引退試合で感じたこと


既に3週間前になりますが、現役最終戦を迎えるにあたっての心境と学んだことを忘れないうちに記しておこうと思います。

僕はどんな時もどんな状況でも「いつも通り」と心がけていました。

特別な試合だからとか試合には出られないから、ケガをしているからと言って一喜一憂してやることを変えることはプロセスを疎かにしている、つまりそれは再現性がないと考え、出た結果はたまたまであると思っていました。

再現性がないと成長できないと考えてたし、再現性を高めるためには何事もなんとなくではなく、意図を持って言動する。
意図を持つことで成功した時も失敗した時もなぜなのかを認識できる。

自分にはこういう理由でこれをやるべきだからこれをする。という考えを持って何をして何をしないかを決めていました。


それを心がけることでメンタル面でも落ち着いてきたなと感じます。
大きな試合でも、緊迫する場面でも、今の自分の役割は何か?今自分がやるべきことは何か?を明確にして、それを実行することに集中する。

そうするとプレーするときも余計なことを考えなくなりました。


前置きが長くなりましたが、いざ5/8の最終戦のメンバーが発表されてから試合までの時間はどこかそわそわしていました。

完全にいつも通りの心理状態ではありませんでした。

試合の2日ほど前にそういう自分に気づいたボクは『28年間ラグビーをやってきて、10年以上プロとしてプレーしてきた最後の試合なんだからそりゃそうなるよな。この感覚も楽しもう』と切り替えました。

試合前日釜石までの移動、当日、会場までの移動、ウォームアップ。

ずっと色んなことを考えていて、これまでのことや怪我のこと、色々ありましたが結局は本当に幸せな選手生活だったなというところに落ちつきました。

でも最後のロッカールームだけは自分のことだけじゃない感情が入り混じって、なんとも言えない感覚になりました。

チームのこと、自分の他にも退団する選手のこと、来季も残る選手のこと、そして自分が本当に最後だということ。

自分も色々込み上げてきたし、他の選手もそうだったし、あの空気は誰かが意図的に創り出そうとしてもできるものではないですね。

自分のことだけではない、全員が他の誰かのこと、チームのことを考えていたからこその空気だったなと思います。

そういった『誰かの為に』みたいな感情ってラグビーの良い特性だし、それが信頼関係に繋がって、良いチーム、組織が出来上がっていくんだと思いました。

ボクはラグビーのそういうところが好きなのかな。
言葉にできない『なんかいいやん』的な部分。

そんなことを感じながら最後の試合を迎えたわけですが、自分の感覚では最高の雰囲気、空気を創り出せたとしてもシーズンワーストの内容結果になることもある。
(もちろん釜石さんの気迫、パフォーマンスが素晴らしかった)

なのでどんな状況、感情でもいつも通りに過ごし振る舞い、その積み重ねでいつも通りのスタンダードを上げていくことしか成長できないのだと学びました。

この経験を無駄にせず今後に活かしたいと思います。

とか言いながらやっぱり特別な時には特別な力が出ると半年後ぐらいに言っていそうな気もします。

その時はお詫びと訂正をさせてください。

以上になります。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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