娘が冷蔵庫を開けた。
タッパーが落ちてきた。
ちゃんと閉まってないタッパーが落ちてきた。
タッパーに入ってた小ネギがパラパラと床に落ちた。
娘は言った。
「食べ物がゴミになった。」
ケタケタ笑いながら言った。
「掃除してないからゴミになった。」
それを聞いて、トーヤもケタケタ笑った。
「そうね、ゴミになったね」
と。

お互いにケタケタ笑った後に答え合わせをした。
なにが面白かったのかを答え合わせをした。
トーヤ「何も変わってないのに」
娘「変わってないのに」
トーヤ「”食べ物”が”ゴミ”に変わった」
娘「変わった」
また、ケタケタ笑った。

物理的に「ねぎ」という物体は細胞レベルで何一つ変わってない。
変わってないが、全然掃除をしていないトーヤ家では、落ちた食べ物は食べられない。
3秒ルールすら採用されない。
では、仮に「落ちた」を認知しなかったら?
それを、ゴミであると認識するであろうか?

この現象があまりにおかしくて親子共々ケタケタ笑った。
笑い終わった後、トーヤは真顔で
「んじゃ、片付けてね」
と。

そして、娘は粛々とばらまいた小ネギを片付けながら
「認識って面白いね」
と言い放ち、自分の部屋へと消えて行った。

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