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ポストコロナでのビジネスの動向

ポストコロナでもモノは売れ続けるのか

モノがあまりで満たされている社会で、消費者が渇望して求めてやまいのはモノを所有したり消費する満足感よりも別の幸福感が求められている様です。

コロナの影響で海外からも国内からも人が来なくなって売上が下がった、もう我慢ならないとか、でも仕方がないとか、政府の対応が悪いとかマスコミが煽りすぎなど、コロナに端を発した理由づけ言い訳が多用されているかも知れません。

健康被害や社会に悪影響を与えているのでコロナが悪者というのは間違いありません。ただ、ビジネスをしていて社会の変化を言い訳にはしたくないものです。それは自分の力ではどうにもコントロールできないから。ただ、変化にどう適応し変化していけばいいのかということを意識したいです。

このコロナによって大きく消費経済も拍車がかかるのではないかと思います。街を歩けば未来を垣間見ることができるからです。

緊急事態宣言下(2021年6月17日現在)にも関わらず大勢の人が主要ターミナル駅の繁華街に繰り出しています。コロナ前の様に外国人の団体の姿は見られませんし、20時以降は人の流れは減っているのは事実ですが、平日でも日中は大勢の人が街中に出ていることがわかります。

仕事柄タウンウォッチングを行いますが、やはり気になるのが百貨店です。新宿、渋谷、銀座など主要な場所をみると、賑わう食品売場と比較して上層階のアパレルやブランド品は閑散とした売場、手持ち無沙汰の従業員が目につきます。



百貨店の現状からも傾向が見えてきます。

百貨店の売上げは、90年代の9兆円をピークに、近年は6兆円程度で推移。売上げの4割を占める主力商品であった衣料品の売上減少が特に顕著。
[衣料品売上高]1991年 3.9兆円 ⇒ 2019年 1.7兆円 ⇒ 2020年 1.1兆円
(第1回百貨店研究会事務局説明資料 経済産業省)

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(第1回百貨店研究会事務局説明資料 経済産業省)

ここ最近は、地方や郊外を中心に百貨店の閉店が目立ちます。この傾向はさらに拍車がかかるでしょうし元に戻ることはないでしょう。


百貨店での消費がECへ移ったという論があります。確かにそれもあるでしょう。もはやモノの所有することが満足しない、ブランド品を購入して嬉しいと思わなくなっているのかも知れません。


逆説的ですが、この様な話もあります。

「物質主義者(所有やブランドを顕示したい人)を減らしたければ
 人々が 簡単に手に入れられる物を増やすことだ。
 そうすれは人々は物についてあまり心配しなくなり、
 かわりに、幸せや人生の意義といったことを気にかけはじめるから。」

人は何によって幸せを感じるのかという問いにはマーティン・セリグマン「ポジティブ心理学」によると5つの要素が詳しいです。

頭文字を取って「PERMA(パーマ)の法則」と呼ばれています。

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Positive Emotion:ポジティブ感情
うれしい、楽しい、おもしろい、感動、肯定的な感情を指しています。

家族や仲間と笑ったり楽しんだりする時間は幸福感を感じます。

Engagement:没頭していること
時間を忘れて集中したり夢中になること。

仕事や趣味で夢中になっている。時間が経つのが早い経験。

Relationship:人間関係
良好な人間関係、社会的な関わり。
会社やコミュニティでの一体感やプロジェクトを進めるときの関係性で仮に成功しなくてもそのプロセスで幸福感を得ることがあります。

Meaning:人生の意味や意義

何のために生きているのか自分のミッションは何か。

ビッグホワイを見つけた時に幸福を感じます。


Accomplishment:達成
目的を達成することで幸福感します。仕事だけでなく、パズルやゲームでも達成したときに味わう幸福感です。


ここで言われている様に、モノを所有したり消費することでの喜びを現れていません。モノよりも関わりや体験ということに重きがおかれています。


マズローの五段階欲求説でも、下から順に生存、安全、所属が満たされ四段回目の承認欲求から自己実現欲求に移りつつあると言えます。

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モノが売れないのは、コロナが拍車をかけたかも知れませんが時代の流れとして豊かになった社会が幸せを感じる価値が変わっているということに他なりません。

ビジネスでどう活かすかということについては
ドリルの穴理論 や ジョブ理論にヒントがあるでしょう。

ドリルの穴理論


ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である

T・レビット博士の著書「マーケティング発想法」

ドリルという比喩表現でのモノではなく、穴という結論結果は今後体験になることは間違いありません。

ジョブ理論


ジョブ理論の中核には、単純だが強力な知見が込められている。顧客はある特定の商品を購入するのではなく、進歩するために、それらを生活に引き入れるというものだ。この「進歩」のことを顧客が片付けるべき「ジョブ」と呼び、ジョブを解決するために顧客は商品を「雇用」するという比喩的な言い方をしている。
(ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム クレイトン M クリステンセン)

整理すると、ジョブとは人が成し遂げたい進歩や成長。ニーズとは大きく異なるという。しなければならないということから、成長したい成し遂げたいことであるという。


例えばBMWは高級車を創り売るというモデルから、モビリティ(快適に移動する)ということが本当のジョブであるということに気づきプロダクト側からジョブに応えることにシフトしているといいます。


2021年のダボス会議のテーマは「グレート・リセット」人々の幸福を中心とした経済に考え直すということだそうです。世界の叡智達が経済のあり方を見直す転機と考えている様です。この流れは日本にも当然波及するでしょう。

世界経済フォーラム(WEF)は3日、2021年1月に開催する年次総会(ダボス会議)のテーマを「グレート・リセット」にすると発表した。世界的な新型コロナウイルスの感染が広がるなか、資本主義を軸とする既存の体制には不備も目立つ。どんなふうに立て直していけばいいのか。WEFを創設したクラウス・シュワブ会長に聞いた。

――「グレート・リセット」とは何を意味しますか。



「世界の社会経済システムを考え直さないといけない。第2次世界大戦後から続くシステムは異なる立場のひとを包み込めず、環境破壊も引き起こしている。持続性に乏しく、もはや時代遅れとなった。人々の幸福を中心とした経済に考え直すべきだ」
2020年6月3日 日本経済新聞


ポストコロナでのビジネスは、モノを大量に供給することは終焉を迎える。これは、とっくに世の中は気がついていますが、ただ変化は難しい。

次に経験から生み出される知恵や情報、顧客の体験の機会。それに付帯したモノが売れるということこれに大きく舵を切れるか。それとも既存のビジネスは延命治療され、新たな外資やベンチャーに取って変わられるのでしょうか。

世の潮流に合わせてビジネスを変革するためにはモノの販売をしている会社は体験や情報という付加価値をメインにした手法に切り替えるべきでしょう。

大手が変化に対応できないとすれば、スモールビジネスを行う我々に大きなチャンスが到来していると言えます。

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                            ダーウィン




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