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酒好きの遺伝子

父方の祖父も、母方の祖父も酒好きでした。父方の祖父は私が小さいころに亡くなったので、伝聞情報だけですが、「朝よし、昼よし、晩によし」というくらい酒が好きだったようです。しかし、そんなにお酒に強いタイプではなく、陽気なお酒だったようです。その反対に、母方の祖父は静かに飲むタイプで、かなりお酒が強かったみたいです。

こんな酒好きの遺伝子を、両方の家系から受け継いでいますから、私も若い頃は結構飲める方でした。しかし、今は少しの量しか飲めませんし、飲みません。平日には全く晩酌はしませんし、飲むのは週末だけです。お酒の強さは、遺伝的なもので決まっているそうです。お酒を飲むと、お酒の主成分であるエチルアルコールが体内でアセトアルデヒドに変わります。これが、悪酔いの原因物質です。

このアセトアルデヒドが体内に貯まると、顔が赤くなったり、気分が悪くなったりします。最終的には、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)という酵素が働いて、アセトアルデヒドを酢酸に分解して無害化します。酒に強い/弱いというのは、アセトアルデヒドを分解する能力が高いか低いかで決まってきます。

ALDHの一種であるALDH2をつくる遺伝子には、アセトアルデヒドの分解能力が高い(酒が強い)とされるN型のALDH21と、突然変異で分解能力が低下したD型のALDH22があります。血液型の因子のように、誰でも両親からいずれか一つずつを受け継ぐので、人間にはNN型、ND型、DD型の三パターンがあります。NN型はアセトアルデヒドの分解が速い、いわゆる酒豪タイプです。また、ND型はそこそこ飲めるタイプです。そしてDD型は、体質的にほとんどアルコールを受けつけない下戸タイプです。

全国的な遺伝子調査で、北海道、東北、九州、沖縄地方に酒豪遺伝子であるN型遺伝子の割合が多いことがわかっています。九州男児は酒が強いというイメージは、あながち間違っていないようです。N型遺伝子の割合は、特に秋田県が一番多く、次に鹿児島県と岩手県なのだそうです。逆に最も少ないのが三重県、次いで愛知県という結果になっています。

N型遺伝子の分布は、縄文系日本人の遺伝子分布と似ています。またお酒の弱い分布は、弥生系日本人の分布と類似しています。ひょっとすると下戸の人達は、大陸から渡ってきたのかもしれません。

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