大12時間(通話状態なら3時間)
・スマホやタブレット等のインターフェイスで操作可能
・4kカメラ搭載
・ビデオストリーミング可能
・3Dプリンターにて製造(米国製)
・折りたたみ式で持ち運びOK

などなどのスペック、操作性となっております。この手のスタートアップでは珍しいことに日本にも代理店が存在しており、既にメディアの取材も受けているなどある程度注目されてます。ちなみに値段は40万円程度からのよう。

具体的な使用用途ですが、
・倉庫等での作業員の管理、監視
・病床の生徒の代わりに登校
・イベント集客
・リモートワーク中の会議出席

などなど、何と言っても動き回れるのがビデオ通話とは決定的に違うので沢山ありますね。ちなみに新型コロナのシーンで言えば、病院で隔離された患者と家族の通話、医師がリモートで治療や問診を行いたい時に活用されている事例があります。

3、Outschool(オンライン授業)

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(出典:同社HP)

オンライン授業を配信したい教師と、オンライン授業を受けたい3~18歳の子供を繋ぐプラットフォームを展開。授業と言っても科目は実に様々で、外国語等学校のカリキュラムに近いものから、投資、ドローイング、プログラミング、料理、マインドフルネスといったクラスまで幅広く扱っています。楽しそう!(*'ω'*)

Outschoolで授業を提供する教師は本職とは限らず、各分野のプロフェッショナルが自身のスキルやノウハウを基に講義を持っている為、学校とは比べ物にならない種類のジャンルから好きな科目を選べるんですね。自己流のクラスを展開してリモートでお金を稼ぐことが出来るということで、専門知識を持ったスペシャリストにとっても収入を得る良い機会となっている模様

また、授業は5ドルから。クラスによっては教師とビデオチャットをすることも可能で分からない所は気軽に聞けるのも魅力の一つ。全クラスがオンラインで展開されるので、勿論外出自粛や休校中でも関係なく受けられるのが嬉しいところですね。新型コロナのパンデミックを受け休校が続く現在、ユーザー数が急激に増えているそうですが、恐らく終息後もこうした形のクラスは一般化していくんじゃないかと思います。

4、KooBits(オンライン授業)

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(出典:同社HP)

オンライン授業関連でもう一社ご紹介。シンガポールに拠点を置くKoobits社は、オンラインで算数(小学校1~6年)の問題をビジュアライズして提供するサービスを展開しています。2020年4月現在で全世界15万人の生徒を抱え毎日2万人のアクティブユーザー(=生徒)が利用しており、シンガポール他東南アジアや中東にまでの展開を視野に入れている同国屈指のEdTechスタートアップです。

単なる問題のビジュアライズなら世界中にありそうなコンテンツですが、同社の特徴はAIとビッグデータを活用したパーソナライゼーションにあります。授業前に解かせた課題の結果から生徒の弱みや穴を分析→自動で分類し、毎回各生徒に最適な授業を受けさせることが出来る訳です。通常生徒の細かい癖や間違い方の傾向はマンツーマン指導でようやく見えてくるものですが、Koobitsを使うことで講師は勿論、生徒本人もそして保護者まで把握出来てしまうのが大きなメリットとなっています。

従来、Koobitsでは学校での授業を想定したコンテンツが提供されてきましたが、直近で家庭内での学習に特化したモジュールの追加を発表。新型コロナによる休校措置にも早速対応しています。

OutSchool同様、こちらもパンデミック以降アクティブユーザー数が急激に上昇し、生徒の親からは『もっとコンテンツ増やしてくれ!』との声が上がっているそう。日本では紙のドリルが飛ぶように売れていますが(;^ω^)、世界のEdTechは今回の休校期間で着々と教育シーンを変えているようですね。

5、Cazoo(オンライン中古車販売)

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(出典:同社HP)

ロックダウンを敢行したイギリスの企業。オンラインの中古車販売サービスですが、何と購入した車を自宅まで届けてくれます。

2018年創業、ファウンダーはオンライン不動産サービスやビデオオンデマンドサービスを立ち上げてきたAlex Chesterman氏。トヨタの営業利益が8割減になったという衝撃的なニュースが出るなどコロナ禍の自動車業界は厳しいものがありますが、Cazooは比較的順調に売り上げを伸ばしており、また同国のロックダウン(3/23~)後だけで日本円にして1,000億円を調達しています。

4月上旬の注文の約50%は医療関係者であり、またCazoo自身もNHS(イギリスの国営医療サービス)従事者には250ポンド(2020年5月時点)のディスカウントを提供するなどを行っています。

自動車まで外出せずに買えるとは、巣ごもり消費は実に奥の深い世界です(;´・ω・)

6、Suncrafter(クリーンエネルギー)

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(出典:同社プレスリリース)

こちらは直接新型コロナに関係してくるサービスですが、新型コロナ対策をテーマにしたヨーロッパ最大級のハッカソンで注目を集めた企業。Suncrafter社というベルリンの企業ですが、UVCライトを使用した消毒用ガジェット(上写真)。左側のトースターのような箱の中に手を入れると、人体には無害なライトが照射され“手洗い”してくれるそうです。手洗いには水や石鹸がどうしても必要になりますが、そうしたリソースの確保も難しいケースで重宝しそうです。

Suncrafter社のメインプロダクトは写真右側の太陽光パネルにあります。この写真だと見づらいですが実はこのパネル、薄い三角錐のような形をしており持ち運び可能で、イベントや電気の通らない場所での発電・活用が出来るんですね。同社のHPによると最大15台分のスマホ充電が可能なほか、Wi-Fiホットスポットとしての利用もOK。おまけにパネルの裏側は好きにデザイン出来る仕様だからそれぞれのイベントに合わせたデザインをプリントすることも出来ます。まさに屋外イベントにもってこいですよね。

イベント他、スマートシティでの活用(ex.電動ビーグルの充電スポットなど)への活用も期待できるこの太陽光パネル。実はUVCライトによる消毒自体は前から他サービスがありましたが、場所や条件を問わないこのプロダクトはウィルスとの共存を選び始めた今、衛生管理におけるイノベーションの一つと言えるのかもしれません。

7、Xpeng Motors(EV/自動運転車)

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(出典:同社HP)

テスラ社がカリフォルニアから生産拠点を移すことが大きなニュースとなりましたが、意外にも?同社が国外で持っている唯一の工場は、実は上海にあります。その上海工場も中国のロックダウン解除を受け、先日それまで止めていた稼働を再開させました。

現在自動運転=テスラのイメージが強いものの、一強状態に風穴を開けようとしているのがその中国発の自動運転車メーカー・Xpeng Motorsです。中国では政府がEVの開発に支援しているあって大小様々なEVメーカーが存在しますが、Xpeng Motorsはあのアリババが出資している同業界有望株の一つ。昨年同社のセダン『モデル 3』の受注が始まりましたが、その『モデル 3』に対抗してXpeng社が開発したと言われているのが、その2019年に発表されたフルEVの『P7』(上画像)。

価格面では『モデル 3』より25%安価(約350〜500万円)。加速は『モデル 3』に比べやや遅い(60mph=約96kmまで4.3秒vs『モデル 3』は3.2秒)ものの、一回の充電当たりの航続距離では『P7』が上回っているとされています(706km vs 560km)。

『P7』にはミリ波レーダーが5基、超音波センサーが12基、そしてカメラが14基搭載され、そこから採取されたデータが同社開発の自動運転システム“XPILOT”、およびオペレーションシステムの“Xsmart OS”で処理され、安全な自動運転の実現を可能にします。このOSは370名もいるとされる同社のスペシャリストに加え、アメリカの大手半導体メーカーNvida社のバックアップによって開発されたという強力なAI支援機能が目玉。

新型コロナに思わぬ形で影響を受けたテスラ社。いち早く通常の経済活動に戻った中国での展開には今後厚い壁が立ちふさがりそうですね。

最後に

最後のXpeng Motorsは新型コロナとは直接関係ありませんが、アフターコロナの世界で大きく躍進するだろうということで、この会社も紹介させていただきました。
その他6社については、実はウィズ/アフターコロナに関係なく開発やリリースがされていたものがパンデミックによる生活の変化で注目を集めていることが分かります。いずれも日本未上陸だったり、まだあまり普及していませんが、今回紹介したユニークなテクノロジーが各地の生活シーンを徐々に変えているのは確実でしょう。自粛下でライフスタイルやビジネスを再考して新しい生活を目指してみてはいかがでしょうか。

参照サイト

https://www.cnbc.com/2020/04/15/hot-spots-of-innovation-as-a-result-of-coronavirus-pandemic.html
https://www.inokyo.com/
https://medium.com/tecoquest/inokyos-first-cashierless-autonomous-retail-store-e82e1d5d376b
https://jp.techcrunch.com/2018/08/18/2018-08-16-inokyo/
https://japanese.engadget.com/2019/08/27/amazon-go/
https://ohmnilabs.com/
https://ohmnirobo.jp/
https://outschool.com/
https://techcollectivesea.com/2020/04/21/koobits-wants-to-bring-singapore-education-to-the-region/
https://www.koobits.com/
https://www.forbes.com/sites/vinnielauria/2020/05/07/how-southeast-asian-startups-are-creating-a-digital-future-in-a-coronavirus-pandemic/#745b10a9133d
https://www.cazoo.co.uk/
https://www.am-online.com/news/dealer-news/2020/04/16/cazoo-continues-online-car-sales-with-250-nhs-keyworker-discount
https://www.eu-startups.com/2020/05/10-innovative-coronavirus-solutions-created-during-online-hackathons/
https://suncrafter.org/
https://suncrafter.org/wp-content/uploads/2020/05/Press-Release-Global-Hack.pdf
https://en.xiaopeng.com/p7.html
https://www.futurecar.com/3922/Tesla-is-Facing-Growing-Competition-From-Chinese-EV-Startup-Xpeng-Motors-With-its-More-Affordable-P7-Sedan
https://motor-fan.jp/article/10014663

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